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社長の一番大切な財産の落とし穴

こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦@

税理士です。

人生を歩んでいると、色んな誘惑にかられます。

A社長も例外ではなかった。

取引先の社長の高級外車を見て…

「かっこいい、俺も欲しいなぁ。

ちょっと無理すれば、買えないことはないなぁ。」

 

 
知人の経営者の豪邸を見て、

「俺もこんな家に住みたいなぁ。」
しかし、誘惑に負けそうな自分に言い聞かせる。

 

 

「いやいや、家は寝るだけだし。立って半畳。寝て一畳。
車だって、俺には国産がお似合いだ。

今は儲かっているけど、
この先どうなるか、わからないしなぁ。

有頂天から始まる地獄だよ。我慢、我慢。」





A社長は、戦前生まれ。

戦後すぐの預金封鎖の新円切替を経験。

一夜にして世の中が変わってしまう。

このことを身をもって知っている。

だから、いっとき儲かったからといって、
身の丈を超える贅沢はしない。

ひたすら、会社の内部留保に努めてきた。




そんなある日、顧問税理士に、

「社長、自己資本が資本金の20倍 にもなって、

利益剰余金が積み上がっていますね。相続税が大変ですよ。」

と言われる??

立派な堅実な黒字経営を実践してきた。

何も後ろ指を指されることはないはず。

それなのに、皮肉にも…  そんな社長が必ずたどる運命。

何という仕打ちなんでしょう??

ただ日本の税制の仕組み上、これが現実。

経営者は本当につらい! 自社株の問題は怖いのです。

 

 
ドクター先生においても、平成19年4月1日より前に設立された、
医療法人の場合、 出資持分の問題が該当します。

そんな経営者が反面師 にすべきショッキングなニュースが…

先日、日経新聞にこんな記事が出ていました。

 

 
「飯田HDGの遺族、80億円申告漏れ 東京国税局指摘」

 

 
記事によれば、戸建住宅分譲大手の飯田グループホールディングス
の元会長の相続税の調査で、長男に対し、追徴課税40億円があった

とのこと。

相続税の申告漏れの財産とは、

▼自社株(名義株式)

でした。本件は別に脱税ではありません。
状況を見ても、セオリーは実行済。

「個人増税 vs 法人減税」

の流れに乗るべく、 資産管理会社をちゃんとこしらえていました。

そして、その資産管理会社にて、飯田GHD株式を保有。

ただ資産管理会社の株式の一部は…

名義上は長男になっていた。

だから、元会長の相続財産に含める必要なし。

 

 
そう判断し、残された家族は、

▼不動産(自宅含む)

▼預貯金

のみを相続財産として申告。

しかし…  課税当局はこう判断しました。

「長男は、株式の取得資金を実質的に負担していない。

名義は確かに長男だ。

しかし、実質的な所有者は元会長である。

よって、相続財産に該当するので、 追徴40億円を払いなさい。」

 

 
相続税の税務調査対策を考える際の 重要テーマは、

▼名義預金

▼名義株式

です。

名義預金とは… 通帳の名義は家族になっている。

生前贈与対策として、毎年せっせと、 家族名義の口座に資金移動。

ただ日々、通帳と印鑑を管理しているのは、家族ではなく、本人。

よって、名義だけが家族であって、実質的には本人の財産である。

そう認定され、申告漏れを指摘される…

これは、サラリーマンや公務員含め、 一般個人の相続税調査

で最も危ない落とし穴。

そして、 経営者の場合、名義株式も要注意!

名義預金や名義株式は、課税当局から見れば、まさに、

 

 
『頭隠して尻隠さず』

 

 
の資産なのです。

株式の名義上の所有者が誰であれ、実質的な所有者が他にいる

のであれば、真の所有者は後者である!

そうみなされるのが【名義株式】。

 

 
最高裁の昭和42年の判決。

東京地裁の昭和57年の判決。

ここでも名義人ではなく、実質上の引受人がその株主になる、

と結論付けられています。

 

 
平成2年以前に設立した会社。このケースは要注意!

平成2年以前は、発起人含め8人の株主が必要とされていました。

よって、社長が親戚や知人 から名前だけを借り、

株式の取得資金は社長が全額負担。

こんなことが当たり前に行われていたのです。

名義株の温床があったわけですね…(汗)

 

 

 

マイナンバーが施行され、
名義株の存在が暴かれるリスクは高くなりました。

 

 
「元をたどれば、出資したのは誰なのか?」

 

 
この点を過去の資金の流れから、課税当局に瞬時に捕捉される。

そんな恐ろしい社会システムが できつつあります。

名義株式のトラブルの予防策としては、 相続が発生する前に、

株式を実質上の保有者の元に 集約しておくことです。

自社株は社長の一番大切な財産です。

今日も社長業を楽しみましょう。

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