こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
年末に向けて、
ふるさと納税や生前贈与の
駆け込みへ。
そんな時期になりました。
ビジネスの世界でも同様に、
「米国向け在庫」
の駆け込みが今見られます。
アジア発アメリカ向け
海上輸送量は過去最高へ。
この背景には、
【トランプ関税】
が存在します。
トランプ氏は選挙期間中、
▼全ての輸入品
⇒ 10~20%
▼中国製品
⇒ 60%
の関税を課すと宣言。
米中貿易戦争に備え、
正式な関税引上げ前に
「在庫積み増し」
に各企業が動いている。
来年1月20日の
トランプ新政権発足を控え、
企業に新たな負担を
強いる形が見られ、
世界経済の先行きに
影を落としているのです。
ただこんなお話をすると、
「うちは国内取引中心で
海外取引なんて無いよ。
海外向けの在庫を
増やす報道とか、
うちには関係ないよ。」
と思われた経営者も
いるかもしれません。
しかし企業経営において、
【在庫の調整=利益の調整】
という側面が存在する。
この事実をしっかり理解し、
【在庫管理の重要性】
を今からお話しますね。
複式簿記には、
重大な欠点があります。
それは、
「在庫の変動を
帳簿上で表現できない」
という点です。
実は、
複式簿記の起源は
14世紀の中世イタリア。
数学者
ルカ・パチョーリによる
“人類最大の発明”
とも言われています。
売掛金や未払金などの
資産や負債の動きも
帳簿に記すことができ、
経済取引を完全に記録できる。
そんな帳簿組織に
なっているからです。
しかし、、、
仕入をすれば在庫が増加。
売上があれば在庫が減少。
これによる
在庫の増減に関しては、
帳簿に表現できないのです。
【棚卸】
という作業が必要になりますが、
ここに経営者の恣意が
働くことがあります。
経営者は悩みが多い。
決算が赤字であれば、
何とか黒字を計上したい。
黒字になったらなったで、
納税資金を心配し、
黒字を減らそうとする。
このような状況下で、
安易な手法として
用いられるがちなのが、
在庫調整なのです。
例えば、
黒字を減らしたい場合、
▼在庫を減額
↓
▼製造原価や売上原価は上昇
↓
▼利益減少
になります。
請求書や見積書を
用意する必要なし??
領収証を
書き換える必要もなし??
単に棚卸数字を
書き換えるだけで済む??
というわけで、
不正の温床になりやすいのです。
ただ上記メカニズムは、
税務調査官は百も承知です。
仕入れた商品はいつかは売れる。
売れなかったら在庫で残る。
この当然の真理を
調査官は追っていくのです。
Excelの棚卸表を提示しても、
調査官は信用してくれません。
【棚卸原票(手書き)】
まで要求されることが多い。
税務調査の現場だけでなく、
M&Aにおける、
【財務デューデリジェンス】
でも、
シビアに在庫管理は
チェックされます。
十分ご注意下さい。
今日も社長業を楽しみましょう。