こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループの
税理理法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。
先日のブログの続きです。
坂根氏の場合は確かに『奇跡のV字回復』と世間から賞されましたが、
最初から『ダントツ経営』を標榜されたわけではありません。
坂根社長としての初仕事は、リストラなど『守り』の施策でした。
まずは、変動費の見える化。
次に、希望退職や転籍などのリストラ。
リストラについては『一度限りの大手術』と称し、
1100人の希望退職や1700人の子会社への転籍を実施し、
当時のコマツ社員の15%の人員整理を行ったそうです。
この結果、坂根社長初年度800億円の赤字が
翌年には660億円の黒字まで回復。
また、パナソニックでも6代目社長の中村邦夫氏が当時、
「45歳以上の社員は私も含めていらない」
と過激な発言をし、1万3千人の希望退職を募りました。
その結果、赤字2000億円を翌年には1200億円の
黒字まで回復。こうしてV字回復を遂げました。
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このように、不採算事業や赤字体質にメスを入れるには、
【まず出血を止める】
ことが最優先の経営セオリーであるとわかります。
売上を上げるより、固定費削減にまず取り組むべし。
赤字や不採算事業のテコ入れとして、
いの一番にすべき行動であるとご理解を!
ただパナソニックの中村改革は『偽りのV字回復』
とその後、揶揄されました。
なぜならコマツの場合は、一度きりの大手術だったのに対し、
パナソニックの場合、その後も3万5千人のリストラをし、
人員整理による黒字化を続けたからです。
中村改革当時のパナソニックは、組織が硬直していきます。
『ドキュメント パナソニック人事抗争史』岩瀬達哉氏著(講談社)
によれば、こんな記述が見られます。
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中村が社長時代の元部下もこう語っている。
「中村さんが社長になってから、
品質会議というものを始めたのですが、
ここでは毎回のように、
事業部長や工場長が吊し上げられていた。
説明が悪いと、極端な話、
次の会議にはいない。
どこかに飛ばされちゃっているんだから。
だから皆、自分の身を守るため、
自分の責任のとれること以外、
何もしなくなる。
身を縮こませ、
足元ばかりを見て仕事するように
なっちゃったわけですよ。」
中村が焦れば焦るほど、
幹部社員たちの気持ちは萎え、
固く縮こまっていくばかりだった。
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こんな社内状況では、
ダントツ商品を生むことは難しかった??
▼日立製作所 23年
▼ソニー 20年
▼三菱電機 17年
これは各社がバブル前後に記録した、
過去最高益を更新するまでに要した年数。
しかし、パナソニックの状況は、
さらに厳しいものがありました。
2000年以降は巨額の赤字を繰り返す。
今だ1984年に更新した過去最高益を更新できず。
8代目社長の津田氏の経営手腕にいま期待が寄せられています。
守りの施策だけでは真の意味で組織は強くならない。
攻めの施策がなければ、本当の意味での成長は実現できない。
コマツとパナソニックから、そんな学びを得ることができます。
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ダントツの強みを磨き、
代を重ねるごとに強くなる。
これがコマツのあるべき姿です。
そのためにも、
コマツウェイのような理念が組織に浸透し、
健全な企業文化が根づくことが
非常に大切だと思います。
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坂根氏も理念(コマツウェイ)の重要性を
説いていらっしゃいます。
実は、
コマツウェイのブランドマネジメント編は、
大いに参考になります。
▼レベル1
コマツは付き合うに値しない。
▼レベル2
コマツの話くらいは聞いてやろう。
▼レベル3
コマツを買って損はしなかった。
他と同じくらいだ。でも、大丈夫かな?
▼レベル4
コマツは期待通りだった。
買ってよかった。
▼レベル5
これからもコマツを買い続けたい。
一番頼りになる。
▼レベル6
コマツに何かしてあげたい。
コマツと一緒に何か作りたい。
▼レベル7
コマツなしではビジネスが成り立たない。
コマツと一緒に成長したい。
坂根氏は上記に基づき、すべてのお客様との関係性を
1段階でも上のレベルに引き上げることを
目指すようにしました。
これがブランドマネジメント活動の眼目だったとか。
上記のレベル1~7の【コマツ】を自社名に置き換えれば、
すべての経営者に応用できます。
しっかり肝に銘じたいと思います。
(自戒の念を込めて)
今日も社長業を楽しみましょう。