こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
百戦練磨の名経営者の集大成か??
「中小企業のおやじ」
と自らを称する御年90歳の鈴木修氏。
軽自動車大手のスズキの代表取締役会長でいらっしゃいます。
娘婿として2代目社長に就任。
売上高3200億円を30年間で3兆円企業へ躍進させる。
そんな鈴木修氏がついに経営者人生の
ゴールとして、安寧の地にたどり着いた?
そんなふうに評されたビッグニュースが先日飛び込んできました。
『トヨタ自動車とスズキの資本提携』
トヨタが1000億円を投じ、スズキ株を4.9%取得。
スズキもトヨタ株を480億円で買付け。
鈴木修会長の経営者人生は一語で言えば、
“庇護者を求めてのさすらいの人生”
だったのかもしれません。
1981年に当時世界最大の米GM社から
5%の出資を受け入れた。
その後、95年にトヨタ社長に就任した、
奥田氏がダイハツ工業を子会社化。
創業家ではない社長の奥田氏主導の「トヨタによるスズキ潰し」
と言われる状況で、修会長は腹をくくる。
GMの追加出資を受け入れ、完全にGM傘下に入ったのです。
しかし、GMが経営危機に陥り、2008年に資本提携を解消。
当時、修会長はこんな名言を残しておられます。
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GMが鯨で、うちがメダカ??
いや、うちはメダカじゃなくて、蚊ですよ。
だって、メダカは鯨に飲み込まれてしまうでしょ。
蚊であれば、空高く舞い上がることができるので、
飲み込まれない。
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このお言葉通り、スズキはその後VWに飛びついた。
蚊としてまさに空高く舞い上がったのです。
VWは2010年にスズキに対し、19.9%出資。
しかし、VWの高圧的な態度に反発した
スズキが今度は提携解消を申し入れた。
国際仲裁を経て2015年、4300億円で自社株を取り戻す。
そして最後の砦(?)として、
鈴木修会長が駆け込んだのがトヨタでした。
修会長はトヨタとの資本提携に執念を燃やす。
そして、トヨタ創業家の豊田章男社長が
この申し出を受け入れた。
両者の業務提携検討発表から3年。
来年にはスズキの設立100周年。
今回の両社の資本提携は理屈を超えた、
“創業一族同士ならではの決断”と言われています。
日経ビジネスの取材に対し、
中西孝樹氏はこうコメントされています。
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持ち合いはいかにも時代錯誤に見える。
しかし、資本の論理だけでは、
語れないドラマ、創業家同士の話も
当然ある。
スズキを守ることに全てをかけてきて、
この日をようやく迎えた。
そんな鈴木修会長の気持ちを汲むと、
感動しているとしか言えない。
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トヨタにとっても、
▼スズキを名実ともにグループに囲い込み、
他社に取られるリスクを消せる
▼スズキの最大の強みであるインド市場での
経験値を得ることができる
という点で意味があると分析されています。
御年90歳をお迎えになる鈴木修会長の
経営者人生の有終の美に敬意を表します。
元号が変わり、時代の変わり目の中で、
鈴木修会長の言葉は重みがあります。
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かつては十年ひと昔といったが、今は一年ひと昔。
十年先のことを考えるなんて、
昔で言えば百年先を考えるようなもの。
会社のあるべき姿を描くと、現実から大きく乖離する。
最小限、何を今すべきかを考えていくことだ。
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中長期の経営計画を作ることの重要性が
よく説かれていますが、
その落とし穴があるのも事実です。
時代の大きな変わり目にある今日の中で、
中長期のプランを作るのは素晴らしいこと。
ただ良い意味で経営計画にとらわれず、
『朝令暮改』の精神は大切でしょう。
『企業 = 環境変化適応業』
令和の時代に突入した今、
経営者が肝に銘じるべき言葉ですね。
また一方で、スズキに対しては、鈴木修会長による
“40年独裁経営の歪み”も指摘されています。
2016年に発覚した、燃費測定の不正問題。
スズキの経営の真骨頂である「ケチケチ作戦」
のコスト徹底的削減が不正の温床へ。
そんな社風が影を落としていると指摘されています。
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土曜休んで日曜も休む奴は要らない。
今の日本の悪い所はアメリカ的時間の
切り売りが横行していることだ。
8時間働けば、それでいいなど通用しない。
成果で報酬が出るんだ。
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このお言葉はどうでしょう??
働き方改革の機運の中では、もはや時代錯誤??
そうお感じになられる方も多いかもしれません。
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先日、こんな報道がありました。
「小泉進次郎氏、育休宣言」
先月、滝川クリステルさんと結婚。
来年1月にパパになるご予定です。
そんな将来の総理候補と言われる議員による育休取得。
少子化を背景に国策として、『育休推進』
にこれほど強いメッセージはありません。
ただその一方で永田町では賛否両論のようで、
「リーダーが育休を取るとは何事か?」
「そんな姿勢で閣僚が務まるのか?」
といった声もあるとか。
経営の現場でも特に男性の『育休取得』
には否定的な意見もあるかもしれません。
しかし、これはもう時代錯誤です。
労働者側には以下のメリットがあります。
▼育休期間中、健康保険料&厚生年金保険料の免除アリ
⇒ 免除期間中、受給資格期間&支給額の計算上、
通常の被保険者期間として取り扱われる。
⇒ つまり、将来の年金の減額なし
⇒ 働かず、保険料を納めていないのに、納めているもの
として年金計算OK
これは最高の福利厚生となりますね。
しかし、男性社員の場合、特に管理職であれば、
「育休は現実問題、女性社員じゃないと取れないですよ。
私のような男性社員は育休なんて、
とてもじゃないけど取れません。」
なんて声が挙がるかもしれません。
また、経営者の方も、
こう思われる方もいるかもしれません。
「育休を取らせたら、福利厚生になる。
労働者も喜ぶ。それは理解できる。
でも、理想論だけでは経営はできない。
現実は違うんだ。
休まれた分は現場の戦力ダウンになる。
会社に何のメリットがあるんだ??」
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以上、おっしゃることはごもっともです。
ただご安心下さい。
【1日だけ月末に育休を取る】
これを実践すれば、社員も会社も双方、
下記のメリットが生まれます。
▼社員側
*1日だけの欠勤なのに、1ヶ月分マルマル健康保険料&
厚生年金保険料の控除なしOK
*将来の年金給付額に影響なし(年金フルでもらえる)
*もし賞与月の月末に取れば、賞与分の保険料も免除OK
▼会社側
*会社負担分が1ヶ月分マルマル健康保険料&厚生年金保険料
なしOK
例えば、大阪府の38歳の男性社員で月給30万円の場合、
▼健康保険料(自己負担分)15285円
▼厚生年金保険料(自己負担分)27450円
の計42735円の負担がゼロでOK。
社会保険料は労使折半のため、
上記同額の負担が会社もゼロでOK。
月末にたった【1日だけ】育休を取得させる。
それだけで上記の効果があるのです。
ただ誤解しないで下さい。
1日だけと言っても、タイミングが重要です。
例えば、月末ではなく、月の半ばに1日取得しても、
上記のメリットはありません。
なぜなら、免除期間は以下の通り、
規定されているからです。
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育児休業等を開始した日の属する月
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育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月
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例えば、10月15日に1日だけ育休を取得しても、
10月分の保険料免除なし。
上記のメリット一切なし。くれぐれもご注意下さい。
もし9月30日に1日だけ育休取得なら、
9月分の保険料は免除となります。
よって、上記メリットは享受できます。
重永忠氏(生活の木 代表取締役CEO)
にこんな名言があります。
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「社員にとって都合の良いこと」
「お客様にとって都合の良いこと」
「会社にとって都合の良いこと」
この“3つの歯車”を上手に回し、
結果として社会が良くなる。
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アロマテラピー業界で売上1位。
社員満足度調査で東日本1位。
780名を超える社員の顔と名前をすべて記憶している。
そんな名経営者の言葉には重みがあります。
社員にとっても会社にとっても都合の良いことの実践として、
育休取得を推進して下さい。
労務管理のあり方もここへきて、
大きく変わってきています。
固定観念にとらわれず、時代の潮流にアジャストして下さい。
今日も社長業を楽しみましょう。