こんにちは、神戸の税理士の岩佐です。
私たちのオフィスも今日が仕事始め。
新しい年度も本格スタートとなりましたが、2014年度の税制改正大綱が昨年末に
発表になりました。
高額納税者日本一に何度もなった、経営の神様の松下幸之助氏。
1986年、16年ぶりに高額納税者日本一になった幸之助氏は、このように述べられました。
「私が常に感ずるのは、わが国の所得税は極めて高いということ。
国民が一生懸命働いて稼いだお金だから、 それを使う喜び、楽しみがもっとあってよい。
これだけ税金を取れば、徳川時代だったら 一揆が起こっているのではないか。」
1986年当時と 現代は時代背景も、税体系も異なります。
ただ上記の幸之助氏の言葉が2014年度税制改正大綱を分析してみると、
より一層マッチする様相となっています。(汗)
▼その1 … 【給与所得控除】の圧縮
《現行》
*年収1500万円超 … 「給与所得控除」の上限245万円
(注)「給与所得控除」とは領収証なしで無条件で給与収入から差し引いてくれる非課税枠
《改正》
*年収1200万円超 … 上限230万円(2016年度より)
*年収1000万円超 … 上限220万円(2017年度より)
《対策ポイント》
当初の案は、年収2000万円超の役員のみに限定したものでしたが、
上位4%を占める年収1000万円超の給与所得者に対し、
広く負担を求める形態になりました。
所得税法の10区分のうち【給与所得】の名目でのお金の取り方は、
社会保険料に加え、所得税の負担も大きくなるのは必至。(泣)
▼その2 … ゴルフ会員権&リゾート会員権の売却損失の増税
《現行》
売却損失 … 給与所得など他の所得と損益通算OK
《改正》
売却損失 … 他の所得と損益通算不可(平成26年4月1日以後)
《対策ポイント》
個人名義のゴルフ会員権やリゾート会員権で、含み損があるなら来年3月までに損切りすべし。
▼その3 … 売上高5000万円以下の保険代理店・不動産業 の消費増税
《現行》
消費税の簡易課税制度のみなし仕入率
*不動産業 … 50% *金融・保険業 … 60%
《改正》
*不動産業 … 40% *金融・保険業 … 50%
(平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用)
《活用ポイント》
売上高5000万円以下の場合にのみ 適用が認められる「簡易課税制度」。
消費税の計算は通常、【売上にかかる預かり消費税】から【仕入支払いにかかる消費税】
を差し引いた残りが納付税額になるメカ二ズム。ただ簡易課税制度は中小企業の事務負担軽減のため、
【売上にかかる預かり消費税】から、売上高に一定の【みなし率】を乗じた額を差し引いた金額 を
納付税額とできます。
ただ財務省の調べにより【保険代理店】と【不動産業】において、
実際の仕入率がみなし仕入率をかなり下回ることが判明。いわゆる【益税】の存在が発覚。
その結果、今回の増税に至ったとのこと。業種限定の狙い撃ちとなりました。(汗)
上記増税メニューのより深い対応策について、顧問先のお客様におきましては、
私からの新年のご挨拶を兼ねお送りした「新春CDマガジン」の中で詳しく解説しています。
今日も社長業を楽しみましょう。