こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの
岩佐孝彦@税理士です。
2018年度が始まり、厚生労働省から今年度の助成金の概要
が発表されました。
今年度の目玉としてマークしてほしいのは、
▼人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)
です。
平成30年4月1日より創設されました。
従来はなかった新メニューです。具体的にはどんな助成金なのか??
設備投資をし、利益が増えた分を賃上げに回す。
そんな中小企業に対し投資額に応じ、助成金が得られます。
つまり、以下の流れを作った中小企業を応援しようという主旨です。
▼設備投資
↓
▼生産性向上
↓
▼賃上げ
いま国は上記こそ“中小企業の健全な成長発展の姿”
と考えているのです。
具体的には、設備投資の回収サイクルを目安に、
▼1年コース
▼3年コース
に大別し、助成金を支給します。
設備投資額が(175~1000万円未満)の場合、
1年コースに区分されます。
そのうえで、下記2段構えで助成金が支給されます。
▼第1ステップ(1年後支給)
*賃金アップ(前年対比2%以上UP) ⇒ 助成金50万円
▼第2ステップ(3年後支給)
*賃金アップ(前年対比6%以上UP)
*生産性要件(3年後6%以上UP)
⇒ 助成金80万円
(注)生産性要件とは?
営業利益・人件費・減価償却費などを雇用保険被保険者数
で割った金額
∴上記助成金合計130万円
その他、3年コースは以下の通りです。
設備投資額(240~5000万円未満)の場合、
3年間の中で 下記3段構えで助成金が支給されます。
▼第1ステップ(1年後支給)
*賃金アップ(前年対比2%以上UP)
*生産性要件(1年後0%以上UP)
⇒ 助成金50万円
▼第2ステップ(2年後支給)
*賃金アップ(前年対比4%以上UP)
*生産性要件(2年後2%以上UP)
⇒ 助成金50万円
▼第3ステップ(3年後支給)
*賃金アップ(前年対比6%以上UP)
*生産性要件(3年後6%以上UP)
∴上記助成金合計180万円
その他の3年コースとしては投資額に応じ、以下の通りです。
設備投資額(5000万~1億円以上)の場合、
上記助成金合計225万円。
設備投資額(1億円以上)の場合、
上記助成金合計450万円。
この制度を見てみると、設備投資の効果を段階的に測定したうえで、
▼1年後
▼2年後(3年コースの場合)
▼3年後
というステップ・バイ・ステップで、助成金が支給される制度です。
故衣笠祥雄氏にこんな名言があります。
……………………………………………………
ひとつハードルを飛び越えられれば、
必ずひとつ力がつく。
それが自信になって、
次にはもう一段高い
ハードルを越えられる。
……………………………………………………
この助成金はまさにこんな設計になっているのです。
なお、上記要件のうち『賃金アップ』の詳しい内容は現段階では
明らかになっていません。
正式に判明次第ご案内します。しばしお待ちを!
この新設の助成金の効果を掛け算で得るには、
【優遇税制】とリンクさせる。
これがキモになります。
近年アベノミクス減税として以下の優遇税制がありました。
▼設備投資
⇒ 中小企業経営強化税制
▼賃上げ
⇒ 所得拡大促進税制
順番に見ていきましょう。
まず、設備投資の優遇税制です。
昨年より『中小企業経営強化税制』が創設されました。
▼機械装置 160万円以上
▼工具 30万円以上
▼器具備品 30万円以上
▼建物付属設備 60万円以上
▼ソフトウェア 70万円以上
上記の投資に対し【即時償却】 or 【税額控除】
を選択できる制度です。
次に、賃上げに対する優遇税制です。
平成30年度税制改正において『所得拡大促進税制』の拡充
が行われました。
▼第1ステップ
*人件費(前年対比1.5%以上UP)
⇒ 税額控除(人件費増加額の15%)
(注)上限:法人税額の20%
▼第2ステップ
*人件費(前年2.5%以上UP)
*教育訓練費(前年10%以上UP)
or
経営力向上計画の認定の証明あり
⇒ 税額控除(人件費増加額の25%)
(注)上限:法人税額の25%
人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)と同様、
ステップ・バイ・ステップで税効果が大きくなる制度です。
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厚生労働省が国税庁に便乗??
つまり、従来から存在した優遇税制に乗っかる形で、
新たな助成金が打ち出されたのです。
こうして、2018年度の中小企業施策はパワーアップされました。
是非とも積極的に活用してほしいところです。
今日も社長業を楽しみましょう。