こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦です。
従業員の人事評価においてインセンティブ制度を取り入れている企業はたくさん
あると思います。私どももそうですが、インセンティブ制度の弊害は、
目に見える報酬が手にできる仕事は一生懸命やるが、そうでない仕事は手を抜こう
とすること。しかし、こんな仕事スタイルの従業員がいる組織はいつか顧客から
見放され、腐っていくことでしょう。ここに経営者は注意すべきです。
そこで、今日の一冊はコチラ。
『仕事の報酬とは何か』田坂広志(PHP)
田坂先生の名著ですね。それでは、今日の赤ペンチェックをみてみましょう。
▼「目に見えない報酬」の中でも、「最高の報酬」は何か。
「人間としての成長」です。なぜなら、それは決して失われない報酬だからです。
例えば、「給料」や「収入」は」言うまでもなく、使い果たせば、失われてしまう
報酬です。
▼一生懸命に仕事に取り組んで歩むとき、我々はときに、マネージャーや経営者の
立場に立つときがあります。そのマネージャーや経営者の仕事の本質は、部下や
社員の「人間の心」と格闘すること、そして、職場や会社の「人間集団の心」と
格闘することです。
▼その格闘は、文字通り、悪戦苦闘とでも呼ぶべき困難なものですが、その格闘を
通じて、マネージャーや経営者は「心の世界に処する力」を身につけ、その力を
磨くことができるのです。職場や会社の仕事の重い責任を負い、五里霧中の中、
決断し、組織を率いていく立場。そして、何よりも、部下や社員のかけがえのない
人生を預かり、その人間集団の心と格闘しながら、歩んでいく立場。
▼だから、マネージャーや経営者は、大きく「成長」できる。誰よりも大きく「人間
としての成長」を遂げていけるのです。
▼そして、そのことを理解するとき、我々は仕事をする人間にとっての「地位」という
ことの本当の意味が分かってきます。
▼「仕事の真の報酬」その大切なものを見失ってしまったからです。例えば、いま、
世の中の「常識」となっている考えがあります。「仕事の報酬は、給料や収入である」
その考えです。しかし、この考えには、大きな落とし穴があります。
なぜなら、この考えは、我々の無意識に、ある「観念」を刷り込んでいくからです。
▼「仕事とは苦役であり、その苦役の対価として、金銭という喜びが得られる」
その「観念」を刷り込んでいくのです。そして、その「観念」は我々から大切なこと
を忘れさせてしまいます。それは、「仕事そのものの中に大きな喜びがある」という
こと。例えば、我々はしばしば、こういった言葉を耳にします。
「仕事は面白くないけれど、給料が良いから我慢している」
「仕事はつらいけれど、生活のためには仕方がない」
▼確かに、我々の仕事の現実は決して甘いものではない。
ときに、深く溜息をつくときもある。ときに、逃げ出したくなる瞬間
もある。それでも、喜びを感じる瞬間がある。
例えば、上司の一言。例えば、顧客の笑顔。
「良き仕事を残す」ことの喜びを感じる瞬間がある。
深みのある行が身に染みるとともに、私たちの組織においても、こうした
仕事の価値観を持ったメンバーが集うことの重要性を再認識させられました。
中小企業が大切なのは優秀な人材以上に「価値観が同じ人」を揃えること。
個々の戦力は飛びぬけていなくても、社員全員の心が一つに揃っていれば、
困難な仕事でも乗り越えることができます。
今日も社長業を楽しみましょう。