こんにちは、神戸の税理士の岩佐です。
先日の続きのお話です。
予定納税というのは、前期の納税額をベースに計算されます。
消費税等(地方消費税含む)の場合、
予定納税は以下のメカニズムになっています。
▼前期の確定税額 60万円以下 … 予定納税不要
▼前期の確定税額 60~500万円以下 … 年1回
▼前期の確定税額 500~600万円以下 … 年3回
▼前期の確定税額 6000万円超 … 年11回
今回の増税により、事業規模が同じでも、
これまで予定納税の対象でなかった会社が、対象になる可能性がある、
ということを忘れてはなりません。
例えば、5%時に納税額が50万円の事業規模の場合、
「50万円 ≦ 60万円」 で予定納税不要だったのが、
8%納税時に「納税額50万円×1.6倍=80万円 > 60万円」
になり、予定納税の対象になるわけです。
この他にも、現時点で予定納税の対象になっている会社は要注意!
年1回の予定納税 ⇒ 年3回になったり、
年3回の予定納税 ⇒ 年11回になったり、
という場合も考えられます。
予定納税の金額は、年1回の場合だと、前年の納税額の2分の1。
しかし、予定納税は【5%】字の税額が基準です。
確定納税時には【8%】になるため、確実に予定納税よりも多い額になる。
ファーストリテイリングCEOの柳井正氏の著書『この国を出よ』(小学館)に
こんな興味深いコメントがあります。
「1980年代後半、利益の約60%を税金で取られた。
例えば、二年連続で利益が10億円出たとしましょう。
まず、この利益から6億円が法人税、事業税、法人住民税などに消える。
【予定納税】として、前年度の納税額の2分の1にあたる3億円を
当年度半ばに納めなければなりませんでした。
すると、感覚としては1億円しか残らない。」
予定納税の怖さを示唆した奥深いコメントだと思います。
特に平成26年3月決算の法人は、予定納税の基準となる消費税額はすべて5%、
平成27年3月決算ではすべて8%の計算になります。
例えば、平成26年3月期の納税額が100万円の事業規模の場合、
▼予定納税額 … 100万円 × 2分の1 = 50万円
▼消費税額(予定納税+確定納税) = 100万円 × 1.6 = 160万円
▼確定納税額 = 消費税額160万円 - 予定納税額50万円 = 110万円
実際に直接的な影響が出るのはまだ先ですが、 資金繰りに大きな影響が出るのは必至です。
私どものクライアントの皆様におきましては、消費税の納税資金の確保の準備
が手持ちキャッシュで現状どれだけ賄えているのか?
という部分も含め、顧問税理士として今後十分ケアしたいと考えております。
今日も社長業を楽しみましょう。