こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの
岩佐孝彦です。
私どものクライアントには、二代目や三代目を初め、中には創業120年の四代目
や創業170年の五代目もいらっしゃいます。私はそんな後継者の立場で経営されて
いる顧問先のお客様を自分が成し遂げられなかった思いを果たしてほしいという
願いを込めながら、日々ご支援に従事しています。
なぜなら、私には“二代目崩れ”の過去があるからです。二代目として入社したにも
かかわらず、志半ばで32歳の時に親戚の叔父の会社を退職し、独立起業の道を歩んで
しまったからです。昨年、著書を出版した時に受けた取材インタビューでも、その話
をさせて頂きました。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150327-00005575-biz_sinkan-nb
でも、この本を読むと、やはり父と息子の絆の深さは強固だと思い知らされました。
私の場合、同じ苗字でありながら、実の親子ではなく、叔父と甥の関係でしか
なかった…(汗)私の二代目としての当時の思いや覚悟は甘かったと痛感させられた
一冊がコチラ!
『「後継者」という生き方』牟田太陽(プレジデント社)
全国に11万社の中小企業の経営者をクライアントに持つ日本経営合理化協会の
専務理事で、理事長のお父様の牟田学氏のご子息の著書。
それでは、本日の赤ペンチェックは以下の通りです。
▼小さい頃、父は朝早くから夜遅くまで働いていた。何日も出張でいないことも
多かったが、自宅に帰ると会社の出来事をうれしそうに母と話していた姿をよく
覚えている。そんな父の姿を見て育ってきたことで、いずれは私が後継者として
父の仕事を継ぐのだと思って生きてきた。私が日本経営合理化協会に入協したのは、
自然の流れなのだろう。
▼これからの日本で会社を継ぐということは、相当の苦労を覚悟しなければならない。
日本の「人件費」は世界一高いとされ、なおかつ人口減少によって市場はどんどん
小さくなると言われている。そんな中でも社員に給料を払うには、売上利益は上げ
続けなければならない。それに加えて、会社というのは人の問題が絶えることがない。
▼創業者と喧嘩をして、後継者の生き方を放棄してはいけない
▼10歳以上年上の社長と付き合う
▼子が親を想う3倍は、親は子のことを想っている
▼お金の苦労をすることで親の苦労を知る
▼「神輿」は担ぎ手があっての「神輿」
▼経営者は成功を信じて「旗を立てる」
▼会社は「上場するか・売るか・長く続けるか」、この三択しかない
▼中小企業の後継者不足は、チャンスでもある
▼後継者になるタイミングを焦ってはいけない
▼継がせたい親心を理解し、継ぐという勇気を持つ
▼起業の苦労を知ることで後継者は強くなれる
▼1勝10敗の経験を積み、経営者としてたくましくなる
▼会社というのは、お客様のために存在するものだ
▼修業期間は、タイムリミットを決めて行うこと
▼社長になったとき、最低3年間は前社長の考えを踏襲する
▼先代の否定は絶対にやってはいけない。
京都の「老舗」と呼ばれる会社を見ていると、代々受け継がれている家訓
というものがある。
「それ、家を起こすも崩すも皆、子孫の心得ばかりなり。名跡を汚さぬように
子孫を教え、仁義を以て人を召使い、それが先祖への孝と思え」
▼後継者の「自分の色」は徐々に発揮していけばいい
▼古参社員を立てることで、信頼関係を築く
▼幹部にすべき人は、会社への忠誠心で決める
▼留守を任せられる人を、自分の片腕候補にする
▼「つくる(製造)・売る(営業)・分配する(総務経理)」3人の部下
を育てる
▼ワンマンではなく、任せる勇気を持った社長になる
▼一族と社友を幸福に導くことが社長の役目である
以上の話が理屈ベースではなく、生々しい事例で展開されており、大変説得力
があります。中小企業の後継者すべてに読んでほしい一冊です。
また、親子関係でなかなか伝えるのが難しく、後継者教育に頭を悩ませている
経営者も黙って、この一冊を渡すだけで後継者の態度も変わるかもしれません。
素晴らしい書籍でした。今日も社長業を楽しみましょう。