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将に五危あり

五危

 

こんにちは、神戸の税理士の岩佐孝彦です。

わが社も世間同様、今日からお盆休み明けで通常営業モードです。

世間の風潮としてはアベノミクスの影響もあってか、【守り】より【攻め】の動き

が活発化しています。ただ【社長業=究極のハイリスク請負業】ですから、常に

危機管理にはアンテナを張っておかねばなりませんね。

 

中国古代の兵書『孫子』にこんな一節があります。

「将に五危あり。必死は殺され、必生は虜にされ、忿速は侮られ、

廉潔は辱しめられ、愛民は煩さる」

 

将には5つの危険があるという警告を孫子は篇の最後で語っています。

五危の第一は、必死になること。経営の現場では業績の苦しい社長が「起死回生の

大勝負の販促」や「乾坤一擲の投資」をすることがありますが、往々にして土俵際

に追い込まれた時の打ち手は失敗するもの。

やはり経営は、土俵の真ん中で相撲を取ることが大切ですね…(汗)

 

五危の第二は、必生であること。これも社長の陥りやすいワナです。

会社経営で最も大切なのは「会社を潰さず、存続させること」とよく言われます。

ただ会社存続を目的に設定すると、経営者が消極的になってしまい、進撃のチャンス

が生まれても、守りに入り、つい見送ってしまうというリスクもあります。

注意が必要ですね…(汗)

 

五危の第三は、忿速であることです。

忿速とは短気、怒りっぽいという意味で、カッとなって思慮に欠ける反応をすると

冷静な経営判断ができないことを意味します。

経営者は常に「クールヘッド・ウォームハート」が大切ですね。

 

五危の第四の「廉潔」と「愛民」は一見すると、将として望ましいと思われます。

「廉潔」とは、人格として欲薄く、清廉であること。

経営者がエゴむき出しで強欲に走るのはよくないと考えられがちですが…(汗)

「愛民」とは、兵士や民を愛する心が豊かであること。

経営に置き換えると、従業員を大切にすることのどこが悪いのか???

 

ただこれについて、孫子はこう述べています。

「廉潔」の場合、敢えてその将を辱めるような作戦を取ったり、その種の風評を流したり

すると、それに廉潔な将は耐えられず、自分の自尊心を傷つけられたように感じて、

敵の術中にはまる。

これを経営の世界に置き換えると、私は「社長のお金はエゴではない。会社を守る

最後の砦」と考え、従業員に遠慮せず、正々堂々と役員報酬を取るべきということです。

例えば、年商50億円の経営者の方が年商10億円の社長より役員報酬が少ないという

ケースもあります。年商50億の社長は会社の銀行借入10億円の代表者個人保証を

しているにもかかわらず…(汗)

まさに「社長業は世界一割に合わない商売」になりますね…(泣)

従業員の物心両面からの幸福の追求が企業経営の使命ですが、それにとらわれ過ぎたり、

金融機関の目を気にし過ぎて、薄給で社長給与を抑えるのは本末転倒ですね。

 

「愛民」については孫子はこう指摘しています。

兵士を救いたい気持ちが強いために、どこかを攻撃されるとすぐにそこの防御に走り、

戦自体負けにつながる。結果として、愛民にならない。

これを経営に置き換えると、従業員を大切にしようとするあまり、雇用の現状維持に

固執するあまり、改善レベルの打ち手に終始し、改革レベルの対策実行が遅れる。

結果として、会社の将来に影を落とし、優秀な人材の流出に歯止めがかからなくなる

というリスクが生じます。

 

孫子の言葉はやはり奥が深いですね。

今日も社長業を楽しみましょう!

 

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