こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
前回の続きです。
傷病手当金は一体いくら支払われるのか?
支給額の計算式は以下の通り。
▼1日の支給額
=
直近1年の標準報酬月額の平均額
× 30分の1
× 3分の2
上記の式で注目してほしいのは、
【3分の2(≒66.7%)】
の数字です。
業務災害による疾病の欠勤の場合、
▼当初3日間 … 休業補償(労基法)
⇒ 平均賃金 × 60%
▼4日目以降 … 休業補償給付(労災保険法)
⇒ 給付基礎日額 × 60%
となっています。
労基法上も労災保険法上も、
病欠時(業務災害)のリカバリーは、
【60%】
です。
一方、健康保険法上は、
病欠時(私傷病)のリカバリーは、
【66.7%】
になっています。
つまり、6.7%分だけ プレミアが付されています。
このプレミアは何を意味するのか?
「賞与からも健康保険料を徴収しているのに、
保険給付に反映できずにごめんなさい。
お詫びの証として、
病欠の時は6.7%だけ色を付けて支払います。
だから、許してちょうだいね。」
こんな政府からのメッセージが 込められているのです。
毎月の給与(標準報酬月額)から
徴収されている健康保険料は 保険給付の財源です。
しかし、賞与(標準賞与)から
徴収されている健康保険料は、
保険給付の財源ではなく、 年金などに回されています。
つまり、万一の時の 保険給付の財源ではないのです。
よって、その補填の一環として 傷病手当金支給時に
6.7%だけ上乗せしてくれている。
これが健康保険財政の実態なのです。
それなら…
社員にとっては、 傷病手当金をもらう方がお得です。
毎月給与から天引きされる形で、
健康保険料を社員は負担しています。
貴重な「有給」を消化するのは、もったいない。
法人にとっても、 傷病手当金の方がお得です。
社員の病欠4日目以降は、 無給でOK。
傷病手当金の支払いは、
全国健保協会が行ってくれます。
法人の負担はゼロ。
傷病手当金をかしこく使えば、
▼経営者第一主義
▼社員第一主義
の両立を追求できるのです。
ただ傷病手当金の利用については、
以下の点に注意して下さい。
▼連続3日間の療養が必要
⇒ 通算3日ではない。
▼支給期間は最長1年6ヶ月
⇒ 支給開始日から起算する。
▼支給申請手続きに際して
⇒ 医師の診断書が必要である。
以上、ご注意ください。
今日も社長業を楽しみましょう。