こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
年末に企業の不祥事が
新たに発覚しました。
ダイハツ工業で試験不正。
工場の出荷を全面停止へ。
ダイハツの奥平社長は記者会見で
こうコメントしました。
「現場が声を上げられない風土で
苦労していたことに
心が至らなかった。」
トヨタの中嶋副社長は
こうコメントしました。
「現場の負担を大きくした
可能性があると
認識できていなかった。」
2005年のトヨタ出身の会長の下、
「ミライース」
は大幅な開発納期の短縮成功。
その後、短納期の開発が至上命令へ。
また、
売上に直結しない品質保証などの
部署の人員を減らす。
衝突実験を担う安全性能担当部署の
人員は3分の1へ。
第三者委員会は報告書で、
「ビジネスモデルや
組織風土の問題に遡る
極めて根深い問題である」
と記載しました。
つまり、
今回の問題の根底には、
利益を追い求めるがあまり、
トップダウンで現場に対する
▼過度な納期の短縮
▼過度なコスト削減
の要請があったのです。
【数字は人格】
という格言を
全店に送付していたとか。
A3サイズで印刷し、
額縁に入れて飾るように
指示していたそうです。
昨年の知床遊覧船の沈没事故。
先日、運輸安全委員会は、
「運航会社の安全管理体制の
欠如が原因」
と改めて公表しました。
人件費削減のため、
経験豊富な船長を解雇。
現場海域の知識経験の乏しい
船長を雇用していたとか。
天候不順の時は人数を減らし、
運航するように指示。
このような実態が明らかに。
赤字は悪。
確かに黒字を出していかねば、
企業経営は成り立ちません。
かつて
「伝説の経営者」
と賞賛された。
そんなジャック・ウエルチ氏は、
GE社の経営者時代、
「ストレッチ目標
= 従業員が簡単に
手が届きそうにない
目標を現場に与える」
という方式で利益を追求し、
GE社を世界的企業へと
躍進させました。
ダイハツも、
ビッグモーターも、
知床遊覧船も、
節度を越えた利益追求は、
経営を歪め、
「安全性の問題」
として噴出しました。
稲盛和夫氏の言葉が身に沁みます。
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経営判断をする場合、
一般的な考え方としては、
【損得】
という利害得失で考えがちですが、
真の経営者は、
【善悪】
という基準で判断すべきです。
善悪を判断するにはまず、
立派な人間性を持つべし。
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経営という言葉の起源は仏教です。
“経”= 道理を通すこと
“営”= それを行動に表すこと
経は織物でいえば、縦糸。
縦に筋がしっかり通っている
様子(=正しい道理)を示し、
それを日々営々と営んでいくから、
「経営」
となる。そんな意味だそうです。
日本ではこの時期、
「ふるさと納税」
が大流行です。
一方、
米国の富豪には利他の精神で、
「収入の10%を寄付」
する習慣があります。
この背景にはキリスト教の教えや
寄付金税制がありますが、
本質的な意味は、
自分の身に思わぬ災難や影が
生まれないように、
お金を敢えて回しているのです。
【浄財】と言われる所以です。
経営において利益追求は大切。
万一に備え、
内部留保を貯めこむのも重要。
しかし、
利益を追求した結果、
業績好調でも、
喜んでばかりはいられません。
その反動は宿命的に、
「安全面での問題」
として噴出するケースあり。
労災や人災が起きた後では、
社長がいくら土下座しても遅い。
決して取返しはつきません。
知床遊覧船の教訓ですね。
光が当たれば影が生まれる。
これは世の常なのです。
「損得だけではなく、
善悪でお金を回す」
「正しく道理を通しながら、
お金を回す」
ことを再認識すべきであろう。
私(岩佐)は税理士として、
そんなふうに考えています。
企業不祥事の報道を
反面教師にすべし。
(自戒の念を込めて)
今日も社長業を楽しみましょう。