こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
先週の金曜日に来年度の税制改正大綱が政府より発表されました。
主な改正点は以下の通りです。
▼ふるさと納税の適正化
▼個人版事業承継税制の創設
▼自動車税関連の減税(消費税対策)
▼住宅ローン減税の適用期間延長(消費税対策)
▼特定事業用土地における「小規模宅地の特例」の増税措置
▼教育資金&結婚子育て資金の一括贈与特例の見直し
今日は上記の中で、ふるさと納税の適正化について紹介します。
年末のこの時期になると、顧問先のお客様から相談が多くなるのが、
ふるさと納税です。
ふるさと納税とは、ふるさとや応援したい自治体に寄附ができる制度のことです。
手続きをすると、所得税や住民税の還付・控除が受けられます。
多くの自治体では、地域の名産品などのお礼の品も用意されています。
経営者においては、個人として自分自身の役員報酬をベースに
多額の所得税&住民税を納付しています。
そうした個人の税金を取り戻す、合法的な手法として、ふるさと納税は
大変人気があります。
しかし、近年過熱気味になっており、様々な問題点が指摘されています。
返礼割合が実質3割超になっていたり、地場産品以外の返礼品を
送付しているケースが多く見られ、総務省も各自治体へ見直し要請を
かけています。
また、自治体に寄付していたと思っていた金額の実に10%以上が
ポータルサイトなどの仲介業者に「手数料」などとして支払われている。
そんな実態も浮き彫りになっています。
そこで、政府は来年度の税制改正にて、ふるさと納税に規制をかけることを
決定しました。
ふるさと納税として、寄付金税額控除を受けられる地域を
以下の2要件をいずれも満たすところに限定。
▼返礼割合が3割以下
▼返礼品は地場産品にする
つまり、上記の基準を満たさない地域に寄付しても、ふるさと納税の税効果が
得られないことになりました。
但し、まだ時間猶予があります。
上記の規制が入るのは、【平成31年6月1日以後】です。
以上から読み取れるのは、【来年5月末日】まではまだ大丈夫ということ。
そうなると、現状の延長戦ベースで見て、来年6月以降にふるさと納税の適用が
受けられない地域というのは、当面はお得なエリアということになりますね。
ただ経営者は皆、忙しい…(汗)
特にこの年末の時期はじっくりサイトでリサーチする暇もないでしょう。
そんな経営者の皆さんに朗報です。
総務省がサイトに11月16日にアップした情報がヒントになるかもしれません。
「ふるさと納税の返礼品の見直し要請に応じていない自治体」として公開したのです
http://www.soumu.go.jp/main_content/000585169.pdf
上記資料を見ると、来年5月までの限定で、お得なふるさと納税エリアが
ズバリわかります。
ふるさと納税がお好きな経営者は参考にして下さい。
しかし、本来の寄付の意味からすれば、ふるさと納税に対し、
個人的には疑問を抱いています。
近年の過熱ぶりは、納税者の単なる損得勘定に根差した寄付に
なっているからです。
私たち経営者はお金を稼げば稼ぐほど、そのお金をどのように社会に還元するか
について真剣に考えねばなりません。
欧米の資産家は収入の10%を必ず寄付する習慣があるそうです。
慈善事業にお金を回すというのは、影が濃くなるのをコントロールする意味が
あるのです。いわゆる【浄財】という考え方です。
来年度の税制改正にて、ふるさと納税の適正化が図られるに際し、
寄付のあり方について見つめ直す必要があるかもしれませんね。
今日も社長業を楽しみましょう。