こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
2019年に入ったばかりなのに… 早くも下方修正??
先日そんな記事が日経新聞に掲載されていました。
「証券各社の今年の景気・株価見通し、はや引き下げ」
記事によれば、下記がマイナス要因で、
今年の景気や株価は下振れするとか。
▼昨年末の急速な株安
▼年明けの米政府機関閉鎖
▼英国のEU離脱方針の迷走
以上が【下方修正】の根拠です。
そして、【下方修正】といえば…
昨年11月に衝撃の報道がありましたね。それは、
『ライザップ業績予想 大幅下方修正』
です。ライザップといえば、
『結果にコミットする』
という有名なテレビCMがありますね。
▼森本卓郎
▼生島ヒロシ
▼香取慎吾
▼岡村隆史
▼梅沢富美男
▼赤井英和
▼徳井義実
▼石田えり
▼峯岸みなみ
▼佐藤仁美
▼松井邦洋
▼遠藤章造
▼エドはるみ
▼天野ひろゆき などなど。
多くのタレントがライザップに挑戦。
見事にスマートな体形に変身!
お腹ポッコリの中年オヤジの赤井英和が筋肉ムキムキに。
56歳の石田えりのセクシーなビキニ姿。
(笑)
まさに『結果にコミット』でした。
私(岩佐)も思わず「ライザップに挑戦しようかな」
と思ったことがありました。
(結局行っていませんが…)
世間的には、ライザップは絶好調!
そんな印象がありました。
売上高の推移は以下の通り。
▼2017年3月期 953億円
▼2018年3月期 1362億円
▼2019年3月期 2500億円(予想)
営業利益の推移は以下の通り。
▼2017年3月期 102億円
▼2018年3月期 136億円
▼2019年3月期 159億円(予想)
しかし、いまライザップは業績悪化??
昨年11月に2019年3月期の業績の下方修正を発表。
▼売上高 2500億円 ⇒ 2300億円
▼営業利益 159億円 ⇒ ▲70億円
フィットネス事業で業績好調との
世間のイメージが一気に崩れました。
ライザップはなぜ、業績が悪化したのか??
それは、過剰なM&Aが要因と言われています。
実は近年の好調の要因は『結果にコミットする』
のフィットネス事業ではありませんでした。
M&Aで伸びていたのです。
ライザップのM&A戦略とは以下の通りでした。
▼業績が悪化した会社を買収
▼それを再生させ、結果として自社も伸びる
この手法は、日本電産と同じです。
日本電産総帥の永守重信氏は、辣腕経営者として有名です。
4名の町工場を世界一のモーターメーカーへ。
日本電産も経営不振に陥った企業を次々と買収。
子会社化して再建させることで知られています。
今期も増収増益へ。
それでは、ライザップと日本電産の違いは何なのか??
それは、
▼M&Aによるシナジー効果の有無
にあります。
日本電産のM&A戦略は、
▼優秀な技術を有するが、
経営不振の企業をターゲットとする
というもので、本業とのシナジーを追求。
一方、ライザップのM&A先は以下の通り。
▼アパレル関連
*ジーンズ
*女性服
▼住関連ライフスタイル
*インテリア雑貨
*リフォーム
*メガソーラ
▼エンターテイメント
*ゲームソフト
*カフェ
*出版社
M&Aは5年で75社。
こうして、ライザップ・グループを形成してきました。
しかし皮肉なことに、
“無茶なM&Aで太りすぎたライザップ”
と揶揄されるほどの財務体質なのです。
ライザップ・グループを率いる瀬戸健社長は24歳で起業。
瞬く間に売上1,000億円を超える、巨大グループを築きました。
起業の原点は高校時代の彼女の存在。
彼女が当時痩せたいと言うので、
ランニングに付き合ったりして励ましたとか。
すると、3ヶ月後に「クラスで一番かわいい」
と評判になったとか。
「人間は誰かが本気でサポートし、
寄り添えば変わるんだ!」
そう知った瞬間だったそうです。
そんな原体験から、美容健康事業で起業したとか。
しかし、この原体験にはオチがありました。
可愛くなった彼女はその後、大学生と付き合い、
瀬戸社長はフラれたそうです。
禍福は糾える縄のごとし、ですね。
(笑)
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このように見ても、ライザップの根源的な強みは、
▼美容健康事業
にあることがわかります。
しかし、これだけ他分野にまで手を広げると、
事業ドメインが曖昧になるでしょう。
美容健康事業とのシナジー効果も希薄になる。
それは当然かもしれません。
M&Aには、会計上のメリットがあります。
業績の悪い企業を割安で買収すれば、
【負の“のれん”】
として、純資産額より買収金額が下回った時の
差額を割安購入益として利益に計上できるというものです。
これは、IFRS(国際会計基準)で認められています。
よって、粉飾決算ではありませんが、
見かけ上は営業利益のかさ上げになります。
実際のところ、2018年3月期の営業利益のうち54%は、
上記の負の『のれん』による割安購入益で占めていました。
しかし、買収した企業の再建が思うように進まなくなってきた。
これが下方修正の要因です。
ライザップのV字回復なるか?
今日も社長業を楽しみましょう。