こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の
岩佐孝彦@税理士です。
ICT(情報通信技術)のテクノロジーは、
「テレワーク(在宅勤務)」
として普及が進んでいます。
この時に問題となっているのは、
▼通信費
▼水道光熱費
の負担です。
在宅で仕事をする場合の
費用負担について、
▼プライベート使用分
▼業務使用分
の線引きが問題となります。
一般社団法人労務行政研究所による
「新型コロナウイルス感染症への
企業の対応アンケート」
(2020年8月25日~9月4日実施)
の結果は以下の通り。
Q.在宅勤務手当について
A. 支給しない (76.9%)
通勤手当で代替(12.9%)
定額で支給 (5.9%)
定額での支給は、
まだまだ少ないのが実情です。
大企業での「在宅勤務手当」
の具体例は以下の通り。
▼キリンホールディングス
⇒ 月4000円
(在宅勤務社員4000人対象)
▼NTTグループ
⇒ 1日200円
(グループ社員18万人対象)
▼富士通
⇒ 月5000円
⇒ その代わり、通勤定期代廃止
(グループ社員8万人対象)
月間の所定労働日数を
20日と考えれば、
「1日当たり200~250円」
といったところが相場です。
在宅勤務者を対象に
「通勤手当の代替」
として手当を付与している。
大企業でもこの方法を
採用しているケースが多い。
ただ中小企業ではやはり、
大企業のマネは難しい。
前述のように、
「支給しない」
が圧倒的に多いのでしょう。
たとえ支給したとしても、
「通勤手当で代替」
の割合も比較的多い。
通勤手当の場合、
「月額15万まで非課税」
です。
また時々出勤するケースもあるため、
実費精算する手間も省けます。
企業としても別途の
費用負担なしで済みます。
労働者から見ても、
通勤しなくて済むので、
時間的にも体力的にも楽です。
よって、毎月支給を受ける
「通勤手当」
の中に在宅勤務手当も含める。
そんな形で多くの理解あり。
こうしたケースが統計データ上、
圧倒的に多く見られます。
ちなみに大企業のように、
「在宅勤務手当の定額支給」
の形態であれば原則として、
「給与課税 = 源泉所得税対象」
になります。
実は先日、国税庁が、
「通信費の半額非課税」
に関するFAQを公表しました。
具体的には以下の通り。
▼通信費の非課税計算式
1ヶ月のインターネット接続料
× 在宅勤務日数/その月日数
× 2分の1
(例)
*インターネット接続に係る通信料
(基本使用料やデータ通信料)
⇒ 4000円
*在宅勤務日数15日
*当月日数30日
∴4000円 × 15日/30日 × 2分の1
= 1000円(非課税)
▼電気料金の非課税計算式
1ヶ月の電気料金
× 業務で使用した部屋の床面積
/ 自宅床面積
× 2分の1
(例)
*1ヶ月の電気料金
⇒ 10000円
*業務で使用した部屋の床面積
⇒ 6畳(9.72平方メートル)
*自宅床面積(3LDKマンション)
⇒ 80平方メートル
∴10000円 × 9.72 / 80
× 2分の1 = 607円(非課税)
以上のように、
▼通信費 … 在宅勤務日数
▼電気料金 … 床面積
に基づく合理的な計算式を用いたうえで、
▼2分の1 … 業務用として非課税
にする措置を国税庁が公表したのです。
税理士目線で言うならば、
かなり面倒くさい印象です。
非課税の道はやはり甘くない??
企業側も給与計算が複雑になります。
労働者側に対しても、
「個人の通話明細書」
「自宅の図面」
の提出を求めなければなりません。
上記の計算式で非課税部分を
明確にしようとすれば、
▼企業側 … 経理事務負担増加
▼労働者側 … プライバシー侵害
の問題が生じるのです。
自社で正式に採用するか否かは、
十分検討した方がよいでしょう。
今日も社長業を楽しみましょう。