こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの
岩佐孝彦@税理士です。
2017年の世相を表す漢字は 『北』 でしたね。
その前の3年間を見てみると、
▼2016年 『金』
▼2015年 『安』
▼2014年 『税』
さあ、2018年の漢字は一体どうなるのか?
どんな一年になるのか、楽しみですね。
ここで興味深い漢字を紹介しましょう。
帝国データバンクによる調査データです。
対象は、全国の百年企業4000社。質問事項はコレ!
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老舗企業として、
大事なこと、重要視すべきことは何か?
ずばり漢字一文字で表現して下さい。
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回答として、圧倒的No1の漢字は??
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『信』
信用、信頼。
長い時間をかけて、お客様や取引先、地域との信頼関係
を築いてきたこと。
真心を込めた 誠実な商いを行ってきた。
だからこそ、今があること。
代々継続してきた事業を
自分たちが次の世代へ引き継いでいく。
調査結果から、
そんな老舗企業の思いが伝わります。
二位以下の漢字を見てみると…
『誠』
『継』
『心』
素晴らしいですね。
続いての調査事項はコレ!
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自社の社風を漢字一文字で表すと?
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回答として、圧倒的No1の漢字は??
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『和』
取引先や地域社会、従業員との和を重んじていること。
日本という意味で、
『和』
を挙げた企業もあるでしょう。
奈良時代の聖徳太子の十七条憲法の第一条にも、
こう唄われています。
「和をもって貴しとなす」
また、伝統的な産業を引き継いで、
これからも支えていく。
そんな老舗企業の志も見えますね。
私どものクライアントにも、
百年企業が多くいらっしゃいます。
年始に際し、
改めてその社歴に敬意を表します。
平成30年度税制改正大綱が 昨年12月中旬に正式に発表!
この中で、 中小企業の事業承継を後押しする。
そんな優遇税制が強化されました。
平成21年度に創設の事業承継税制。
従来は使い勝手が悪い。
そんなふうに言われていました。
2015年の適用件数は、 515件だったとか。
例えば…
先代経営者の死亡時に、
社長交代し、自社株を相続する。
この場合、全株式の3分の2を対象に、
相続税額の8割までの範囲でのみ猶予。
これだと…
相続した全株式の相続税のうち、
『53%』
しか猶予されない計算に。
残り47%の自社株に対しては、
普通に課税対象に…(汗)
また、贈与税はこうなっていました。
例えば…
先代経営者から後継者へ社長交代。
この時に、先代から自社株を贈与。
この場合、全株式の3分の2を対象に、
贈与税額の100%を猶予。
これでも…
受け継いだ全株式の贈与税のうち、
『約66%』
しか猶予されない計算に。
残り約34%の自社株に対しては、
普通に課税対象に…(汗)
以上が従来までの取扱い。
実は、平成30年度税制改正にて大幅に要件が緩和されました。
一言で言えば…
『自社株のすべてにかかる
相続税も贈与税も100%免除OK』
になりました。
これは朗報です!
具体的には以下の通り。
▼継がす人(先代)
*代表者であったこと
*筆頭株主であったこと
▼継ぐ人(後継者)
*代表者になること
*筆頭株主になること
(注1)
先代が会長になって、
後継者が社長になるパターンOK
(注2)
非同族でもOK
▼対象法人
*不動産を管理するための法人は適用が受けられない。
(注)
非同族の従業員5名以上の雇用があり、事務所を有する
など事業実態がある場合は適用が受けられる。
▼贈与税 or 相続税の猶予の対象
(現行) 全株式の3分の2まで
(今後) 全株式
▼贈与税 or 相続税の負担
(現行)贈与税100% & 相続税80%
(今後)贈与税&相続税100%
▼猶予の株主の対象
(現行) 筆頭株主のみ
(今後) 最大3人まで
▼引継ぎ後5年間の要件
(現行) 5年平均で雇用の8割維持
(今後) 要件を満たさない場合、 経営状況の悪化など
正当な理由があればお咎めなし
大増税時代の中で、 なぜ、ここまで大盤振舞いするのか?
政府としては、
「今の日本にとって、最大の損失は業績の良い会社が
廃業してしまうこと」
「中小企業のの経営者の平均年齢を40代にするくらいの
大きな政策で、 経営者の若返りを10年で図る」
という思惑があります。
東京商工リサーチによれば…
中小企業の休廃業件数2万9583件 (2016年)。
これは過去最多とか。
経営者の平均年齢も約61歳。
高齢化の波は、中小企業にも確実に押し寄せています。
こうした背景の中で…
国策として、中小企業の事業承継を後押ししてくれている
のです。
ただこの優遇税制のボトルネックは、
【後継者は株式を保有し続けること】
です。
後継者がこの優遇税制を使って、次の後継者に事業を承継する。
そうすれば、自社株の相続税&贈与税 は半永久的に免除になります。
初代から2代目へ。
この時の税金は、2代目から3代目へ承継できた場合
に免除になるという仕組みです。
百年企業を目指す組織には、最高の優遇税制になるわけです。
百年先まで未来は不透明という場合、持株会社形態が王道です。
年末に発表される、今年の漢字はもちろん毎年変わります。
ただ、上記の老舗企業の漢字一文字は、いつの時代も不変です。
その他にも、冒頭の老舗企業調査で、
こんな質問事項がありました。
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創業時から現在に至るまでに、
▼変えていないこと(もの)、
▼変えたこと(もの)
は何か?
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回答結果は次の通り。
▼変えていないこと(もの)
*社名・屋号 … 85.8%
老舗企業は、創業時のブランドや CI(コーポレート・
アイデンティティ)を重視する姿勢が見えます。
一方、
▼変えたこと(もの)
*販売方法 … 78.9%
*商品サービス … 72.4%
*主力事業 … 56.1%
*製造方法 … 55.3%
となっています。
百年以上の歴史の中で、 商品そのものが進化し、
製造方法も革新を遂げる。
そして、近年はネット経由の受発注も拡大している。
このように、顧客ニーズや 時流に合わせ、
変えるべきところは変えてきた。
だからこそ、 老舗でいられるのかもしれません。
年始だからこそ、初心に返り…
どんな時代が来ても、いつの時代も変わらないもの
を大切にしたい。
そのためには、 会社存続が大前提です。
2018年、あなたの会社にとって、
変えるものと変えないものは何ですか?
今年も社長業を楽しみましょう!