こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
9月14日付の日経新聞にこんな記事が出ていました。
サラリーマン社長の悲痛な叫びか??
「結果を出さなければ、飛ばされる」
ZOZOを先日買収したヤフーの川辺健太郎社長。
2018年にヤフーのトップに就任した
川辺氏は周囲にこう漏らしたとか。
ヤフー関係者も川辺氏に同情する。
「見ていて、かわいそうですよ。」
:
:
:
この背景には、あのカリスマの存在が…
そうです。ZOZOを飲み込んだ男。
ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏です。
「1位でなければ意味がない」
そんな信条を持つ孫氏に川辺氏は、
現状の打開を迫られています。
その一手として、今回ZOZOを買収。
10月から『Zホールディングス』へ社名変更。
同時に新ECサイト『ペイペイモール』を開設。
さあ、楽天とアマゾンへの反抗なるか??
実はソフトバンクグループは金融界の “上客”
と言われています。
有利子負債は12兆円。米AT&Tに次ぐ世界2位。
ソフトバンクグループは数字上「借金王」なのです。
格付けも「投資不適格」。
それなのに、なぜ世界の金融機関が
ソフトバンクグループと取引を持とうと必死なのか?
:
:
:
それは同グループ独特の「財務規律」
を銀行が高く評価しているからです。
「財務規律」とは何か??
その名は『孫の二乗の兵法』。
孫氏は26歳の時、肝臓を患い入院。
その入院中に読破した本の総数3000冊。
その中で、
『孫氏の兵法』
『ランチェスター戦略』
『坂本龍馬』
のエッセンスを集約し、
『孫の二乗の兵法』
が編み出されました。
これは以下の5部構成です。
▼理念 … 道天地将法
▼ビジョン … 頂情略七闘
▼戦略 … 一流攻守群
▼将の心構え … 智信仁勇厳
▼戦術 … 風林火山海
この中で銀行から高い評価を得るのが、
以下の経営指針です。
…………………………………………………
高い所に立って、情報を集め、
戦略を練る。
勝率7割と判断したら闘う。
トカゲの尻尾は3割まで切っても、
本体は死なない。
…………………………………………………
圧倒的ナンバーワンになる戦略を取る。
そのために、あらゆる情報を煮詰める。
そのうえで、70%の勝利が確信できれば、
攻撃を仕掛ける。
これが孫氏の基本思想なのです。
しかし、カリスマ天才経営者の孫正義氏でも、
100%はあり得ない。
70%の勝率を基準とする。
これは裏を返せば、30%の失敗リスクが存在する。
そんなことを意味します。
数字上は「借金王」。格付けも「投資不適格」。
そんな状況下で、30%の失敗リスクがある投資に対し、
銀行がなぜ融資したがるのか??
この秘密は「財務規律」の存在にあります。
同社は財務規律のモノサシとして、
『LTV(負債カバー率)
= 純有利子負債の保有株に対する比率』
を取り入れています。
連結子会社を除く、ソフトバンクグループ
単体の純負債4.9兆円。
これは、保有株25.8兆円の約19%。
異常時でも、35%にとどめる。
万一の時は、保有株の3割強を“トカゲの尻尾”
として株式市場で売り、返済に回す。
そうすれば、無借金になる計算なのです。
一見「借金王」に見える同社も実は、
“実質無借金経営”
なのです。
だからこそ、銀行がこぞって融資したがるのです。
:
:
:
しかし、この手法は私たち中小企業が、
そっくりそのままマネできません。
日本の事業所の99.7%を占める非上場企業の株式の場合、
万一の時、保有株を売って、換金化する。
そんな芸当は基本的に不可能だからです。
また、LTVは株価変動により上下しやすい。
そんなリスクも抱えています。
それでは【中小企業版『財務規律』】とは一体何か?
私(岩佐)は次の“4つの数字”を
財務規律として見ています。
▼財務規律《その1》 銀行借入金が総資産に占める割合
▼財務規律《その2》 銀行借入金対月商比率
▼財務規律《その3》 自己資本比率
▼財務規律《その4》 現預金月商比
このお話は次回に続きます。
今日も社長業を楽しみましょう。
《追記》
ソフトバンクのテレビCMに出てくる柴犬が個人的に
大好きです。我が家の愛犬も柴犬だからです。
ただ愛犬イチローは黒柴ですので、
ソフトバンクの白柴とは真逆の色です。
白でも黒でも柴犬は最高です。(笑)