こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
私(岩佐)が年2回、
定点観測している統計調査があります。
大阪シティ信用金庫による、
「中小企業の賞与支給実態調査」
です。
大阪府内1074社を対象。
これによれば、今夏は以下の通り。
▼支給企業割合 50.4%(前年比9.4%減)
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リーマンショック後(2009年)を超える減少幅
▼平均支給額 27万8946円
(前年比1万4969円減)
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消費税8%の増税(2014年)以来の落ち込み
業種別では、、
卸売業12.5%減、製造業8.1%減。
大阪府内の中小企業の
厳しい現実が浮き彫りになりました。
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全国の医療機関も厳しい状況です。
日本医療労働組合連合会による、
夏季賞与実態調査です。
対象は、338機関。
約3割が前年より夏季ボーナス減。
その理由は以下の通り。
▼コロナ禍による外来患者や入院患者数の増加
▼感染予防対策のための諸経費や人件費の増加
例えば、、
東京女子医科大学病院は、
「夏季ボーナス全額カット」
だとか。
これに対し、現場からこんな声が挙がりました。
「コロナで大変なり始めた時から、
心身ともにきつい場面がありました。
でも給料のため、ボーナスのため、
自分が生きていくために、
歯を食いしばって頑張ってきました。
私たち看護職がいなくなったら、
誰が看護するんですか?
誰が患者を診るのですか?」
「コロナのことがあるので、
今までと同じような額は期待していませんでした。
それでも仕方ないと思っていましたが、
まさか支給なしになるとは思いませんでした。」
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同大学病院では、退職者が続出。
退職希望の看護師は400人以上。
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医療従事者に対して、、
全国民がコロナ禍の中、心より敬意を表していました。
日々の発熱チェックや感染予防。
常に感染リスクにさらされながら、
まさに身体を張って、医療に従事してこられた。
頭が下がる思いしかありません。
しかし、、
極度の緊張感の中で働いている。
そんな職員にとって、
ボーナスがゼロ。もしくは、半分に減らされる。
気持ちが切れてしまって当然でしょう。
本当に心の痛む報道です。
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賞与は、成果配分です。
賞与をインセンティブにし、
「社員をいかにやる気にさせるか?」
は経営手腕にかかっています。
実は、インセンティブには、
「3種類」
あるのをご存知でしょうか?
▼経済的インセンティブ
▼社会的インセンティブ
▼道徳的インセンティブ
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経済的インセンティブとは?
金銭的なメリットです。
まさに「賞与」ですね。
社会的インセンティブとは?
社会の一員として、周囲に恥ずかしくない行動をする。
例えば、、
小さな村で自分がコロナに感染したら、
周囲に迷惑をかけることになります。
まさに「村八分」です。
小さな村の住人の方が、
都市部の人よりも感染予防に努める。
そんな傾向もあります。
道徳的インセンティブとは?
道徳的に見て、良いか悪いか?
相手に対し、申し訳ないと思う気持ちです。
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前述の東京女子医大病院で考えるとどうなのか?
医療従事者の皆さんは、
「道徳的インセンティブ」
をもって尽力されてきた。
しかし、それだけでは長続きしません。
「経済的インセンティブ」
が得られる希望がなくなれば、、
気持ちが切れ、大量退職に傾いてしまう。
インセンティブの在り方を考えさせられます。
人をいい人と悪い人で分類する。
そういう人ほど、騙されやすいと言われます。
いい人が悪事を働くことはある。
逆に、悪い人が善事をすることはある。
この根底にはすべて、
「インセンティブ」
の存在があるのです。
いいことをするには、理由がある。
逆に、悪いことをするには、理由がある。
田舎の人は都会の人より優しい。
そんな傾向が見られるのは、
「社会的インセンティブ」
が働いているからです。
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しかし、、
インセンティブの扱い方を間違えば、
望ましくない結果を引き寄せる。
そんな事例が紹介されているのが、
『ヤバい経済学』(東洋経済新報社)
という書籍です。
ベストセラーになりました。
著者は、スティーブン・レヴィット氏。
この中で、
「保育園の罰金制度」
について紹介されています。
ある保育園では今まで、
遅刻しても罰金はありませんでした。
母親たちは申し訳ないと思いながら、
なるべく時間に合わせて、
子供の送迎をしてきた。
つまり、、
「道徳的インセンティブ」
が働き、遅刻しないよう努めてきた。
そんな中で、、
保育園は遅刻を減らすべく、
「3ドルの罰金制度」
を設けました。
すると、逆に遅刻が増えてしまったのです。
つまり、
「道徳的インセンティブが経済的インセンティブへ」
置き換わったのです。
母親の心の中で、
「3ドル払えば、遅刻してもいいんだ。」
という思考になってしまった。
全く逆効果になってしまったのです。
インセンティブの使い方について考えさせられますね。
コロナ不況をチャンスに!
今日も社長業を楽しみましょう。