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世界の経営学者はいま何を考えているのか

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こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦です。

先日、今話題の「東京ラブストーリー続編」の漫画をKindleで購入し、一瞬

で読んでしまいました。(笑)25年ぶりに再会するカンチとリカ。お互い

50歳になっているという設定。50歳のラブシーンが出てくるのでは?と

ドキドキしながら読み進めていましたが、そういう場面はなくハッピーエンド。

少し肩透かしを食らった感がありました。(笑)

 

 

「東京ラブストーリー」と言えば、25年前の私が大学生の時に大流行した

トレンディードラマで、当時ほんとにはまりました。また、大学の授業では

経営学の授業を受けましたが、東京ラブストーリーの方は記憶に残っている

のに、授業内容は記憶なし…(汗)

 

25年経った今、自分自身経営者になって思うのは、経営というのは人間

がすることで、泥臭いもの。教科書に書いてあることを実行したところで、

人間を理解していないと上手くできないもの。

 

ただ経営者になって12年目を迎える今、科学的に経営というものを一度

は考えてみる必要があるのではと考え、今日の一冊を選びました。

 

 

『世界の経営学者はいま何を考えているのか』入山章栄(英治出版)

 

 

それでは、今日の赤ペンチェックをみてみましょう。

 

 

▼企業の究極的な目的とは何か?

持続的な競争優位を獲得すること。ポイントは【持続的な】というところ。

言うまでもなく企業は一年だけ業績が良くても意味がない。

持続的な競争優位を実現するには、S(Structure:構造)・C(Conduct:

遂行)、P(Performance:業績)の頭文字を取って、SCPパラダイムと

呼ばれます。一言で言えば、【ポジショニング】に尽きる。

 

 

▼ポジショニングには2種類ある。

1つ目は、事業を行うううえで適切な産業を選ぶ。

2つ目は、今自社がいる産業の中でできるだけユニークなポジションを取る。

 

 

▼競争戦略とは、競争しない戦略である。

早い話が「どうやって競合他社との競争を避けるか」ということに他なら

ない。マイケルポーターの「競争戦略」は「競争しない戦略」のことである。

なるべく競争の少ない産業を選び、ライバルよりもユニークなポジションを

取れば、他社とガチンコで競争しないで済むから、結果として安定した収益

を得られる、すなわち持続的な競争優位が得られる。

 

 

▼ハイパー・コンペティション下では、理論的には、より積極的な競争行動

をとる企業の方が高い業績を実現できる。

差別化などによって業界内でユニークなポジションをとれば、それだけライ

バル企業との市場の重複度が低下するので、結果として積極的な競争行動も

とりやすくなる。少なくとも、これまで通りやっていれば今の地位を保てるさ、

という気楽な考えは現在の競争環境下では通用しないことをこれらの研究成果

は教えてくれている。

 

 

▼海外進出を検討する際に、市場規模や成長性のような「チャンス」と比べる

と、国民性の違いのような「リスク」要因はないがしろにされがち。

日本人はアメリカ人より集団主義的だが、他のアジアの国の多くはさらに集団

主義である。集団主義とは、グループ内の利益を重視し、グループ内のメンバー

の結束も強くなる。しかし、逆に言えば、グループ内の結束が強ければ、それだ

けグループの外の人たちと協力関係を築くのが心理的に困難になる。

よって、日本人は海外企業との協力関係を築くのがうまくない可能性あり。

 

 

▼現代は不確実性の時代。競争の激化、市場の不透明感、速い技術進歩などに

より、事業環境はめまぐるしく変わる。不確実性が高い時は、綿密な計画を

立てるのは至難の業。よって、不確実性の時代に計画主義(事業計画は事前に

できるだけ精緻に立てるべきという考え)と唱えるのが「学習主義」。

 

 

▼「考える前にまずはやってみるべき」というのが学習派の主張。

行動していくうちに市場の状況や顧客の好みなどを学習し、徐々に自らの事業

計画もはっきりわかっていくだろう。不確実性が高い時にはむしろその方が

効果的だというわけだ。

 

 

▼新規事業は不確実性がとても高く、計画を立てるときにも事業環境の将来

見通しに何らかの仮定を置かざるを得ません。このときに、現実によくある

のは、事業が進むにつれてこれらの仮定がいつのまにか既成事実であったか

のようにされてしまうこと。このような事態を避けるために、「仮定の

チェックリスト」を作るべき。

 

 

▼なぜ経営者は買収額を払い過ぎてしまうのか? ~ 人間臭いM&A研究

 

 

▼『思い上がり』プレミアム

「私にはこのターゲット企業の価値を高められる手腕が備わっているのだから、

買収額が高くても大丈夫だ」と考える。

過去に買収で成功を収めた経験のあるCEOが率いる企業は、その後の買収で

高いプレミアムを払う傾向があることがわかりました。これまでの成功が

CEOの思い上がりを促し、「次の買収でも高い価値を生み出せるはずだ」

と過信させ、その分高いプレミアムを払わせてしまう。

 

 

▼「あせり」プレミアム

経営者の成長への「あせり」に注目したもの。競合他社に比べて自社の成長

スピードが遅ければ、それは経営者にとって大きなプレッシャーになる。

このような経営者は、何とか状況を挽回するために、多少リスクがあっても、

多額のお金を払ってターゲット企業を買収する。「自社を何としても成長させ

なければならない」という焦りが高いプレミアムを払わせる。

 

 

▼買収企業の過去3年間の成長率が業界の平均成長率を下回っていればいる

ほど、その企業が買収の時に払うプレミアムが高くなる傾向あり。

買収企業の過去の成長率が低いほど、その企業は高いプレミアムを払う傾向。

 

 

アジア進出、M&Aといった、中小企業でも近年よく見られる経営戦略に

ついて科学的にアプローチしている内容は興味深いものがありました。

今日も社長業を楽しみましょう。

 

 

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