こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
日産自動車による
下請鬼イジメが問題になっています。
公正取引委員会は同社に対し、
下請法違反で再発防止勧告へ。
過去2年間で中小36社に対し、
30億円の不当減額。
1社平均年間4,000万円。
これが過去30年以上にわたり、
取引慣行になっていたとか。
減額要求は毎度のこと。
2~3割引きは当たり前。
5割引きのケースもある。
日産からは注文数と短納期の指示。
納品時に請求書を出すと、
「まけろよ」
という感じで毎度減額を強要される。
それだけではありません。
年度末になると、
“合理化要請”
という名目で、
「年間でこれだけ売上があったよね。
あと●%差し出してよ。」
という形で上納金があるとか。
これに応じたか否かで、
翌年度の受注量が決まるそうです。
この報道を受けて、
「潰れろ日産!」
という声もSNS上に掲載。
今回の公正取引委員会による処分は、
「中小企業も価格転嫁して、
賃上げの機運に乗り遅れないで!」
というメッセージが込められています。
大企業による“中小イジメ”に
今後厳しい目が注がれるでしょう。
税務の世界においても、
令和6年度税制改正大綱にて、
【賃上げ促進税制の拡充】
が盛り込まれています。
令和6年4月1日以後開始事業年度より
適用開始となります。
詳細は過去の動画で解説しています。
↓
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《令和6年度税制改正大綱ワンポイント解説》
賃上げ促進税制
~今年度改正の目玉はズバリこれ!~
(上記リンク先をクリックして下さい)
(約8分)
日産の今回の問題は
被害者意識だけで語れない、
闇の深い問題です。
自動車業界は、
メーカーと下請業者との間の
ピラミッド構造が特に根強く、
下請がメーカーに
モノを言いづらい環境にあるとか。
スター精密の佐藤肇前会長は過去、
日経ビジネスの取材にこうコメント。
……………………………………………
中小企業は1つの企業に
“売上30%を依存”
しているようでは危険です。
その1社についていけば、
何とかなるだろうと、
旧態依然とした売上至上主義を
貫こうとしたら、
会社が持ちません。
……………………………………………
実際のところ、
全売上の50%を日産との
取引に依存していた。
そんな下請企業の社長は今回、
メディア取材にこう語っています。
「生かさず殺さず。
儲けさせないが、
潰れるほど叩かない。
そういう形だと
下請企業は発展ができない。
投資意欲も湧かず、
設備投資もできない。
結果的には、
負の循環になってしまう。」
今回の公正取引委員会による救済で、
過去2年間の不当減額30億円は返金へ。
しかしこれは逸失利益のほんの一部。
過去30年間にわたる損失金額は
単純計算で15倍すると、
450億円???
減額を断れば切られる。
そんな恐怖に苛まれていたとか。
日産は2023年度上期決算として、
営業利益115%増の3,367億円。
ただ下請企業がこの営業利益実現の
犠牲になっていたのです。
百戦錬磨の名経営者の
佐藤肇氏のお言葉のように、
「全売上30%以上を占める
特定取引先依存型の経営は危険」
であるという経営セオリーを
再認識しなければなりません。
ビジネスは本来
フェアであるべきですが、、、
日産の下請企業が今回を契機に、
「自主自立型の経営」
の道を是非歩んでほしい。
そう切に願っています。
日産と下請企業との取引には、
“感謝”
“リスペクト”
の精神が完全に欠けていました。
最近の新刊で興味深い書籍を
見つけました。
『経営中毒
社長はつらい、だから楽しい』
(PHP研究所)
著者の徳谷智史氏は、
【出資&コンサルのVCスキーム】
で1,000社以上の企業変革実績あり。
この書籍の中で印象に残った
フレーズがあります。
……………………………………………
給料日や支払日とは本来、
社長にとって
最も感謝すべき瞬間なのだ。
……………………………………………
「うわぁ、また来たな、、、」
多くの経営者にとって当初、
給料日や支払日は恐怖でしかない。
創業当初、
給料日の感覚が180度変わる。
経営者なら誰しも経験する
登竜門ですね。
経営から見れば、
人件費や外注費は
コストでしかありません。
ただ本来はコストであっても、
自社に関わってくれる
他人様や取引先がいるからこそ、
支払いが生じているわけです。
だから、感謝すべき瞬間である。
徳谷智史氏はこう説いているのです。
名経営者の佐藤肇氏は
社長室にこんな言葉を飾っています。
【人は心】
感謝できない人間に
尊敬は集まらない。
そんな思いが込められているとか。
“カネ”
という言葉だけ切り取れば、
色んな意味を想像するでしょう。
しかしカネがあるからこそ、
従業員の雇用を生み出し、
給料を払える。
自社の未来を信じてくれる
金融機関の存在。
自社を支援してくれる
取引先があるからこそ、
支払いができる。
その感謝を常に忘れない。
キレイ事では経営できませんが、
カネの問題に対し、
逃げも隠れもしない責任を持つ。
そのうえで、感謝の念を忘れない。
これこそが【人は心】であり、
経営者の使命なのでしょう。
▼賃上げ
↓
▼価格転嫁
↓
▼生産性向上
の善循環を生み出していく。
これが
時代の要請なのかもしれません。
今日も社長業を楽しみましょう。