こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ代表の
税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦@税理士です。
経営者には自分の家族だけでなく、
社員とその家族の幸せを追求する。
そんな責務があります。
経営者の危機管理対策として【生命保険】の意義を
認識しておかねばなりません。
▼そもそも起きる確率は低いが、
起きたら自分だけではカバーできない。
▼そんな不測の事態に備えるために、
損を承知で渋々最小限度の加入をすべき。
このように語られることもあります。
確かにその通りです。
ただこれは個人レベルでのお話です。
巷のサラリーマンや公務員は、
この考え方で間違いありません。
【保障】と【貯蓄】の役割を混同。
ムダな保険に加入している。
こんな現象に注意すべきでしょう。
死んだ時には、大きなリターンがあったはず。
でも、生き残った時にはご褒美が出ない。
その挙句、
「死ななくて良かったですね。
保険料はいわば、
万一の時のお守り代ですよ。」
と変な(?)慰めトークを言われる。
ただ計算すると、
びっくり仰天するお守り代に…
40歳男性が30年間、
1億円の10年更新型の定期保険を継続。
この時の保険料累計は2900万円もの、
掛け捨てになるそうです。
丁半博打で、
丁(死ぬ方)にだけ張っていては、
半(生き残る方)になった時には、
胴元(保険会社)が全部持っていく。
これは受け入れ難いものがあります。
したがって、サラリーマンや公務員にとって、
生命保険のセオリーは上記の通りになるのです。
ただ経営者にとっての生命保険は、
上記では語れません。
法人の生命保険は以下の意味を持ちます。
▼節税と万一の保障が
一石二鳥で得られる唯一の金融商品
加入する保険にもよりますが、
一般的に丁半博打にはなりません。
丁(死ぬ方)にも半(生き残る方)にも、
バランスよく対応できます。
このように、法人の生命保険を活用すれば、
経営者の危機管理対策は資金面で万全にできます。
ただお金だけでは…
トップに万一のことがあっても、
法人が永続できる体制にはなりません。
【経営理念】を現場に浸透させる。
このことの重要性を再認識させられる書籍があります。
『神になりたかった男 徳田虎雄』(平凡社)
著者は山岡淳一郎氏。
『気骨 ~ 経営者土光敏夫の闘い』
『逆境を超えて
~ 宅配便の父小倉昌男伝』
などの著書を持つノンフィクション作家。
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世界有数の病院グループ『徳洲会』。
創業者の徳田虎雄氏。
彼は急患のたらい回しが日常だった
医療界に革命を起こしました。
山岡氏は著書の中で、
このように記述されています。
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徳田の原体験は、幼少時の弟の死だった。
弟の容態が悪化したにもかかわらず、
医者はすぐに来てくれなかった。
医者にも診てもらえず、
死んだ弟が哀れで仕方なく、
怒りと悲しみが込み上げた。
(中略)
「そもそも医療とは何か」
と徳田は自問自答する。
庶民の命と生活を守るものだ。
医者の都合で救急患者を断るのは、
もってのほかだ。
すべて受け入れよう。
患者さえ集まれば、病院は経営できる。
(中略)
徳之島を出立するとき、
父はこう言った。
「成功するまで生きて帰るな。
死ぬんだったら、鉄道線路もあるし、
海もある。」
父は虎雄に命がけの覚悟を求めたのだ。
(中略)
いつでも誰でも診る徳田の行動は、
使命感の薄い医師の反感を買う一方、
共感者を強く惹きつけた。
医療者の本能を刺激したのだ。
(中略)
宇治市の医師会は、
徳洲会の進出阻止へ向けて、
小中学校の校医をボイコットすると
圧力をかけた。
しかし、子供の生命を人質にとった
対抗策は世論を敵に回し、
徳洲会の宇治市進出は認められた。
(中略)
勝利の美酒に徳田は酔った。
有頂天だった。
あれは、身内の支持者の集まりだった。
つい政治家の金丸氏への2000万円の
鼻薬が効いたと得意げに喋ってしまう。
ここが運命の分かれ目だった。
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こうして栄華を極めた徳田王国も、
崩壊していきます。
公職選挙法違反と、政治とカネの疑惑。
側近の事務長による、
3000万円の横領事件。
一連の事件は、
徳洲会グループの屋台骨を揺さぶりました。
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これで組織の命は絶たれる。
創業ファミリーの不祥事が発覚すれば、
衰退の一途をたどる。
これが世の常です。
ただ徳洲会は違いました。
徳田王国が崩れ去り、生き残ったのは…
徳田氏がかつて立ち上げ、
徳田氏の理念に共感した現場の医療でした。
山岡氏は著書の中で、
このように締めくくっています。
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よく『組織ぐるみ』と言われますが、
人と金を動かしていたのは、
徳田氏とファミリーです。
医療の現場は、与り知らぬところです。
病院や介護施設の現場はひたすら、
「生命を救いたい」
「患者さんを治したい」
「治らなければ見守りたい」
と愚直に取り組んできました。
だから、徳田家の人や幹部の動機が
どうであれ、
あれだけ巨大な組織になったのです。
誰が上に立とうが、医療は医療なのです。
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医療の世界はやはり崇高です。
ドクター先生の皆様方に対し、
改めて敬意を表したいと思います。
ピーター・ドラッガー氏は、
経営者に対し、
『われわれの顧客は誰か?』
と常に自問自答せよと言いました。
顧客を選び、絞り込む。
顧客を選ばない組織は、顧客にも選ばれない。
そんな経営のセオリーがあります。
ただ医療の世界には、
『応召義務』
があります。
応召義務とは、医師は診療行為を求められた時に、
正当な理由がない限り、これを拒んではならない
とする法令で定められた義務を言います。
顧客(=患者)を選んではいけない。
そんな究極の応召義務の姿として、
『年中無休・24時間診療』
を実現した。
徳洲会は徳田個人の創造物ではなく、
ひとつの社会運動体になったのです。
理念が現場に浸透していれば、
トップの不祥事や公私混同が表に出ても、
組織は永続的に発展できる。
そんな学びを得ることができます。
先日のサッカーW杯のコロンビア戦で、
先制ゴールを決めた香川真司選手。
彼にはこんな名言があります。
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オレが一番大事にしているのは、
闘う姿勢。
技術はその次、
といったら変ですけど、
まずは気持ちの面で絶対負けない。
そんな意識を持たないといけない。
そういう気持ちを常に持ってやっている。
それが良い方向に働いているのかな。
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先日のゴールは見事でした。
落ち着いて、よく決めてくれましたね。
(拍手!)
香川選手の言葉を
経営者の危機管理に応用すれば、
▼第一に、闘う姿勢(= 理念教育)
▼第二に、技術(= 法人の生命保険)
になるでしょう。
わが社は地震前の先週金曜日、
夏季賞与授与式の後に理念教育を実施。
今後わが社でも理念教育を
社内で徹底していきたいと思います。
今日も社長業を楽しみましょう。