こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
本日、神戸のクライアントで冠水被害に遭われたと報告を受けた
お客様を当初のスケジュール予定の合間に精力的に回ってきました。
そして、気持ちばかりの御見舞いをお渡ししました。
先日、北海道でも地震がありました。
まさにここ数日は天変地異の状況で、胸が痛みます。
心よりお見舞い申し上げます。
長寿企業は自然災害(不可抗力)に対し、
どのように対応してきたのか??
ここで具体的な事例を紹介しましょう。
その名は、株式会社ホテル佐勘。
『仙台の奥座敷』と呼ばれ、宮城県の秋保温泉のホテルです。
平安時代末期の平家の落ち人を祖先とし、
創業から800年以上。
こんな長寿企業も2011年3月の東日本大震災で、
大きな被害を受けました。
ロビーのガラスが割れる。
電気やガスも停止。
温泉客は激減。
当時増加傾向にあった外国客も、ぴたりと足が止まる。
そんな中、当主はどう行動したのか??
「困っている人に少しでも役に立てたら」
と避難生活者に無料で温泉を開放。
その結果、多い日には1300人もの来館者。
被災者の痛手を癒す。
復旧作業に訪れた500人ほどの大阪ガスの職員に客室を提供。
173室フル稼働で協力。
また、旅館ならではの小鍋用の固形燃料の蓄えのおかげで、
温かい食事を提供できた。
さらに10日後には、日帰り温泉向けの営業の再開。
このような活動を通じ、当主はどう感じたのか??
メディアの取材に対し、当主は以下のように答えています。
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私は若い経営者として周囲から、
ちやほやされてきた。
けど、震災のおかげで、
自分は単なる湯屋の親父である事実に
気づかされた。
相互に助け合い、関わり合うことで、
社会が成り立ち、
その一環として高品位な旅館づくりが
可能になるのだと。
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その後の同社の快進撃は、目覚ましいものがありました。
▼平成28年
G7(財務相・中央銀行総裁会議)の主会場に選ばれる
⇒ 国内外800人以上の宿泊で、秋保地域に貢献
▼平成28年
個人旅行向け低価格宿泊施設KYOUを開業
⇒ 低予算で周遊する外国人バックパッカーをターゲット
⇒ 103室すべてシングル
⇒ 素泊まり4500円の低価格
⇒ 秋保温泉初の試み
▼平成30年
被災後の経営悪化に苛まれた町営宿泊施設
『わたり温泉鳥のうみ』の経営を受託し、
佐勘ブランドによる再生を通じ、リニューアルオープン。
このように老舗旅館は震災の経験から、
【地域旅館としての創業の原点回帰】
を図り、革新的なサービスを展開し続けています。
同社は江戸時代初めに仙台藩から『湯守』に任命され、
宿屋を経営しつつ、温泉を管理していました。
客から入湯料を徴収し、一部を藩に上納していました。
『佐藤勘三郎』を歴代襲名し、現在の佐藤勘三郎は34代目。
1801年には佐藤家は入湯料から、藩への上納金を差し引いた
残り3分の1を地元の湯本村に配分していました。
これは、天明の飢饉で憔悴した村の経済再建のためだったそうです。
こうした江戸時代の活動が同社のDNAになっているのです。
そして、このDNAが2011年の東日本大震災
に負けない経営努力につながったとか。
本当に敬服の限りです。
私(岩佐)もホテル佐勘のエネルギーを拝受したいと思います。
東レ経営研究所元社長の佐々木常夫氏はこう言われています。
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結局、私欲を原動力に働いても、
成果が上がるのは最初だけ。
必ず頭打ちになる。
すぐに部下は、
「あいつは自分のためだけにやっている」
と見抜きますからね。
リーダーシップは志から生まれる。
「チームのため、会社のため、社会のため
に働かなければ本物じゃない」
と献身する姿が周りの人の共感を呼び、
力を貸したいと思う原動力になる。
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東日本大震災後のホテル佐勘の当主の佐藤勘三郎氏の行動は、
まさに上記言葉を象徴したものと言えるでしょう。
永続組織としての自社のDNAは、
今回の自然災害時の対応で醸成される。
そう心得たいところですね。
このたび被害を受けた経営者の皆様、頑張りましょう!