こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
前回の続きです。
永続する組織の仕組みのキモは一体何か??
それは『人事評価制度』です。
人事評価は組織に対するメッセージです。
▼評価制度の指標変更
= 組織運営最大のイノベーション
と言ってよいでしょう。
組織をつくるうえで、メンバーが生み出した成果を
どう評価して、そのメンバーをトップがどう扱うのか?
これは組織メンバーの最大の関心事です。
人事評価と人員配置はそれ自体、組織のメンバーに対し、
強い影響力を及ぼすのです。
もし人事評価制度を新たに導入するなら、
▼人材確保等支援助成金
(人事評価等改善助成コース)
https://roumu-management.com/subsidy6.html
の活用を検討しましょう。
▼制度整備時 50万円
▼目標達成時 80万円 計130万円
要件を満たせば、
これだけの助成金が得られます。
この助成金は昨年より導入されました。
当初の要件は制度【導入】だけで50万円GET。
そんな内容だったのですが…
問合せが殺到したのか、
厚労省が要件を今年より厳しくしました。
単なる制度の導入だけでなく、
制度【整備】が必要になりました。
具体的には、
▼2%以上の賃上げ
の実施が必須となりました。
これにより取り組むハードルが
一気に上がってしまいました。
ただもし製造業の中で、
【ものづくり補助金】(経済産業省)
に取り組む予定のある企業の方は、
セットで検討する価値あり。
ものづくり補助金の2次公募が以下の要領で現在行われています。
▼公募期間 8月3日~9月10日
▼要件の一つ
*社員1人当り付加価値額3%以上
(注)付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
もし今後ものづくり補助金の採択を目指すなら、
賃上げは必要になります。
人件費UPを通じ、
▼ものづくり補助金 … 経済産業省
▼人材確保等助成金 … 厚生労働省
をGETできれば、
キャッシュフローのプラス効果は計り知れません。
経済産業省の補助金も、
厚生労働省の助成金も、
賃上げなど要件が一部重複しているケースが
多々あります。
つまり国策を【掛け算】で活用できるチャンスがあるのです。
人件費UPは組織にとって、
それなりに負担は大きいものがあります。
それだけにうまく、
国策を最大限活用しなければなりません。
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今夏、戦後73年を迎えた日本。
1942年のガダルカナル作戦は米軍の戦力を過少に判断。
その結果、壊滅的な打撃を受けた
陸戦のターニングポイントでした。
ただガダルカナル作戦開始時、
日本軍は健闘していました。
米軍のゴームレー中将は、
侵攻準備で手間取り、極度の悲観論者。
司令部に敗北主義に近い報告を行いました。
そこで、米軍はゴームレーを左遷し、
ハルゼー中将に交代させます。
この交代効果は目覚ましく、
戦況はガラリと変わり、日本軍を壊滅へ。
ハルゼーの抜擢は、
米海軍に以下のメッセージを発しました。
▼戦場で迅速な行動力と勝利への執念が
ある人物は高く評価される
▼非効率で行動が遅く、
成果を挙げない人物は降格される
一方、日本軍はと言えば…
▼ノモンハン事件で多数の日本兵を
犠牲にした辻政信参謀は、
予備役編入を免れ、中央に返り咲く
▼無謀極まりないインパール作戦を主導した
牟田口廉也中将は、陸軍予科士官学校の
校長に任命
という始末。
大東亜戦争時の日本軍の組織論に関する
名著があります。
『失敗の本質』野中郁次郎編著(ダイヤモンド社)
この中でこう記述されています。
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日本軍は結果よりもプロセスを評価した。
個々の戦闘でも、慎重論を唱えた士官は
「やる気・意欲がない」
という理由で左遷した。
このような志向が作戦結果の
客観的評価や蓄積を制約し、
官僚制組織における下剋上を
許していったのである。
そしてこれが無謀極まる指揮官を
多数育てる温床になった。
明らかに無能でも、
日本軍内では現地第一線に
留まり続けてしまうことができたのだ。
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『人事評価制度』は諸刃の剣です。
日本軍のように、
組織の性格や能力を硬直させ、
目標達成を邪魔する要因を作り上げる。
一方、米軍のように徹底した能力主義で、
勝利という目標達成へ向け、
一直線に組織の全力を発揮させる。
名著『失敗の本質』ではこんな記述もあります。
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米軍の司令長官兼太平洋戦域最高司令官の
チェスター・ニミッツは、
人事評価制度に対し、
次の2つのメリットがあることを指摘した。
▼選定プロセスに感情が入り込む余地を
排除したので、
選ばれた者は結果に自信を持つ
▼選ばれなかった者も、次の機会に
希望を持って能力向上に
励むことができる
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このように見ても…
評価のモノサシを正しく切り替えることが、
組織運営のイノーベーションである。
このことが理解できます。
戦後73年の今夏の学びとして、
人事評価制度の重要性を再認識しましょう。
大阪桐蔭高校の根尾君が今夏の大阪府予戦前に読破した、
『リーダーの禅語』の中でこんな記述があります。
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▼清風拂明月 明月拂清風
上司と部下は「生かし、生かされ」
リーダーになると、
「部下は自分の言うとおりに
動いておけばいいんだ」
とばかりに高圧的になり、
部下から学ぶ姿勢をなくしてしまう傾向
があります。
そうすると、上司と部下の協力体制が崩れ、
結局は部全体の成績を下げてしまうこと
になりかねません。
上下の隔たりなく、
部下とともに考え、行動していく上司は
「あの人なら、応援しよう」
という気持ちを起こさせます。
スポーツ選手がよく「監督を胴上げしたい」
というでしょう?
監督を信頼しているからこそ、
優勝という成果を上げるために、
選手は監督を応援する気持ちで
頑張ろうとする。
上司と部下の関係は、
清風と明月のようなものです。
爽やかで清らかな風は、
それだけで爽快です。
明るく輝く月は、それだけで美しい。
その二つが互いに主客を変えながら、
一体となって美を高め合っています。
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根尾君が西谷監督を胴上げするシーンは、
まさに、
▼清風拂明月 明月拂清風
でした。
根尾君と西谷監督。
全国高校野球100回記念大会の
王者にふさわしい師弟関係でした。
▼稲盛和夫
▼スティーブ・ジョブズ
▼エリック・シュミット
▼根尾昴??
世界のリーダー達(一部球児含む)
がなぜこぞって、
『禅』
を学ぶのか、よく理解できました。
人事評価制度も『禅』の精神が
宿ったものにしたいところです。
今日も社長業を楽しみましょう。