こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の
岩佐孝彦@税理士です。
今週のYoutube動画は以下の通り。
『労働保険料を払うだけで
終わってはいけない』
(約6分)
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さて、全国の経営者にとって、
“衝撃の報道”
が入ってきました。
厚労省の諮問機関である
中央最低賃金審議会は
以下の方針を決定へ。
▼2021年度の最低賃金
⇒ 28円引上げ
▼全国加重平均時給
⇒ 930円
日本商工会議所は
以下のコメントを出しました。
「極めて残念であり、
到底納得できない。
困窮している事業者の実態や痛みを
理解していない」
りそな総研の荒木主席研究員
は疑問を呈されました。
「企業の売上も利益も
コロナ禍前の水準に
戻っていないのに、
賃金だけを上昇させるのは、
非常に違和感がある」
東大阪市のゴム製造業の
経営者は怒りを露わに。
「コロナ禍で国内景気が悪化し、
海外輸出でも
中国企業との競争で
利益が上がらない。
この状況で賃上げなど
一体何を考えているんだ!」
東京都内のサービス業の
役員は懸念を示しました。
「当社はPAが多い。
時給を上げるならば、
逆に労働時間を
減らさなければならない」
なぜ今、引上げを発表か?
総選挙が今秋に控えている
からと言われています。
読売新聞社より先日発表の
「内閣支持率」
は最低値へ。
4回目の緊急事態宣言で
東京五輪を強行する?
こうした国民の不満が
反映されたとか。
よって、
選挙対策を兼ねて、
「経営者の人数よりも
圧倒的多数の労働者」
に耳障りのよい施策が
発表されたともいわれます。
実際のところ、
労働組合を束ねる連合は
歓迎コメントを発表。
「これ以上、地域間格差を
広げてはならない。
こうした労働者側の主張に対し、
理解が示された」
このコメントにも
あるように、
「全国一律の引上げ」
であるのも今回の特徴です。
コロナ前は
各都道府県をA~Dに分け、
賃金の目安を示してきました。
例えば、2019年度は、
▼Aランク(東京や大阪)28円
▼Dランク(青森や沖縄)26円
と引上げ幅に差をつける。
しかし今年度は、
「無差別で28円」
となりました。
最低賃金は毎年10月から
適用されます。
厳しい秋になりそうです。
ただ今回の政府の施策は、
満を持して発表されたとも
考えられます。
菅総理のブレーン。
政府の成長戦略会議メンバー。
そんな英国人の
デービット・アトキンソン氏。
ゴールドマンサックス退職後、
軽井沢別荘のお隣のご縁で
国宝や重要文化財の
補修工事を手掛ける、
小西美術工藝社社長に就任。
様々な経営改革で
見事に業績を再建に導く。
そんな中小企業の経営者でも
ある同氏はこう主張します。
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日本商工会議所は、
「生産性を上げてから、
最低賃金を上げるべきだ」
と強調する。
しかし、商工会議所は
経済学の専門部隊ではなく、
あくまで中小企業経営者の
利益を代表する組織として、
発言を割り引く必要がある。
世界19ヶ国の長期間の
データを分析した結果、
「生産性が上がらなければ、
実質賃金が上がらない」
のではなく、
「実質賃金が上がらないと、
労働生産性が上がらなくなる」
と結論づけている。
利益が減るという事態に
直面しないと、
経営者は真剣に
「生産性向上」
に取り組まない。
そんな可能性が高いと
データは示唆しているのだ。
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アトキンソン氏の見解から
見えるのは、
「2021年度最低賃金UP」
の施策の意味するところは、
中小企業経営者に対し、
「労働生産性向上に
もっと真剣に取り組め!」
というリセットボタンを
強制的に押したということ。
「賃上げできない経営者は
退場すべし」
と突き付けられている。
そう解釈すべきでしょう。
私たち経営者は、
“見たくない現実”
から目を逸らしてはいけない。
まさに「常在戦場」です。
今日も社長業を楽しみましょう。