こんにちは、神戸の税理士の岩佐です。
【7月10日】は以下の期限到来。
▼源泉所得税納付
(常時9人以下の会社は1~6月の半年分)
▼労働保険料の年度更新
▼厚生年金の算定基礎届
経営者にとっては、大きなキャッシュアウトを伴う
法定期限…(汗)
上記の共通項は何でしょうか?
そうです。
会社の毎月の【人件費】に関わる税コスト!
従業員に毎月支払っている給与から天引きしているものを
7月10日にまとめて納付したり、申告するといった感じ
です。
社長からすれば、7月10日というのは、
【人件費】という最大の固定費の重みを感じる日なのです。
上記のうち【源泉所得税】は従業員からの「預り金」。
よって、給与から天引きした分を払えばいいだけです。
しかし、【労働保険料】と【厚生年金保険料】は違います。
【労働保険料】とは、従業員の失業保険のベースとなるもの。
一般の事業の場合、「本人負担分」として、給与の
1000分の5を天引きしていますが、それだけで
終わりません。
▼会社負担分 … 給与の1000分の8.5
があります。
仮に月給30万円の従業員の場合、
*30万円 × 1000分の8.5 = 2,550円
が会社負担分として別途コストがかかります。
7月10日が期限になっているのは、
前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せての
申告納付です。
経営者は万一会社をつぶし、仕事を失っても、
国から【失業手当】はもらえませんね。
まさに【社長業=究極のハイリスク請負業】の宿命。
社長にとっては、
従業員との置かれている立場の違い
をまさに感じさせられるるコストなのです。
次に【厚生年金の算定基礎届】とは何か?
こちらの方が【労働保険料】よりもっと頭が痛いですが…
【今年9月~翌年8月】の1年間において、
毎月天引きされるべき、厚生年金保険料を計算するため
の基礎資料として、
4~6月の月額給与を届出する制度が【算定基礎届】です。
▼現状 … 給与の16.766%
で毎年9月に0.354%ずつ上昇していき、
▼平成29年9月分より … 18.3%
になります。
これが労使折半となります。
仮に月給30万円の従業員の場合、
*30万円 × 16.766%(現行) × 2分の1
(労使折半)
= 25,149円
となります。
前述の【労働保険料】の約10倍…
ほんとに重い負担ですね。
再認識してほしいのは、
従業員にかかるコストは【給与】だけじゃないということ。
労働保険料や厚生年金保険料といった【法定福利費】
もあるのです。
そして、PC1台を与えたり、その他の【福利厚生費】
もあります。
ですから、イメージとしては【月額給与の1.5倍】
といった感じでしょうか?
例えば、毎年100万円ずつ従業員の稼ぎが落ちている
にもかかわらず、
給与は当然アップできません。所詮、ムリな話。
このような状況であるにもかかわらず、
従業員の待遇改善しようと考えるのは間違っています。
会社はボランティア組織ではありません。
人件費総額の膨張がいつの間にか、
事業の手かせ足かせになっているでは済まされません。
これからの時代、社長は会社の人件費を明確な意図をもって
コントロールしなければならないのです。
社長業とは、
「会社が成長するように、人件費総額を意図的に
コントロールする」
ことなのです。
今日も社長業を楽しみましょう。