こんにちは、税理士の岩佐孝彦@神戸です。
先日、日経新聞朝刊にこんな記事が出ていました。
「配偶者控除 17年に新制度 首相が検討指示
夫婦単位で控除 軸に」
これは、中小企業の経営者にとって要マークです!
というのは、会社で働くパートスタッフの労務管理の上で、
今後の重要な指針になるからです。
記事によれば、【配偶者控除】を廃止し、妻の年収に関係なく、夫婦の所得から一定額
の控除を認める【夫婦控除】を創設する案が軸になる見通しだとか。
もしこの制度が実現すれば、妻がフルタイムで働く世帯にも一律に適用されるため、
仕事の時間を抑える必要がなくなります。
経営の現場では、パート主婦が夫の扶養に入るために 敢えて、労働時間を抑えるケースを
よく見かけます。
【配偶者控除】とは妻の年収が【103万円以下】なら、
夫の課税所得から38万円の控除が受けられる制度。
会社で働くパート主婦の夫の年収が600万円なら、所得税が7万円程度軽くなります。
つまり、
▼103万円の壁
がパート主婦の労働環境に存在するのです。
もっとハードルが高いのは、
▼130万円の壁
これは、夫の健康保険の扶養の範囲内の妻の年収。
4月から各都道府県で健康保険料率がアップしましたが、この負担もかなり大きい…(汗)
よって、103万円の所得税の【配偶者控除】は超えても、
130万円の【健康保険の扶養範囲】は超えたくない…
そんな労働ニーズはパート主婦の間で根強いものがあります。
現行制度では年収140~150万円程度で働くのが、主婦にとっては家計のダメージが
大きくなる。
なぜなら、
▼夫で配偶者控除が使えず、所得税増
▼健康保険の扶養に入れず、妻が自己負担で健康保険料増
となるからです。
しかし、2017年度にもし新制度が創設となると、
状況は一変する可能性があります。
経営者として、私たちが押さえておくべきは、
▼現場の労働生産性を高める3つの方法
です。
なぜなら、企業経営にとって、人件費は最大の固定費だからです。
具体的には、
▼1人当りの粗利益を増やす … 仕事の徹底的な見直し
▼平均スタッフ数を増やす … 人件費の変動費化
▼その両方をやる
です。
これらの方法のキモになるのは、パート主婦の使い方!
そうした人員の戦力化が労働生産性を高めるうえで 大変重要になるのです。
しかし、新制度がもし実現するとなると、 能力のあるパート主婦は税負担増を
気にせずに思い切り働いてもらえるようになりますね。
ただこの制度の実現には、与党の反発が予想されるとのこと。
また、高所得者には適用制限も検討されているとか。
正式にはどんな制度になるのか、まだ明確にはわかりませんが、
政府が現時点で進めようとしている施策には アンテナを張っておきたいところ。
会社経営を健全化するために、人件費とどう付き合うか?
お金の世界は知っているか知らないかで差が付きます。
今日も社長業を楽しみましょう。
会社で働くヒトも、経営者にとって“人財=資産”です。