こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
先日のお話の続きです。
孫正義氏のマネをそっくり真似ることはできなくても、
応用することはできます。
それは、
▼持株会社(ホールディングス形態)
にすることです。
本業の事業法人の株式を経営者個人で所有するのではなく、
資産管理法人を設立し、別法人に譲渡するのです。
この結果、本業の事業法人は資産管理法人の
完全100%子会社になります。
すると、資産管理法人が受け取る株主配当は、
▼法人税法上、100%益金不参入
になります。
つまり、持株会社が受け取る配当収入に、
法人税はかからないのです。
(注)配当支払時に源泉徴収あり
また、源泉徴収される所得税のうち、一定額を
法人税額から控除できます。
控除しきれない金額は還付されます。
このように株式配当を見ても、
▼個人増税 vs 法人減税
のわが国の税制トレンドが読み取れます。
また、持株会社形態にすれば、
▼同族の後継者の有無
▼第三者へM&A
といった場合においても、
フレキシブルに創業者利益を確保OK。
医療法人の理事長先生におきましては、
MS法人を複数所有される場合、
上記シナリオの設計は可能になります。
医療法人理事長“包囲網”の税制だからこそ
検討の余地アリでしょう。
資産管理法人(非上場)は世間を見ても、
上場企業の裏側で動いています。
▼クリムゾングループ(三木谷浩氏)
▼ケイアイ興産(稲盛和夫氏)
▼エスエヌ興産(永守重信氏)
▼寿不動産(佐治敬三氏)
▼ニトリ商事(似鳥昭雄氏)
▼ききょう企画(大塚久美子氏)
▼ジーア(日産自動車オランダ子会社)
あれ??
上記の中で1社だけ、
異色の存在に気づきましたか??
そうです。
▼ジーア
ですね。
筆頭株主が唯一個人ではなく、
法人名になっています。
それも、上場企業名です。
これは今回のゴーン問題で取り沙汰されています。
日産自動車が2010年頃に60億円を出資し、
設立したオランダ子会社です。
ゴーン氏は租税回避地の上記法人の資金を流用し、
ブラジル・ネオデジャネイロの高級マンション5億円
を購入したとか。
税金や家具も日産負担??
今回ゴーン氏における “会社の私物化”
が問題視されています。
まさに『ジーアの悲劇』です。
ジーアが他の上場企業経営者の資産管理法人と根本的に異なるのは、
上場企業の子会社形態であることです。
上場企業というのは、不特定多数の一般投資家による資金調達で
成り立っている公器です。
その上場企業の直接の資本下にある法人で、私的な資金流用があった。
これが問題視されているのです。
資産管理法人やMS法人は『プライベートカンパニー』
とも呼ばれるように、
オーナー経営者が【個人】で出資したものでなければなりません。
そうしたうえで、本業の事業法人とは完全に一線を画した
資本形態にすべきなのです。
これにより、公私混同ではなく【公私並行】が実現されます。
ただ誤解してはならないことがあります。
資産管理法人(MS法人)の存在意義です。
決して、経営者の私腹を肥やす目的ではありません。
▼代を重ねるごとに強くなる経営改革の一環
これこそ本来の目的です。
『代を重ねるごとに強くなる』
これは私(岩佐)が尊敬する坂根正弘氏が
コマツ社長時に掲げたスローガンです。
坂根氏は瀕死の状態のコマツをV字回復に
導いた名経営者でいらっしゃいますが、
サラリーマン社長でありながら、上記を掲げました。
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会社が悪くなる時は、あっという間。
それを防ぐため、
コマツウェイを浸透させようとしています。
その結果、組織は、
代を重ねるごとに強くなっていくのです。
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大変重みのあるお言葉です。
『代を重ねるごとに強くなる』
そんな理念に基づけば、資産管理法人(MS法人)の出資者は
誰にすべきでしょうか??
【次世代(ご子息など)】
にするのが鉄のルールです。
ご子息がまだ幼かったり、
子どもがいない経営者は別として、上記がセオリーです。
今日も社長業を楽しみましょう。