こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
今日も定額減税に関するお話です。
労働者の大半は手取額が
増えるので嬉しいでしょう。
しかし、、
今回の定額減税で
多大なる迷惑を被っている。
そんな人物像は大きく2人です。
1人目は経理担当者。
今年限りの措置にも関わらず、
給与計算ソフトを
アップデイトさせねばならず、
事務負担が増大しています。
経理担当者の皆様のご苦労を
御察し申し上げます。
2人目は経営者。
経営の現場に目を向けると、
「たかだか4万円の減税で、
現場が大変じゃないか。」
といった声が多発しています。
ただ数の論理で言えば、
経営者層と労働者層では、
圧倒的に労働者層が多い。
よって、
選挙対策上では、
労働者層の一般大衆層に
迎合する減税になるのはやむなし?
今回の定額減税の対象から
外れるのは、
▼年収2,000万円超
(合計所得1,805万円超)
になります。
経営者の多くは
恩恵が受けられない可能性あり。
注意すべきは、
給与収入だけなら今年、
合計所得1,805万円以下でも、
▼譲渡所得(不動産&自社株等)
▼退職所得
などのスポット所得がある場合。
この場合、確定申告で精算され、
一旦減税を受けた分を
まとめて返すことになります。
役員の奥様に対し、
所得分散しているケースも注意!
夫婦共に所得がある場合の
定額減税の扶養親族の上乗せは、
【扶養控除と同じ取扱い】
になります。
夫婦いずれか片方のみからしか
扶養親族としての定額減税が
受けられないことになります。
例えば、
▼夫:年収2,000万円超
⇒ 定額減税の対象外
▼妻:年収500万円
▼大学生&高校生の子供2人
⇒ 控除対象扶養親族に該当
の場合を考えてみましょう。
この場合、夫はは所得制限で
定額減税が最終的に受けられない。
よって子供2人分について、
妻の方で定額減税を受ける方が有利?
今回の定額減税(だけ)の
部分最適で考えれば、そう言えます。
しかし国税庁の見解では、
【扶養控除の親族と
定額減税の対象を一致】
させる必要があるとしています。
そうなると、
妻の方で子供2人の定額減税を受ければ、
【例年夫で受けていた扶養控除も
妻の方で今年は使う】
ことになりますので、
全体最適で考えれば、
損することになるのです。
所得税率は累進構造。
所得が高ければ高いほど
高い税率が課せられます。
夫の年収2,000万円超なら、
所得税&住民税の税率は50%。
妻の年収500万円なら、
所得税&住民税の税率は30%。
税率格差は20%になります。
よって、
今回の定額減税だけで
有利不利の判定するのは危険です。
目先のお金を取りに行くと、
結局お金は残らない。
日本の税制メカニズムから見える、
お金の真実が定額減税でも明らかです。
くれぐれも注意して下さい。
何だかややこしい制度で、
歴史的な愚策とも揶揄されていますが、
経営者として個人のお金の取り方を
再度見つめる機会にして下さい。
今日も社長業を楽しみましょう。