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「見切り千両」を考える《その1》

こんにちは、神戸の税理士の岩佐孝彦です。

井原西鶴の日本永代蔵「浮世草子」にこんな一節があります。

「貯蓄十両、儲け百両、見切り千両、無欲万両」

これはなかなかの名言。
中小企業の経営者のお金の法則に相通ずるところがある、
そんなふうに考えています。

「儲かってもいないうちから、節税のことを言う」

これは、ダメ経営者のパターンです。
経営者は、儲けてナンボ。
節税ばかりに頭が回って、お金を残す努力だけではダメで、
お金儲けをやらなければいけません。

よって、

「貯蓄十両、儲け百両」

と言ったのは、
貯蓄とお金儲けではお金の増えるスピードに格段の違いがあるから。

ここまでは経営者なら誰でも理解できるでしょう。

問題は「見切り千両」  というフレーズ。相場の諺にもあります。
損を見切るだけの勇気がなければ、もっと大損するのはよくある話。
ただ見切るという【決断】は、なかなか難しいものがあります。

特に社長が優柔不断に陥りがちなのが【ヒト】の問題。

▼流行遅れや陳腐化した在庫の値引き処分

▼不要な機械設備を廃棄

▼坪単価が安く、かつアクセスのしやすい場所にオフィス移転

こうした【モノ】には見切りがスムーズにできても、
【ヒト】の「見切り千両」にはどうしても優柔不断になりがち…(汗)
組織論には「2:6:2の法則」があります。
良くできる社員2割、普通の社員6割、出来の悪い社員2割に
どんな組織でも分布されるという法則ですね。
よって、出来の悪い社員が存在するのは宿命と言えるでしょう。

ただ会社経営にとっては「人件費 = 最大の固定費」。
働く人の生産性が落ちるから、会社がおかしくなるのです。
億万長者メーカーとして名高いダン・ケネディ氏はこう言っています。

▼雇用はゆっくり、解雇は素早く

彼によれば統計上、 終始お粗末な仕事をし、トップの指示に従わず、

職場にマイナス影響  を与えていると社長が気づいてから、

▼平均6~18ヶ月後にやっと解雇が行われている
とのこと。
彼はこの現象を「社長の怠惰」と断罪しています。

またもう一つの間違いとして、

▼思いつきで補充人員を採用する

ことを指摘しています。
問題のある従業員をやっと解雇すると、そこに欠員が生じる。
しかし多くの経営者は空きを見越しての行動を何もしてこなかったので、
緊急非常事態として急いで採用活動を始める。
ここでも「社長の間違いの元」と彼は断罪しています。

確かにダン・ケネディ氏の言葉は100%鵜呑みにできない
ところはあります。
アメリカと日本では、雇用の考え方が異なるからです。
特に近年の日本では「不当解雇」として労働者の権利
を主張する風潮も高まっているのは確か。

また「給与が下がったから、この職場をすぐ辞める」的な文化が
組織にできると、優秀な人財は定着しませんから、

▼グッド&ニュー … 毎朝のミーティング

⇒ プラス思考の文化の醸成(24時間に起きた良いこと・悪いこと)

▼バースデーサークル … 社員の誕生日に存在を承認

⇒ 「●●さんがこの世に生まれてきてくれて、ほんとによかったです。

なぜなら…」

といったような組織マネジメント手法は導入すべきです。
(わが社でも実践中。今では社内恒例行事。)

ただ【見切り千両】という視点で考えると、
【雇用はゆっくりと、解雇は素早く】というのは、
なかなか痛いところを突いています。心に刺さりますね…(汗)

このお話は次週に続きます。

今日も社長業を楽しみましょう!

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