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中小企業のディフェンスラインを考える

 

こんにちは、大阪駅前のTFPグループの
税理士法人トップ財務プロジェクト代表の岩佐孝彦@税理士です。

先日、記者会見を開いた日大アメフト部の選手。

彼のポジションは、ディフェンスラインでした。

実は、ミスや不正行為が起きやすい
組織の弱点を見る方法に、

【3つのディフェンスライン】

という考え方があります。

 

『企業不正の研究』(日経BP社)

 

この書籍の著者の安岡孝司氏は、
上記を以下のように定義しています。

▼第1のディフェンスラインとは?

現場レベルでのリスクマネジメント
をいう。

例えば、工事現場などで、
安全確認を励行したり、

社内規程やチェックリストである。

▼第2のディフェンスラインとは?

現場と独立な立場で、
リスクマネジメントを行うこと。

例えば、検査部門による
工事で作られた商品の品質や
性能チェックである。

▼第3のディフェンスラインとは?

内部監査の仕事として、
社長や役員会直属の組織である。

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昨年、神戸製鋼の品質偽装の問題が発覚。

日経新聞(H29年10月9日)によれば、

神戸製鋼はアルミ製部材などで、
顧客の求める品質基準を満たさず、品質データを改ざん。

品質検査の証明書を改ざんは、
山口県の長府製造所など4事業所で行われた。

データ改ざんは10年ほど前から行われ、
管理職を含め、数十人以上が関与。

組織的に行われていたそうです。

神戸製鋼の企業理念は、
以下のように制定されています。

1.信頼される技術、製品、サービス
を提供します

2.社員一人ひとりを活かし、
グループの和を尊びます

3.たゆまぬ変革により、
新たな価値を創造します

安岡孝司氏は著書の中で、
こう評しています。

……………………………………………………

品質偽装によって、
神戸製鋼のブランド価値は、
大きく毀損しました。

経営理念で、

「信頼される技術、製品」

を最重要視しているにもかかわらず、

品質リスクを見落としているのです。

経営理念がリスク管理に
反映されていないと、

理念だけが宙に浮いてしまいます。

同社の「約束」は空約束に
なってしまいました。

……………………………………………………

同社の社内調査による報告書によれば、
問題のあった部署は以下の通りでした。

▼製造部署

(第1のディフェンスライン)

▼品質管理部署

(第2のディフェンスライン)

▼品質保証部署

(第3のディフェンスライン)

そして、
神戸製鋼には以下の問題がありました。

▼事業部によって、品質管理部署と品質保証部署が
同じ部内にあり、2つの機能が独立していなかった。

 

▼品質検査部署で記入した検査値が
品質保証部署で書き換え可能だった。

 

▼コンプライアンスの遵守意識が低く、
本社機能の弱さを露呈した。



たった4人の町工場を
1兆円企業にまで育て上げた名経営者。

そんな永守重信氏(日本電産CEO)
にこんな名言があります。

…………………………………………………

企業というものは、
一体いつから弱くなるのだろうか?

それは成長の過程で、
社員が創業の精神や理念を忘れ、

官僚化が始まるときであろう。

小さなことをないがしろにする行為に
対しては、

徹底的に叱責するという風土を
根付かせている。

企業とは、
社員の意識の集合体であることを
忘れてはならない。

…………………………………………………
中小企業で最も怖いこと。

それは、社内のガバナンス体制を強化するがあまり、

官僚化してしまうこと。

私たち中小企業では現実的に大企業のような

3重構造のディフェンスラインを
敷くことは難しいでしょう。

中小企業のディフェンスラインが3重構造になれば、
組織の硬直化や官僚化が始まる??

よって、中小企業が最低限やるべき
ディフェンスラインは、
【ダブルチェック体制】

です。

『稲盛和夫の実学~経営と会計』

(日本経済新聞社)

この名著には、ダブルチェック体制の仕組みを作る
重要性が説かれています。
社員に罪を作らせない。

そんな目的が内在したシステムです。

その効果として、以下が考えられます。

▼組織として作業の正確性を確保し、
品質保持を図れる

▼間違いや不正を抑制することができる
▼上司から部下へ間違えた個所を指導し、
部下の能力向上を図れる

▼上司が部下の仕事の進捗を確認できる



 

日大アメフト部や神戸製鋼を他山の石として、

 

▼経営者が一番大切にしなければならない
ことはお金でなく、品性であるという
理念をトップとして肝に銘じること

by 星野佳路氏

 

▼ダブルチェック体制の仕組みを
社内に作ること

by 稲盛和夫氏

 

このように、2人の名経営者の教えを実践し、
リスクマネジメントを心がけるべし。

今日も社長業を楽しみましょう。

 

 

 

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