こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
前回のお話の続きです。
【普通解雇】に対し、
【整理解雇】はどうなのか?
整理解雇とは、
企業活動の縮小や業績悪化に伴う
人員整理を意味します。
労働者の責が明白ではない
解雇になるため、
【整理解雇の4要件】
として厳格に定められています。
▼人員削減の必要性
▼解雇回避努力義務の履行
▼被解雇者選定の合理性
▼労使間での十分な協議
上記4要件の緩和により、
人材の流動性を高める。
小泉氏の狙いはここにあり?
大企業を対象とし、
リスキリングや再就職支援を
義務付けると主張しています。
ただ仮に小泉氏が総裁になっても、主張は将来変わる可能性あり。
岸田氏が総理になった折も、
総裁選で声高に主張していた、
【金融所得課税】
を総裁就任2週間後に撤回へ。
税理士としては当時、
拍子抜けした記憶があります。
解雇規制の緩和についても、労働者を不安にさせかねないと、
現在批判続出の状況です。
選挙対策も考慮し、
完全撤回の可能性は十分あり。
以上を踏まえると、
簡単に首切りできないという、
日本の労働慣習を変えるのは、
相当ハードルが高そうです。
なぜ自民総裁選の論点になったのか?
それは日本経済が今後、
持続的賃上げを実現するために、
必要性が高まるからです。
『人口大逆転
~高齢化、インフレの再来~』
チャールズ・グッドハート著
(日本経済新聞社)
この名著には興味深い分析が
記述されています。
「失われた20年の中で日本では、
労働力の減少が何故
賃上げにつながらなかったのか?」
この答えのヒントは、
2014年の黒田前日銀総裁の
講演からも読み取れます。
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不況期に失業が増加する
欧米と違い、
日本ではあまり増加しなかったが、
代わりに、
賃金が大きく下落した。
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存在があると本書では指摘。
本書における日本に関する
記述のポイントは以下の通り。
▼欧米は不況になれば、
簡単に整理解雇ができる。
よって好況期には、
賃上げも容易に可能である。
▼しかし日本は整理解雇により、
迅速に雇用調整できない。
よって労働時間及び賃金に対する
容赦ない下方圧力によって、
労働市場の調整が行われた。
▼日本の社会的価値の中で、
雇用保障が最優先事項である。
▼本当に例外的な状況を除き、
解雇は非難の目で見られ、
不名誉で好ましくない行為と
日本では考えられている。
本書は2022年5月に発刊。
日本の賃上げ前夜に
出版されました。
このまま賃上げだけが進展し、
解雇要件が
緩和されないとしたら??
景気は循環です。
将来いつか必ず不況はやってくる。
あらゆる企業において、
人件費がますます
経営の重荷になっていくのは必至。
このお話は次回も続きます。
今日も社長業を楽しみましょう。