こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
分をわきまえ、謙虚に行動する。
税務だけでなく、労務の世界でも、この基本姿勢は重要です。
来年より中小企業にも、時間外労働の上限規制が発動されます。
実は、労基法37条において、こんな規定があります。
▼1ヶ月について、時間外労働が60時間を超えた場合、
▼通常の賃金の5割以上の割増賃金を
支払わなければならない。
この規定を見て、ドキッとされた経営者も
いらっしゃるかもしれません。
しかし、ご安心を!
上記規定は2023年3月まで、
中小企業に適用しないことになっています。
具体的には、以下のいずれかの基準を
満たせば、適用されません。
▼小売業
*常時労働者数 50人以下 or 資本金5000万円以下
▼サービス業
*常時労働者数 100人以下 or 資本金5000万円以下
▼卸売業
*常時労働者数100人以下 or 資本金1億円以下
▼その他
*常時労働者数300人以下 or 資本金3億円以下
つまり、従業員数と資本金のいずれかが上記に該当すれば、
5割以上の割増賃金の規定は、
当面適用されないことになっています。
以上、労務面で考えても、
資本金を小さく、社員数を少なくする。
この方が固定費(人件費)を低く抑えられることがわかります。
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このように見れば、
「俺たち(私たち)は所詮、中小企業だからなぁ。
天下の大企業とは違うよ。
いわゆるエリートさん達とは違うからね。」
と自虐の念にとらわれるかもしれません。
しかし、決してそんなことはありません。
経営者としてのプライドを持つべし。
『苦しかったときの話をしようか
~ ビジネスマンの父が我が子のために
書きためた「働くことの本質」』(ダイヤモンド社)
著者は、森岡毅氏。
マーケッターとして、2010年にUSJに入社。
経営危機に遭ったUSJに『森岡メソッド』を導入。
その結果、見事にV字回復に導く。
現在は、USJを退社し、
マーケティング精鋭集団『刀』を設立。
この中で、森岡氏はこう言います。
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どれだけサラリーマン社会の
組織ピラミッドの中で偉くなろうと、
年収を2000万円とろうと、3000万円とろうと、
その外にいる資本家から見れば、歯車は単なる歯車だ。
それに気づいた私は、大きな組織で
偉くなることが全く魅力的に思えなくなった。
日本の教育システムも、大量の優秀なサラリーマン
(=労働者)を生産するように作られている。
良い成績をとって、良い大学を出て、大きな会社に入って、
安定した生活を送る。
昭和の高度経済成長時代の“呪い”はまだ色濃く残っていて、
今も多くのパースペクティブだ。
しかし、君に伝えたいことがある。
サラリーマンの外に資本家の世界がある。
このことを知った上で、
自分を活かす機会にアンテナを張れる人であってほしい。
資本家の世界を射程圏に見据える
パースペクティブを君が持っているかだ。
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ビジネスの最前線で生きてきた。
そんな著者が、子供の成功を願う
父親の執念で書いた書籍である。
前書きでは、こう記述されています。
こうした熱い想い、秘めたる闘志を胸に、
日々挑戦し、行動する。
そうして、リスクを冒したリターンを受け取る。
ただ、手にした果実はかしこく蓄えておく。
そのうえで、資本家(=経営者)は、
その果実を独り占めしてはならない。
共に汗を流してくれたチームメンバーに対し、
一定割合を分配する。
また、対外的にその果実を
自慢げに見せびらかしたりしない。
つつましやかに生きるのです。
そうすれば…
法的に『中小企業』の枠組みの中で、
ビジネスを展開していくことができる。
結果として、税務面も労務面も優遇されるため、
お金が残る経営を追求できるのです。
資本金や社員数をみだりに大きくしない。
平成18年度会社法改正で、
1円株式会社の設立がOKとなりました。
資本金は小さくても問題ありません。
消費税法上、新設法人の場合、
資本金1000万円未満であれば、
初年度は免税(税額ゼロ)になります。
今年10月の消費増税を考えれば、
資本金1000万円以上でスタートしない。
この方が明らかに有利です。
“なりは小さく、ビッグに稼ぐ”
これこそ、日本の資本家(=経営者)の
あるべき世渡り術なのかもしれません。
今日も社長業を楽しみましょう。