こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
『雇用調整助成金(特例)』は創設以来、変更のオンパレード。
この助成金は当初から、煩雑な手続きが問題である。
そう指摘されてきました。
そこで厚労省は、
▼記載事項の簡略化
▼オンライン申請
を可能とし、全国の中小企業が利用しやすくする。
こうして、制度変更を繰り返してきたのです。
しかし、オンライン申請開始直後のこと。
個人情報の漏洩問題が生じ、一時中止。
申請手続きの現場では、混乱を見せています。
(6月5日よりオンライン申請再開予定)
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5月29日に厚労省より公表された、
最新情報で大きなトピックは以下の通り。
▼正社員とパート社員の休業手当の
支払率が異なる場合、
以下の3つのいずれかの方法での
申請が認められるように。
★適用される労働者数が最も多い支払率
★労働者毎の支払率の単純平均
★加重平均による支払率
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これは、「休業手当」の支給率の設定の上で朗報です!
例えば、以下のケースを考えてみましょう。
▼パート社員 … 通常時の賃金の100%
▼正社員 … 平均賃金の60%
このように支給率を変えた場合、
従来は以下の取扱いでした。
助成額の算出はパート社員も含め、
「全社員に対し平均賃金の60%」
の支給をしたものとみなされる。
パート社員に対し、100%の支給をせっかくした場合でも、
60%までしか国からの補助は受けられない。
そんな事態も見られました。
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しかし、、
100%支給のパート社員の人数の方が、
60%支給の正社員の人数を上回る。
この場合、60%支給の正社員にも
支給率100%とみなし、
助成額の計算ができるようになりました。
つまり、一部の正社員には平均賃金の60%と
ならざるを得なかった場合でも、
「社員の生活を守る」
という経営者の使命に基づき、
パート社員も含め大半の社員に対し、
通常時の賃金の100%を支払う。
そうすれば、、
個々の支払率は度外視され、
事業所全体の支払総額と延べ日数で、
助成額の計算が行われるのです。
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雇用調整助成金の上限引き上げ法案は、
▼6月8日に国会に提出
▼6月12日までの成立を目指す
予定です。
よって上記以外の詳細は、
現時点で明らかになっていません。
厚生労働省から具体的な制度内容の
詳細が正式に発表されるのは、
7月にずれ込む可能性もあります。
よって、経営者の中には、
▼日額上限15000円の引き上げ
が正式に決まるまで、
助成金の申請を待った方が有利??
そんな疑問が生まれています。
さすがに、、
これだけ頻繁に制度が変わると、
二の足を踏んでしまうかもしれません。
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ただ結論から言えば、
▼正式に決定する前に申請手続きは
できるだけ早く実行すべし
というのが私(岩佐)の考えです。
なぜなら、早く申請すれば、
それだけ早く助成金を受給できるからです。
資金確保は時間との闘いです。
キャッシュフローを重視し、
助成金を早く手にできれば、
経営者の心の中に安心感が生まれます。
そうすれば、、
アフターコロナ時代を見据えた
経営戦略をスムーズに実行できるでしょう。
経営者がお金の心配に陥ると、
“未来創造”
のエネルギーが湧いてこない。
そんな負の連鎖が始まるのです。
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今回の拡充に伴う適用期間は、
▼4月1日に遡及
される見通しです。
現時点では詳細が決定していないため、
あくまで私見ですが、
『日額上限8330円(現行)』
でいったん申請し、助成金を受給済。
そんな企業でも、
『日額上限15000円(今後)』
との差額は遡及して、
国から後日支給されるのではないかと
予想しています。
ビフォア・アフターで、
日額約7000円の差は大きいため、
上限引き上げ前に申請した企業が損する??
そんな不条理が生まれないように、
何らかの手当を国が行う??
そう考えています。
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雇用調整助成金と同様、
『小学校休業等対応助成金』
も日額上限15000円に引き上げへ。
そんな方針が政府から打ち出されています。
この助成金は、売上をはじめ経営成績など
会社の状況に一切関係なく、
社員本人の個別事情のみが要件です。
よって、使い勝手がよい面があります。
但し、従来から助成額の日額上限は8330円。
よって、同じワーキングマザーでも、
パート社員を対象にすれば、
上限の範囲で収まるケースが大半でした。
しかし、正社員は上限の範囲内に収まらない。
そんな場面がよく見られました。
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そんな状況の中で、5月27日のこと。
政府は第2次補正予算案で、
小学校休業等対応助成金の方も、
『日額上限額15000円』
に引き上げる方針を明らかにしました。
この拡充によって、正社員でも上限内に収まる。
そんなケースが格段に増えると予想されます。
国税庁による
『平成30年度民間給与実態統計調査結果』
によれば、女性の平均年収は293万円。
日額上限15000円を月給換算すれば、
約33万円。
年収ベースでは約400万円になります。
こうした最新の動向を踏まえると、
経営者はワーキングマザーに対し、
正規か非正規かを問わず、
「休業手当」は100%を支払うべきです。
それでも、国が100%補助してくれるからです。
小学校等の臨時休校が続いたために、
休暇(年次有給休暇を除く)を取得。
そんなワーキングマザーに対して是非、
「レディーファースト」
の精神を見せてあげましょう。
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まあ、このように書けば、
経営者の多くが、
「政府は今更、何なんだ!
こんなことなら、最初からこうしておけよ。
“日額上限8330円の壁”
に俺(私)はずっと悩まされてきたのに…」
と思うことでしょう。
ただ紆余曲折を経て、ようやく、
「社員第一主義」
を取ってきた組織に対し、
“救済の手”
が差し伸べられる。
そんな様相が見えてきました。
まさにハッピーエンド??
終わりよければ、すべてよし??
ピンチをチャンスに!
この難局を共に乗り越えましょう。