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経営者になるためのノート ~ フォーブス長者番付日本人1位の金言

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こんにちは、岩佐孝彦@税理士法人トップ財務プロジェクトです。

今日は「成人の日」の祝日ですね。私も20年以上前の話ですが、あの頃はほんとに

ガキで未熟者でした…(汗)

新成人の皆さん、大いなる未来へ向かって頑張って下さい!

 

 

さて、本日の一冊は、ユニクロを展開するファーストリテイリング社長の柳井正氏の著書

 

『経営者になるためのノート』(PHP研究所)

 

です。

 

それでは、本日の赤ペンチェックをどうぞ。

 

 

▼私は父から25歳で小郡商事を任され、35歳でユニクロ1号店を開き、42歳の時にファースト

リテイリングという会社にしました。私は学生時代は怠け者で、父から会社を引き継いだ時も

社員一人を残して全員辞めてしまうほどのだめな経営者でした。しかし、失敗の中から、経営

の原理原則を考えながら、実践を繰り返し、またそこから学習して、それを実践していくこと

で、何とか、ここまでやってくることができました。

 

 

 

▼「そこそこできる経営者」ではなく、「社会に大きく貢献し、社会をよくする経営者」に

なってほしい。その願いを込めて、作りました。

 

 

 

▼非常識と思えるほどの目標を掲げよ。

イノベーションをもたらすために、経営者が実践しなくてはいけないこと。

その一つ目が「目標を高く持つ」ことです。みなさんは「目標を高く持って」仕事

をしていますか?ちょっと頑張れば到達できそうな目標のことを、高い目標とは

言いません。イノベーションが組織にもたらすために必要な高い目標とは、「常識

で考えたら、まともとは思えない」くらいの高さの目標を言います。例えば、ファー

ストリテイリングは、売上高が80億円程度の時から、GAPを超えて世界一のアパレル

製造小売業になるという目標を持ちました。まだその目標は実現できていませんが、

本気でその達成を目指してやってきたからこそ、ファーストリテイリングは、

これまでイノベーションを数々起こすことができ、今に至っていると思います。

 

 

 

▼既存の延長線の発想ではできないことに自らを追い込む。

例えば、ファーストリテイリングは、これまでの歴史を振り返ってみると、思い

切ったジャンプが会社に必要だというタイミングでは、現状の約3~5倍程度の

売上高目標を長期目標として掲げることをしてきました。このことにどのような

意味があるのでしょうか。それは、既存の延長線の発想という思考の呪縛からの

解放です。例えば、1000億円の時に、1.1倍や1.2倍の目標でいいと考えたとしたら、

そこから出てくるアイデアや取り組みは1000億円でやっていることの延長戦の発想

になります。しかし、そのようなことはおそらく他社も発想できますし、実行でき

ます。だとすると、同じような競争になり、結果として1.1倍、1.2倍という目標自体

も達成できないリスクが高まります。しかし、3倍の3000億円にしたいと思ったら、

どうなるでしょうか。明らかに発想の転換が必要になります。

 

 

 

▼私が経営者として非常に大きな影響を受けた本『プロフェッショナルマネジャー』

の著者ハロルド・ジェニーンさんは自身の経営者としての成功体験を振り返り、

こう言っています。「終わりから始めなさい! なぜならば、ゴールを設定すれば『成

功するためにすべきこと』が明らかになるからだ」と。

そう、経営はまずゴールとなる目標を設定するところから始めるのです。そこから

やるべきことが明確になるのです。目標が高ければ高いほど、実現のためにやるべき

ことはイノベーティブなことになるはずです。

 

 

 

▼会社の成長、会社の進化を妨げる最大の敵。それは「常識」です。

我々は、一つの業界、一つの会社、一つの事業の中にいると、いつの間にか、

勝手に今ある状態を「常識」だと認識するようになります。お客様からしたら

意味がないこと、お客様からしたら不便をかけてしまうこと、これが、業界や

事業の人たちが「常識」と言っていることだったりするのです。

 

 

 

▼経営者は「危機感」にもとづいて経営をやるべきであって、「不安」に

もとづいて経営をやってはいけません。常識にとらわれて出てくる思い込みは

単なる不安です。不安とは漠然としたもので、大半が確証のないことで、起こるか

起こらないかわからないようなものです。そして、自分ではコントロールできない

ものです。

 

 

 

▼仕事の基準を高く持つ

経営者として成功するために大切なことに「質に対する意識」があります。

組織の中で行われる全ての仕事の基準をそのラインに設定し、絶対に妥協しないで

追求してほしいということです。なぜ質の基準にこだわるのでしょうか。

それは、やはり「お客様は厳しい」からです。

 

 

 

▼自分なりの基準では意味がない

基準を高く持つ、と言ったとき、勘違いしてはいけないのは「自分なりの基準」では

ないということです。「自分なりにできている」という人は多いのですが、それでは

経営的には全く意味がないのです。お客様が本当に喜んで下さる基準で出来ていないと

いけないわけです。そして、この基準というのが、非常に厳しくなっているので、念頭

に置いてほしいのは「世界で一番」の質の高さを目指し、それを自分たちの基準にする

ということです。

 

 

 

▼IBMの創始者であるT・J・ワトソンさんは社員にいつもこう言っていたそう

です。「完璧を目指さずに成功するよりも、完璧を目指して失敗する方がよい」

そもそも会社というのは、低い基準に甘んじたことをやっていたら即」つぶれてしまいます。

 

 

 

▼安定志向で安定成長している会社はない

「会社を危険にさらしたくない」という志向性が、経営方針や意思決定のあり方

を支配していくようになります。これが「安定志向」による経営です。言葉はきれい

ですが、この志向性は、経営をダメにします。特に日本人は「ほどほどがよい」とか

「中庸がよい」という思想の美学を持っているため、その美学に適合した、この「安

定」という言葉に弱いです。

 

 

 

▼経営者というのは、現在そして未来に関して成果を最大化するために存在して

います。その役割を実現しようと思ったら、挑戦すべきことには、リスクを恐れず

に挑戦する。突っ込んでいかなければならないような時には、思い切って挑戦する。

このことを経営者の心構えとしてしっかり持たない限り、顧客は創造されなくなり、

結果として会社は存続しなくなるということです。

 

 

 

▼リスクのあるところにチャンスがある

「リスクがないところに利益はない。リスクがあるところに利益がある」

これは経営の鉄則です。どうしてそうなるかわかりますか?リスクがあるところは、

多くの人が恐れて、あるいは大変だと思って、あるいは最初から無理だとあきらめて、

あるいは常識に縛られていて、手をつけていないからです。大体が、世の中に「自分

だけが考えている」ということはないと思った方がいいでしょう。他にも同じような

ことを考えている人はいるはずです。問題は、考えていることをきちんと実行に移せる

人が少ないということです。それくらい多くの人がリスクを避けようとするのです。

しかし、逆にみれば、そこが経営者にとってはチャンスなのです。

 

 

 

▼リスクはしっかり計算すること

「リスクを恐れず」と言っていますが、時々誤解する人がいるので、あえて伝え

ますが、これは「リスクを計算しないで」と同義ではありません。リスクなんか

考えないで無謀をしなさいと言っているわけではありません。リスクは考えて、

計算して下さい。リスクを計算するというのは、「これをやる場合のリスクという

のは、本当はどこにあるのか」ということと、「そのリスクがどれぐらい大きいのか」

ということを、冷静かつ真剣に考えるということです。

 

 

 

▼リスクを取った限りは、中途半端にせず、結果が出るまでやりきること

最も犯してはいけない誤りは「新しいことをやるリスクを取って、目の前の利益を

捨てておきながら、やると決めた新しいことを中途半端に進めて、結局その新しいこと

を実現できなかった」ということです。これだと短期利益も、途中のコストも、そして

未来の利益も、全部失うことになります。ですから、リスクを取ってやると決めた限りは、

そのやると決めたことを脇目も振らず、ただもう一直線に、徹底的に、結果が出るまでやり

きるということ。つまり、やると決めたことの徹底実行です。これが経営では非常に大事だ

ということです。成功している会社は、やると決めたことの実行が徹底している会社ばかりです。

 

 

 

▼ものわかりのいい上司にならない

社員に嫌われたくないという思いから、ものわかりがいい上司を装う人がいます。

ものわかりがいいというのは、言葉の響きとしてはいいのですが、ものわかりがいい

上司からイノベーションは生まれません。部下も育たなくなります。自分基準、自分都合で

仕事を完結させてしまいますから、本当の意味での達成感や成長実感を味わうことができなく

なります。ものわかりがいい上司は、部下の成長機会を奪っていると思うべきです。

これでは強いチームが作れないし、イノベーションを起こすこともできなくなります。

 

 

 

▼経営者にとって、最もまずいのは「自分はできている」という心を持つことです。

なぜ、こんなことを口酸っぱく言うかというと、表面上は謙虚ぶっているけれど、本当は

自分は結構できていると心の中では思っている人が、たくさんいるからです。これはわが社

に限らず、世の中一般的にも多いように思えます。

 

 

 

▼経営者は常に危機感を持って経営せよ。

会社を経営したことのない人は、経営を誤解しています。危機感を持たず、追い風

を受けて前に進んでいる状態が「正常な経営」だと思ってしまうのです。しかし、現実は

全く逆です。追い風に乗って順調にいっているから安心だなどという経営をしていたら、

あっという間に会社はつぶれます。繰り返しますが、市場は暴力的なのです。

だから、自分たちは、いつも断崖の上を歩いている、ちょっとでも油断があったら、

真っ逆さまに落ちてしまうという危機感をもって臨むのが「正常な経営」なのです。

 

 

 

▼学びに貪欲となれ

社会に通用し続けるためには、自分を成長させつづけなければなりません。

そのためには、やはり学び続けることが大切になります。その時大切な心構えが二つ

あります。「上には上がいると思うこと」そして、「世の中には、今までに起きていない

ことはないと思うこと」です。

 

 

▼「会社は誰のためのものか」と聞かれたら、「お客様のため」というのが本質です。

MBAの教科書では「株主のため」と書いてあるかもしれませんが、本末転倒です。

また、社員あっての会社ですが、「社員のため」というのも本筋ではありません。

会社は、お客様にお支払いただくお金で成り立っています。そのお客様に対して「わが社

の株主を幸せにしたいので、うちの服を買って下さい」とか「わが社の社員の幸せのために、

うちで服を買って下さい」とでも言うのでしょうか。明らかにおかしい話です。

お客様のために一途になること。それが成果を生み、結果として株主や社員も幸せになれる

のではないかと思います。

 

 

 

▼経営というのは、当たり前のことを本当に当たり前に毎日実行する。そして、

チェックをし、次の方法を考える、計画を変える。このことの繰り返しです。

本当の儲ける力とは、こんな地道なことが徹底してできるところにあるのです。

 

 

 

▼日本電産社長の永森重信さんからは、経営における「すぐやる、必ずやる、出来る

までやる」ことの大切さを本当に学びました。ファーストリテイリングでも、成果が

思うようにいっていない時は、会社の中を見ると、決まってこの「すぐやる、必ずやる、

できるまでやる」という力が足りなくなっている時なのです。考えるばかりで動かない。

決めて動いたのに、最後までやりきらないで中途半端で終える。これは時間の無駄です。

 

 

 

▼本田宗一郎さんもスピードを重視する経営者でした。

「神様は不公平なものでね、大体にして人間は色々な格差を背負って生まれてくる。

金持ちの家に生まれる人、貧乏な家に生まれる人、健康な人、病弱な人、顔のいい人、

お世辞にもそういえない人… 数えきれないくらいだ。本人には何の責任もないのにね。

しかし、どんな星の下に生まれようとも、一日が24時間という時間だけは誰にだって

同じだけ与えられているんだ」

 

 

▼お金があると、工夫することを忘れてしまうので、かえって会社にとってマイナスになる

ものです。だから、経営者はお金がないことを前提にして、お金の使い方をいつも真剣に

考える習慣をつける必要があるし、そのことを忘れてはいけません。商売は、インプット

よりもアウトプットの方が大きい分だけ、儲けになるわけです。ですから、いかに少ない費用

で大きい効果をもたらすことができるかを、考えて考えて考え抜くという態度が必要なのです。

そう考えると、お金の使い方も集中が大切です。湯水のように工夫もなく使うのもダメですが、

一律何パーセントカットのような節約も同じようにダメです。節約というのは、使うべきところ

に使えるようにするために行うものです。ですから、一律という発想ではなく、よく考えて、使わ

なくても済むものに関しては全面カット。一方、これに関して使ったら大きな効果がある、会社の

飛躍の元になる可能性があるということに関しては倍使う。

 

 

▼商売をやっていると、矛盾が大なり小なり発生するものです。その時、簡単にあきらめるのも

よくないことですが、そうした問題解決を、表面的な対症療法的なことでやろうとしないことも

大切です。大体にして、表面的で短絡的な問題解決というものは、本当の問題解決につながらない

ため、同じような問題が姿を変えて何回も出てきます。例えば、新店の立ち上げや、売上を上げる

のに苦戦しているお店では、スタッフの苦労も多かったりします。そこでモチベーションを高めたい

と思って、スタッフの給料をあげたいという気持ちにかられることがあると思います。

しかし、ただ給料を上げるだけだったら、これは表面的で短絡的な解決に終わる可能性があります。

この場合は恐らく、単純に給料を上げさえすれば売上が上がるということではないように思います。

また、その場しのぎの表面的なことだったら、モチベーションが高まったとしても、非常に短期的で、

何かあったらまた給料を上げてほしいという話になって出てくることが想像されます。経営者ならば、

短絡的にお金で何とかしようとするのではなく、売上につながるようなモチベーションを上げるため

には、本質的にどんなことが必要なのかを必死になって考える。

「もしかしたら目標や夢の強い共有ができていないかもしれない」

「もしかしたらスタッフ教育が十分できていないかもしれない」

こうしたことを自問自答して、本質的なところまで掘り下げて実行するということです。

 

 

▼任せるときは、ゴールイメージを必ず最初に共有せよ。

メンバーに仕事を任せるときは、リーダーとして本質的に達成してほしいことやその基準を最初に

しっかりとすり合わせておくことを忘れないようにして下さい。

 

 

▼経営はチームで行うもの。利己的なリーダーはチーム作りに失敗する。

リーダーとしてうまくいかない人は、自分だけが勝とうとする人です。リーダーというのは、チーム

を勝利に導く人です。よろしいですか、非常に大切なところです。リーダーは自分だけを勝利に導く人

ではないのです。リーダーとは、目標を共有し、チームのメンバーに達成感、成長実感、あるいは自己

実現といった勝利の美酒を、たっぷり味わせてあげる、そんな気持ちでチームの輪の中に入って、チーム

の先頭に立って、メンバーに向き合っていくことができる人なのです。そして、そのことによって自分も

一緒に達成感、成長実感、自己実現を味わえる人なのです。

 

 

アメリカの経済誌フォーブスにおける、世界長者番付「The World’s Billionaires」の2015年版によれば、

柳井正氏が日本人としては1位。さすがに、金言玉条のお言葉ばかりで、今日の赤ペンはほんとにたくさん

チェックが入ってしまいました。(笑)

 

今日も社長業を楽しみましょう。

 

 

 

 

 

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