こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
今日は前回ブログの『相乗効果』のお話の続きです。
人手不足時代下のビジネス社会で『相乗効果』
を意識すべき存在は誰か?
それは、
▼トップ(経営者)
▼現場(社員)
でしょう。コヴィー氏流に言えば、
「トップと現場の二者が合わさることで、
掛け算式で成果を上げる」
になれば、鬼に金棒です。
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「社長」第一主義 と「社員」第一主義。
この両立を説いた名経営者とは??
近藤宣之氏(日本レーザー会長)です。
*慶応義塾大学大学院ビジネススクール
*松下幸之助経営塾
*ダイヤモンド経営塾
*日本経営合理化協会
など講演多数。
*第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の
「中小企業庁長官賞」
*第10回「勇気ある経営大賞」
*第3回「ホワイト企業大賞」
など受賞多数。
近藤氏はこうおっしゃっておられます。
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中小企業は、「社長」第一主義が正しい。
しかし、「社長」第一主義は同時に、
「社員」第一主義でなければなりません。
会社は、社長が贅沢をしたり、
暴利をむさぼるために存在するのではありません。
会社は「社員が人生の喜びを知り、成長する舞台」
なのです。
よって、理念やビジョンは社員の幸せに直結すべきです。
欧米では、「社長」第一主義と「社員」第一主義は両立しない。
資本家と労働者は対立するのが、
欧米では前提になっています。
しかし、私は、
「経営者と雇用者は対立するのではなく、理念を共有する関係」
であると考えています。
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さすが!「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞は違う。
敬服の限りです。
本来「社長」第一主義である。
そんな会社組織において「社員」第一主義を取り入れていく。
これが経営のキモである。
近藤氏はそう説いておられるのです。
ただ理念やビジョンを共有するカタチをいかに具現化すべきか?
私(岩佐)は社員に対する『退職金制度』
の設計がキモになると考えています。
6月に金融庁報告書における、
「公的年金だけでは、老後資金は2000万円不足する」
という記述が世間を賑わせました。
そんな背景もあり、雇用者の間で一気に老後不安が
いま高まっています。
自助努力で老後資金をいかに準備してくべきか?
社員のこれからの人生にとって、
死活問題になっていくでしょう。
それではどのように『退職金制度』
を作っていくべきでしょうか?
中小企業の退職金制度の代表例は、
▼中小企業退職金共済制度(中退共)
▼養老保険による福利厚生プラン
ですね。皆さんの会社でもすでに導入されているでしょう。
まず、中退共から見てみましょう。
私(岩佐)はこの制度は勤続疲労を起こしていると考えています。
デメリットの方がメリットより多い。その根拠は以下の通りです。
▼メリット
*全額損金OK
*新しく加入する事業主に助成制度あり
⇒ 掛金月額の2分の1を加入後4ヶ月目より1年間助成
*掛金月額18000円以下の社員の掛金を
増額する事業主に助成制度あり
⇒ 増額分の3分の1を1年間助成
▼デメリット
*正社員は全員加入が原則
⇒ 勤続年数3年以上などの条件設定が難しい
(注)PA、有期雇用社員は除いてOK
*掛金を減額するのは困難
⇒ 社員の同意が必要
⇒ いったん決めた掛金月額は固定費として経営負担になる
⇒ 最低月額は5000円のため、
1人当たり年間6万円の固定費増
*加入後2年未満の退職の場合、退職金は掛金総額を下回る。
⇒ 会社側から見れば、掛け損になる
*懲戒解雇の社員に対しても、中退共より直接退職金が支払われる。
*利率は年度ごとに変化
⇒ 平成31年度の「厚労大臣が定める利率」はゼロと定められた。
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このように経営者から見れば、リスクが大きい制度と言えます。
加入時に助成制度があるとはいえ、
あくまで一時的なものにすぎません。
他方、社員から見れば、懲戒解雇でも退職金がもらえる。
パラダイス(?)の制度でしょう。
ただ長年勤務の功労に報いる。
それが退職金の本質であるはずです。
これは世間の常識からすれば、矛盾しており、不合理な話です。
組織に貢献しようが、懲戒解雇になろうが、
退職金が確実に社員の手に渡る??
中退共は社員の既得権の制度??
▼「社長」第一主義 ⇒ NO
▼「社員」第一主義 ⇒ YES
「二者の両立&相乗効果」という理念やビジョンを実現する。
それには、中退共は難しいかもしれません。
利率についても今年度ゼロ。これも時代遅れ感が否めません。
それでは、『養老保険による福利厚生プラン』はどうか?
このお話は次回に続きます。
今日も社長業を楽しみましょう。