こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
経営者の年金が特別な理由は、もう一つあります。
法人の【決算月】の影響を受ける点です。
年金支給開始年齢を迎える3ヶ月前に、
年金請求書が日本年金機構から届きます。
この頃に年金事務所に相談に行って、
「報酬が高いと、年金が支給停止になる」
ことを知らされます。
そこで、年金を受給するため、
報酬設定を変更しようとする。
しかし、
▼法人の決算月と本人の生年月日の組み合わせ
によっては、報酬を変更することが
今期はもうできず、
最初の1年の年金を全部受け取ることが
できないケースもあります。
例えば、3月決算法人を考えてみましょう。
法人税の申告期限は基本的に5月末日です。
そして5月下旬頃に定時株主総会&取締役会を開催。
そこで、報酬を決定することになります。
その後、10月10日生まれの経営者のもとに
7月に年金請求書が届いたとします。
それから年金事務所に相談に行きます。
そこで、現状の報酬設定であれば、
年金がもらえないことを知る。
その後、報酬を変更しようとしても…
もう今期はタイムアウト!
但し、この場合の裏ワザとして、
▼決算月の変更届
を税務署に提出し、報酬月額を引下げ。
これにより、公的年金をもらうことは可能です。
ただこの場合でも、報酬月額変更後の年金がもらえる
ようになるまでに、半年程度の時間を要することがあります。
なぜなら、減額後の報酬を3ヶ月連続で支給した後でないと、
報酬月額変更届を提出できません。
また、年金の支給スケジュールが、
前月までの2ヶ月分を偶数月に支給する。
こんな後払いになっているためです。
それでは、経営者が公的年金をもらうためには何をすべきか??
それは以下の3つの方法が考えられます。
▼その1 報酬を下げる
⇒ 役員報酬をグッと引き下げる
⇒ その代わり、
個人名義の不動産を法人に貸し付け、
不動産所得を得る
▼その2 引退する
⇒ 次世代にバトンタッチした上で、
個人コンサル事務所を開設し、
事業所得を得る
▼その3 報酬の支払い方を変える
⇒ 税務の仕組みを利用し、
年収を変えずに月額報酬を下げる
巷の社労士やFPは上記のうち《その3》を
声高に推奨していますが、
あくまで【部分最適】のお話にすぎません。
経営者がお金を残すには、部分最適ではなく、
【全体最適】
を目指さなければなりません。
つまり、厚生年金法の視点だけではなく、
▼法人税法
の視点が必要不可欠です。
また、100%メリットオンリー
というシナリオは基本的にありません。
当然ながら、デメリットもあります。
よって、経営者の皆様におきましては、
総合的に勘案して頂く必要があるのです。
▼厚生年金法(=社労士領域)
▼法人税法(=税理士領域)
をバランスよく考慮しましょう。
ただ経営者が自らの年金問題をクリアできれば、
諸手を上げて、
『夏の終りのハーモニー』
を謳うことができる??
井上陽水はこの歌詞として、以下のように制作しています。
……………………………………………………
夜空をただようだけ
星屑の間を揺れながら
二人の夢 あこがれを
いつまでも ずっと 想い出に ♪
真夏の夢 あこがれを
いつまでも ずっと 忘れずに♪
……………………………………………………
先日、5年後にバトンタッチを予定する、
クライアントの社長がしみじみとこうおっしゃっておられました。
「今まで振り返ってみて、
いつも何かに追われている感じがする。
会社の業績が悪い時は、
旅行に行っても何かつまらない。
会社の業績が良い時は、
旅行に行くと、すごく楽しい。」
経営者にとっては、本業の業績が人生の全てかもしれません。
しかし、経営は山あり谷あり。
社長業は本当に過酷です。
日本経営合理化協会の会員企業の経営者を
長年指導してこられた故一倉定先生の名言があります。
……………………………………………………
世の中に良い会社、悪い会社は
存在しない。
あるのは、良い社長と悪い社長だけだ。
電柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、
みんな社長の責任だ。
……………………………………………………
大変有名なフレーズですが、
改めて噛みしめてみると…
経営者にとっては本当に理不尽なお言葉ですね。
経営者が電柱や郵便ポストに
何をしたというのか??
でも、私(岩佐)の場合、朝と晩の各40分間×2回の計80分、
ウォーキングしていますが、電柱に愛犬イチローが
マーキングしています… ごめんなさい!
ただマーキング箇所にはエチケットとして、
ちゃんと水をかけているので、お許しを!
(笑)
そう考えれば、
経営者の年金問題も理不尽かもしれません。
自分の主宰する法人負担と合わせ、
3000万円も保険料を払ってきたのに…
1円も老齢厚生年金がもらえないのですから。
だからこそ!
晩年は年金問題を解決し、
『夏の終りのハーモニー』よろしく、
現役生活(=真夏)時代の夢を想い出しながら、
ハッピーリタイアを実現すべし。
経営者はそうありたいものですね。
今日も社長業を楽しみましょう。