こんにちは、神戸の税理士の岩佐孝彦です。
先週の井原西鶴の日本永代蔵『浮世草子』の一節、
『貯蓄十両、儲け百両、見切り千両、無欲万両」
のお話の続きです。
【見切り千両】をトップ自ら実践すると、
組織にムダ・ムリ・ムラが自然となくなります。
そんな風土が浸透するからこそ、数字は後から付いてくる。
筋肉質の財務体質はおのずと備わってきます。
▼経営は【掛け算】でも【足し算】でもなく、【引き算】である
ということ。
松井証券の松井道夫社長はこう言っておられます。
「過去の経営において、足し算の発想でやったことは
全部失敗だった。
しかし【引き算】でやったことは全部成功した。
外交セールスをやめる。
店舗を閉める。
揚げ句の果てに収益源である手数料も大きく値下げ。
当時は気が変になったんじゃないかと言われたが、
激しく変化する時代の中では、捨てるものの優先順位が
つけられるかどうかが最も重要だ。
もちろん何でも捨てればいいというものではない。
あふれる情報に翻弄され、捨てる決断が出来ずに、
得られるものばかりを考えていないか、
もう一度考えてみるべきだ。」
【引き算】の思想があれば、
▼最小の資本(ヒト・設備)で、最小の収益を上げる
という経営スタイルの道がおのずと広がっていくのです。
そして【見切り千両】の経営の先に初めて【無欲万両】が待っています。
「金と女は追いかけると逃げる」とはよく言ったもの。
特に「女」の部分は私も二十代を思い出すと、せつなくなりますが…(笑)
固定費がだぶつき、資金繰りが苦しくなると、利益至上主義に
どうしてもならざるを得ません。
そうなると経営者は心底から【無欲万両】の域
に進むことはできません。
結果として、
「お金は後から付いてくるものだ。
わが社はお客様に喜んで頂くことを第一にやっている」
という【本物】の経営を展開している会社には太刀打ちできません。
今日も社長業を楽しみましょう。