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【退職金制度考その3】時流にマッチした制度はこれだ!

こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。

いま時流に合った退職金制度とは何か?

2018年5月よりスタート。その名は以下の通りです。

 

 

 

『イデコプラス(iDeCo+)=中小事業主掛金納付制度』

 

 

社員が個人で加入する「個人型確定拠出年金」

に会社が掛金を上乗せする。

社員個人の負担する掛金は、国民年金基金連合会へ。

そして、社員が自己責任のもと、証券会社で運用します。

制度の基本メカニズムは以上です。

 

 

 

▼メリット

*社員個人は最低月額1,000円の掛金負担でOK

⇒ 掛金負担額は「全額所得控除」

⇒ 60歳になれば、引出しOK

⇒ 一時金(退職所得)で受取り可

⇒ 掛金総額(個人&会社合計)の最低限度額は月額5,000円

⇒ 社員個人の掛金1,000円なら会社負担の掛金4,000円が
最低負担額となる。

(中退共の最低月額5,000円より会社の負担は軽い)

 

 

 

*掛金の上限は月額23,000円

⇒ 社員個人の掛金1,000円なら、残り22,000円までの範囲で
会社は自由に掛金を設定OK

⇒ 年度によって減額OK

(中退共や養老保険と違い、掛金の減額がスムーズにOK)

 

 

 

*会社が負担する掛金は全額損金計上(中退共と同じ効果あり)

 

 

 

*社員が退職した場合

⇒ イデコプラスの制度を有する企業に転職した場合、引継ぎ可

⇒ イデコプラスの制度を有さない企業に転職した時

⇒ イデコ(個人型確定拠出型年金)自体は継続OK

(社員にとってポータブル性OK)

 

 

 

*社員自身が加入するイデコの商品は証券会社でニーズに合わせ、
自由に選択OK

 

 

 

*運用益は非課税

⇒ 通常の金融商品にはあり得ない??

 

 

 

*毎月払いの他、複数月分や年払いもOK

⇒ 社員から見れば、賞与月にまとめて払ってもOK

⇒ 会社から見れば、決算月に決算賞与の一環として年払いOK

(毎年掛金の負担額は変更可)

 

 

 

▼デメリット

*毎月の口座管理料(最安値171円)⇒ 社員個人負担

(注)初期費用2,829円あり

 

 

*60歳まで社員は掛金を引き出せない。

 

 

 

*加入要件は、60歳未満。

⇒ 60歳以上の社員は加入不可

:
:
:

社員にとっての最大のメリットは「税効果」でしょう。
まさに『社員版・小規模企業共済制度』!

経営者にとっての公的制度として、

 

 

 

▼掛金  … 「全額所得控除」

▼解約時 … 「退職所得」
という小規模企業共済制度があります。

民間の生保控除であれば、いくら保険料を支払っても、

4~5万円の所得控除しか受けられない。

それが小規模企業共済であれば、
月額上限7万円(年間84万円)の場合、

年収2,000万円以上の経営者であれば、42万円の税効果OK。

つまり、自己負担で払った掛金が100%経費計上OK。

しかし、このメカニズムを得られるのは、
役員のみに限定されます。

まさに経営者(同族役員含む)のみの特権なのです。

社員(雇用者)には無縁の制度です。

社員があまりに不憫でなりません。

(汗)

 

 

 

ただイデコプラスなら心配無用!

社員(雇用者)も同じメカニズムで、税効果が得られます。

 

 

 

▼掛金  ⇒ 「全額所得控除」

▼運用益 ⇒ 「非課税」

▼60歳~70歳の間で一時金の受取時

⇒ 所得税法上「退職所得」扱い

⇒ 加入期間20年なら、退職所得控除800万円あり

社員が自己責任のもと、運用しますが、運用益が非課税です。

通常の金融商品は、分離課税約20 %の税金がかかりますが、

イデコプラスは優遇されているのです。

よって、毎月の口座管理料負担のデメリットが確かに

社員個人にありますが、税効果で十分カバーできるでしょう。

社員にとって、さほど大きなデメリットにはなりません。

7月30日付の日経新聞には、こんな記事が出ました。

 

 

『イデコは節税投資の「王様」賢く使う7法則』

 

 

8月21日付の日経ビジネスには、
金融関係者の声が紹介されていました。

 

 

『国による節税の大判振る舞いで、やらないと損』

 

 

天下の日本経済新聞社グループが
評しているため、信用度は高いですね。

ただ2018年5月にスタートしたばかり。

まだ世間に普及していません。2019年6月時点で約600社。

ただ6月の『老後資金2,000万円問題』が発端となり、

世間の注目は非常に高まっているとか。

まさに時流にマッチした退職金制度です。

 

 

 

会社側から見ても、良い制度です。

掛金を毎年フレキシブルに設定できる。

いったん設定した掛金が固定費として、
経営上の重荷になるリスクは低いです。

中退共と違い、減額に社員の同意は不要です。

業績が良い事業年度には、決算賞与の一環で社員に還元OK。

そして何より、社員負担分の掛金は、
給与明細に記載されます。

つまり、源泉徴収制度になっています。

例えば、社員負担分の月額1,000円は、
給与から天引きされるため、

 

 

▼源泉所得税

▼厚生年金保険料

▼介護保険料(40歳以上の場合)

▼住民税(特別徴収)

 

 

と同様に控除されます。

そのうえで会社負担4,000円と合わせ、
計5,000円を、会社が国民年金基金連合会へ支払います。

 

年末調整時に社員から会社へ、

 

 

「小規模企業等掛金控除証明書」

 

 

を提出しなくてもOK。

会社は毎月の給与明細書上で把握できているので、

年末調整で全額所得控除の処理OK。

 

社員は毎月の給与明細を見るたびに、
こう思うかもしれません。

 

 

 

「天引きされている1,000円は、俺の老後資金になっていく。

全額所得控除だから、この分だけ税金が安くなって嬉しい。

会社から掛金は毎月上乗せもしてくれている。

厚生年金保険料も同じように天引きされてるけど、

これは俺の老後資金になるわけじゃないしな。

厚生年金保険料なんて、第二の税金じゃないのか?

公的年金は「世代間扶養」だからな。

今の高齢世代を俺たち現役世代が支えているということ。

でも、少子高齢化の時代だから、俺が高齢になった時は、

俺たちを支えてくれる現役世代は、
間違いなく今より少ない。

公的年金なんて、どうなるのか、本当にわからないや。

でも、うちの会社には決算賞与で、会社負担の掛金を

増額してくれる制度もあるからな。

頑張って成果を上げていこう!

うまく運用できれば、老後資金をもっと増やせるぞ!」

 

 

このように、社員のやる気向上に直結しやすいでしょう。

 

 

イデコプラスは社員数100人以下の事業主が加入要件です。

まさに中小企業のための制度です。

イデコプラス以外の選択肢として近年、

『簡易企業型年金』も創設されました。

中小企業でも企業年金を導入しやすい
ように法整備が進んだのです。

 

 

しかし、以下の点で企業負担が重い点がボトルネックです。

▼一定の加入資格を定めることができない

⇒ 勤続年数3年以上などの要件を定めることができない。

⇒ 全員加入が原則

▼掛金は定額のみ

⇒ 掛金減額などフレキシブルに対応できない。

:
:
:

以上のように考察すれば、

 

 

▼「社長」第一主義 ⇒ YES

▼「社員」第一主義 ⇒ YES

 

 

の退職金制度は、

 

 

『イデコプラス(iDeCo+)=中小事業主掛金納付制度』

 

 

が時流にマッチしている。私(岩佐)はそう考えています。

 

 

小林一三氏(阪急東宝グループ創業者)に
こんな名言があります。

…………………………………………………

百歩先の見えるものは、狂人扱いされる。

五十歩先の見えるものは、多くは犠牲者となる。

十歩先の見えるものは、成功者である。

現在が見えぬのは、落伍者である。

…………………………………………………

 

 

パナソニックもソニーも10月に、確定拠出年金に全面移行へ。

博報堂は昨年4月より移行へ。

時代はもはや、確定拠出年金です。

ただ同じ確定拠出年金でも、大企業の場合、

「企業型・確定拠出年金」です。

 

 

小林一三氏の言葉を借りれば、中小企業にとって、

“五十歩先”の制度かもしれません。

 

 

中小企業の場合はやはり、

「個人型・確定拠出年金をベースのイデコプラス」

が“十歩先”の制度である??

わが社も2020年に導入予定です。

制度自体のライフサイクルは、いま創業期です。

数年後には一気に成長期のカーブへ。

そんな時流予測ができます。

 

 

▼トップ(経営者)

▼現場(社員)

 

 

の相乗効果に加え、

 

 

▼税理士法人(= 税務署の用心棒)

▼社労士法人(= 労基署の用心棒)

 

 

の相乗効果も追求してまいります。

今日も社長業を楽しみましょう。

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