こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
関電問題など国内が混沌としている中、
一人の名経営者がインドで一旗揚げました。
その名は、柳井正氏。
ファーストリテイリングの会長兼社長。
フォーブス「日本長者番付2019」で孫正義氏を抜き、首位。
日本トップの富豪でいらっしゃいます。
そんな柳井氏率いるユニクロが先日、
インド第1号店をオープン。
ユニクロはインドを最重要市場と位置付け、
2号店・3号店もニューデリー付近でまもなくオープン予定とか。
そんな柳井氏は日経ビジネス最新号で、
こう語っておられます。
…………………………………………………
最悪ですから、日本は。
日本は、世界の最先端の国から、
もう中位の国になっています。
ひょっとしたら、発展途上国になるんじゃないか。
国民の所得は伸びず、
企業もまだ製造業が中心でしょう。
IotとかAI、ロボティクスが重要だと言っていても、
本格的に取り組む企業はほとんどありません。
あるとしても、
僕らみたいな老人が引っ張る会社ばかりでしょう。
起業家の多くも上場して引退するから、
僕は「日本の起業家は引退興行」と言っています。
今成長しているのは本当の起業家が
経営している企業だけです。
…………………………………………………
いやあ、何か喝を入れられた気分です。
身が引き締まります。
(笑)
柳井氏はソフトバンク社外取締役も
お務めでいらっしゃいますので、
「日本の起業家は引退興行」
というのは、先日ヤフーに売却した、
ZOZO創業者の前澤氏のこと??
柳井正氏は、“御年70歳”。
攻めの経営姿勢に衰えを全く感じさせません。
本当に敬服の限りです。
:
:
:
御年70歳の柳井氏のエネルギーを全国民も拝受すべき??
政府は『全世代型社会保障』に向けた
今後の制度改革の柱として、
「70歳まで働く」
ことを軸とする政策を打ち出しています。
具体的には『在職老齢年金制度の見直し』です。
これは、働く高齢者の年金を減らす。
そんな制度です。
現行は以下の要件を満たす場合に、
公的年金が減額されます。
▼65歳以上
▼下記合計が47万円を超えるとき
*総報酬月額相当額
:標準報酬月額 +(その月以前1年間の標準賞与総額 ÷ 12)
*基本月額:老齢厚生年金の額 ÷ 12
上記対象者は現在36万人。
月収基準は現在47万円。
これを将来的に【62万円】に引き上げる方向で
厚労省が検討しています。
これにより上記対象者は、
現在の半分の18万人になる見通し。
なぜ、62万円なのか?
それは標準報酬月額の最高等級が62万円だからです。
「年金が減らないように働く時間を抑える」
そんな動きが抑制でき、
就労を後押しする効果が期待されるとか。
過去に比べて、元気に働くシニアが増えています。
カリスマ経営者の柳井氏を模範に(?)
「70歳まで働く」
は今後当たり前の時代になるでしょう。
厚労省の助成金もあります。
『65歳超継続雇用促進コース』です。
66歳以上に定年を引き上げた場合を見てみましょう。
60歳以上の被保険者数によって、
助成金は以下の通りです。
▼1~2人
*5歳未満引上げ 15万円
*5歳以上引上げ 20万円
▼3~9人
*5歳未満引上げ 30万円
*5歳以上引上げ 120万円
▼10人以上
*5歳未満引上げ 35万円
*5歳以上引上げ 160万円
例えば、60代の社員が3名いる企業が
65歳の定年を国策に従い、5歳引き上げ、
70歳を定年とする。
そうすれば、120万円の助成金が得られるのです。
在職老齢厚生年金制度見直しの動きは、
経営者にとっても朗報です。
高額報酬で現役を長く続けたばかりに…
65歳になっても、老齢厚生年金を1円ももらえない。
そんな経営者が大変多いからです。
長年社員同様に、
毎月の役員報酬から厚生年金保険料を
負担してきたにもかかわらず、老齢厚生年金はゼロ。
よって、経営者自身の厚生年金保険料は、
実質掛け捨てになっているのです。
時流を先読みし、経営者のリタイアメントプランを
しっかり設計して下さい。
▼法人から支給の役員退職金について
*いつ、いくら取るのか?
*その財源は生保で用意OKか?
しかし、役員退職金を甘く見てはいけません。
もし億超えの金額になるのであれば、
社会通念上の範囲は超えます。
税務上の適正な役員退職金を計算する
ための3要素は以下の通りです。
▼最終役員報酬月額
⇒ 退任前の直前3期の実績は必要
▼在任期間
⇒ 役員退職金規定の整備
⇒ 1年未満の端数は切上げOK
▼功績倍率
⇒ 上限3.0倍がベスト
生保で積み立てている退職金財源の金額は、
税務上は全く関係なし。
そんな理屈は課税当局の前では、通用しません。
役員退職金は税効果が大きいがゆえに、
税務調査で百発百中シビアに見られます。
十分注意して下さい。
柳井正氏は日経ビジネス最新号で、
『柳井正氏の怒り「このままでは日本は滅びる』
という巻頭インタビュー記事でこう語っておられます。
…………………………………………………
僕らはまだ創業者ですけど、
サラリーマンがたらい回しで経営者を
務める会社が多い。
こんな状況で成長するわけがない。
民度がすごく劣化した。
それにもかかわらず、本屋では「日本が最高だ」
という本ばかりだ。僕はいつも気分が悪くなる。
どこが今、最高なのでしょうか?
いわゆる「ゆでガエル現象」というものが
全部できあがってしまった。
私はそんな日本に呆れ果てているけど、
絶望はできない。
この国がつぶれたら、企業も個人も将来はない。
だからこそ、大改革する以外に道はないんですよ。
…………………………………………………
御年70歳にして、こんな熱き想いを胸に
インドへ出店攻勢をかけていらっしゃる。
爪の垢を煎じて飲ませて頂きます。
今日も社長業を楽しみましょう。