こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
今週から所得税確定申告期間がスタートしました。
毎年この時期になると、感じることがあります。
「税金って、ホントに高いなぁ」
所得税確定申告期間は、
個人の税金を考える時期です。
所得税&住民税の合計税率は、以下のとおり。
(課税総所得の低い順)
▼~195万円 15%
▼195万~330万円 20%
▼330万~695万円 30%
▼695万~900万円 33%
▼900万~1800万円 43%
▼1800万~4000万円 50%
▼4000万~ 55%
所得税は『累進税率』です。
所得が高ければ高いほど、高い税率になります。
『税高くして民滅び、国亡ぶ』
知の巨人の異名を持つ。
渡部昇一氏(上智大学名誉教授)は、
ご著書の中でこう述べておられます。
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まるで大昔から続いた
万古不易の真理のように思われている。
それが、累進課税である。
これまで累進課税が「税金の正義」
を体現したものである。
そう証明できた人は、一人としていない。
累進課税の原則はじつ脆い。
その最大の弱点は、恣意的な変動を許すこと。
つまり、「きりなく上がる」のである。
(中略)
それならば、「税率の平等」しかない。
平等の原則に最も近いのは、一律ということである。
金持ちからも貧乏人からも、一律に取る。
私の主張である『一律一割』とすれば、
百億円の収入のあるディズニー会長も、
年収百万円のフリーターも一律に取る。
前者は十億円払い、後者は十万円を払う。
これなら平等である。
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なるほど。学者ならではのご提言です。
しかし実務家の立場からすれば、
上記は机上の空論かもしれません。
累進課税がなくなる??
それは将来もあり得ないでしょう。
ただ渡部先生が推奨する
『一律一割』
の税金があります。
それは『住民税』。
個人に対し課せられるのは、
▼国税の所得税
▼地方税の住民税
ですが、住民税の内訳は以下のとおり。
▼市町村民税 6%
▼道府県民税 4% 計10%
上記は所得割の税率ですが、一律一割(=10%)。
ただ所得税と合わせると、
最高55%の税率になるのです。
一律一割(=10%)の住民税を安くする人気の方法あり。
『ふるさと納税』ですね。
私どもの顧問先の多くのお客様で、
今回の確定申告で処理させて頂く予定。
統計データによれば以下の通り。
2018年度は5000億円。過去最高を更新。
2019年度の発表はまだですが、
恐らく駆け込みがあったでしょう。
なぜなら、2019年度税制改正にて、
以下の規制が入ったからです。
▼2019年6月以降より、ルールを厳格化へ
▼返礼品は寄付額の3割以下
▼このルールを遵守しない自治体は控除対象から除外処分
この改正により、最も大きな打撃を受けた自治体あり。
泉佐野市(大阪府)です。
全国の自治体の中で、2018年度1位。
全体の寄付額5000億円のうち、
シェア10%に相当する500億円。
当時の泉佐野市の返礼品は以下の通り。
▼寄付額の5割以上に相当する牛肉やビール
▼アマゾンのギフト券贈呈のキャンペーン
しかし、こうした過度な返礼が問題視され、
泉佐野市は国より除外認定へ。
つまり今後は同市に寄付しても、
「住民税の控除」
が受けられなくなったのです。
これに対し、同市は不服を訴える。
国(高市早苗総務相)を相手に、
取り消しを求める裁判を起こす。
ただ先日、大きなニュースがありました。
『泉佐野市の敗訴』
結果、国側が勝訴しました。
大阪高裁にて、泉佐野市の請求は棄却されたのです。
今回の判決ではっきりしたのは何か?
総務相がノーだと判断すれば、
ふるさと納税から除外できるということ。
返礼品の規制を盛り込んだ
改正地方税法に関する告示では、
「返礼品を寄付額の3割以下の地場品に限る」
といった記載はあります。
しかし、過去の通知にあったような、
「資産性の高いもの」
「価額が高額なもの」
を贈らないようにという記載はありません。
よって、今でも家電や宝飾品を
返礼品にしている自治体があるとか。
ただ今回の判決で総務省の考えが
全面的に支持されたことで、
自治体にとって、制度の抜け穴を突くリスクは高まった。
そう分析されています。
寄付して、豪華な返礼品ゲット!?
そんな“ふるさと納税黄金時代”が、
今後戻ることはないかもしれません。
2008年にスタートした、ふるさと納税。
いま大きな曲がり角を迎えています。
これも時代の流れです。
今日も社長業を楽しみましょう。