こんにちは、JR大阪駅間のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
経営者は銀行借入に対し、【規律】を持たねばなりません。
具体的には、
▼年商の3割以下
ですね。そして、もう一つ重要なのが、
▼ROA(総資本利益率)2.5%以上
です。巷には、財務分析指標が数多く存在します。
▼流動比率
▼当座比率
▼自己資本比率
▼固定比率
▼固定長期適合率
▼売上債権回収率
▼在庫回転率
▼インタレスト・カバレッジ
▼配当性向
▼ROE
▼PBR
▼EPS などなど。
その中でも経営の原点として、最重要視すべき指標とは何か??
それが【ROA】である。
こう説いていらっしゃる名経営者がいます。
スター精密の代表取締役会長の佐藤肇氏。
1950年に静岡で12坪の掘立小屋で、6名で創業。
その後、1990年に東証一部上場へ。
今や、700名の社員を有し、精密部品で世界一のシェアを獲得。
そんなスター精密にも危機の過去があった?
2008年のリーマンショック時には、赤字85億円。
それなのに、
▼国内社員のリストラ一切なし
▼現預金の減少6億円
にとどまったとか。
おまけに当時、現場に対し、佐藤肇氏はこう指示したそうです。
「売上を伸ばすな。絶対に無理に売るな。
売上は半分にしろ!」
その結果、
▼在庫60億円
▼売掛金10億円
の圧縮に成功。
リーマンショックの当時2年間で、
売上が3分の1、純利益166億円急減。
スター精密の大赤字をニュースで知った、大学時代の友人が心配し、
「お前、大丈夫か!?」
と電話してきたそうです。
しかし、佐藤氏はそれに対し、
「もちろん大丈夫だ。
むしろ会社の財務体質は良くなるから。」
と答えたとか。
確かにこれは強がりのフレーズではありませんでした。
その後、売上は微増でも、
利益が残りやすい経営体質に変革へ。
今日では、
▼売上高600億円
▼経常利益70億円
▼自己資本比率70%
▼無借金経営
という無敵の財務体質を誇っておられます。
そんな経営手腕を誇った佐藤氏が最重要視する財務指標こそ、
▼ROA(総資本利益率)2.5%以上
なのです。そして、これこそ、
【赤字85億円でも、ビクともしない経営体質】
のキモであると言われています。
そんな佐藤肇氏は大学卒業後に、スター精密に入社。
40歳までは、工程管理や海外工場立ち上げに従事。
その後、社長室長に任命される。
「どの会社でもいい。まずは『有報』を買ってこい。」
と先代の父から指示を受ける。
ただ財務の勉強を全くしてこなかったため、
有報の意味が全く分からない。
「UFOを買ってこいって、どういうことだ??」
と思われたとか。
『有報』とは、UFOではありません。
有価証券報告書の略ですね。
(笑)
その後、先代からの“有報ノック”が始まる。
「いいか。
この数字とこの数字を掛け算すると、
こういう意味があるんだ。
次の会社のレポートでは、
そういう視点も盛り込んでみろ。」
先代は社長室でこう教えてくれたそうです。
なんて、美しい父子の事業承継なんでしょう!
敬服の限りです。
これを6ヶ月間続けた結果、
佐藤氏は財務の知恵を身体で覚えたのです。
実は佐藤肇氏は日本経営合理化協会より
昨年、私(岩佐)と同時期にCD教材を上梓。
また、価額も同じ。
売れ行きランキングで現在7位。
https://www.jmca.jp/ranking/audio
私(岩佐)は現在4位。
5月に発刊予定の次回作も頑張ります!
そんな佐藤氏はこうおっしゃられています。
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経理から上がってきた数字を
頭に入れながら電卓を叩く。
そうすれば、数字の声が聞こえる。
笑っている数字、怒っている数字、
泣いている数字。
数字にも表情があるのです。
数字は嘘もつかず、正直です。
言い訳するのは、人間だけです。
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先代から伝授された財務の知恵に
裏打ちされた、本当に深いお言葉です。
財務に強い名経営者が最重要視する、
▼2.5%以上のROA
を大切にしましょう。
ROAの計算式は以下の通り。
*総資本利益率(ROA)
= 利益/売上高(売上高利益率)
× 売上高/総資本(資本循環スピード)
ROAを高めるには一体どうすべきか?
単純に、売上高を増やせばいいのではありませんね。
▼粗利益の高い商品サービスを通じ、利益率を高める
▼ムダな在庫・売掛金・不動産・設備機械、
銀行借入を持たない
こうすれば、
【ピンチに動じない経営体質】
ができる!
大坂選手の全豪オープン優勝の翌日。
日経新聞スポーツ欄には、
『大坂折れず 成熟のV』
の見出しが躍っていました。
この試合も楽に勝ったわけではなかった。
マッチポイントを握った後、最後の1ポイントが遠かった。
相手選手の執念もあり、好機を逃す。
落胆を隠せず、ミスを続け、第2セットを落とす。
しかし、気持ちをリセット。
最終セットで底力を見せ、優勝をもぎ取ったのです。
大坂選手は最大の課題に掲げる成熟を、
「思い通りにいかない状況を受け入れる力」
と表現しています。
▼勇気
▼忍耐
▼1球への執念
▼少しの運
▼成熟
大坂選手は上記の勝者に必要な資質を
すべて兼ね備えていました。
安藤百福氏の経営者人生も、
決して順風満帆なものではなかった。
脱税嫌疑や背任行為として訴えられ、無一文になっています。
そんな中でも、こんな名言を残しています。
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失ったのは財産だけではないか。
その分だけ、
経験が血や肉となって身についた。
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この忍耐強さが銀行依存と決別し、
日清食品の経営基盤となったのです。
私(岩佐)の今日のランチは、日清のカップ麺。
今日は、安藤百福氏のエネルギーを拝受し、
書かせて頂きました。
(笑)
順風満帆の経営はあり得ない。
経営も人生同様、山あり谷あり。
大坂選手いわく、
「思い通りにいかない状況を受け入れる力」
を宿した経営体質をいかに作るのか?
危機が訪れた時でも動じない経営体質をどう作るのか?
今日も社長業を楽しみましょう。