こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦です。
今日の一冊はコチラ!
『人を信じても、仕事は信じるな!』小山昇(大和書房)
それでは本日の赤ペンチェックを見てみましょう。
▼「社長の仕事は何か」から始まって、組織づくりやマネジメント、
社員教育やコミュニケーションなど、すべては「社長が決定し、社員が
それを実施する」という基本形をいかにうまく機能させるかという話に
つながります。
▼「社長が決定し、社員がそれを実施する」という大前提をうまく
機能させる3つのキーワード
①数字は言葉である
②情は回数で育つ
③真実は現場にある
▼数字・回数・現場というのは、あらゆる場面に登場する、まさに
経営の3大要素です。
そして、その根底に流れているのが「人は信じても、仕事は信じるな!」
という考え方です。
▼人を信用するのと、仕事を信用するのはまったく別モノだからです。
▼具体的な数字を伴い、回数を重ねて何度も報告を受ける。これをせずに
「あいつのことは信用しているから」などと放っておいたら、あっという
間に会社はダメになります。
そんな社長は「信用するべき部分」と「信用してはいけない部分」をまるで
理解していないです。
▼山奥のホテルにこもって「経営計画書」をつくる。
あなたの会社の明確なマスタープランがありますか。
はっきり言っておきますが、お客様に商品を売ることだけを考えていても、
会社は思うように成長しません。
「5年後にどうなっているか」という長期的な構想を練り、そのためのプランを
起ち上げることが絶対に必要です。
▼人間同士、企業同士を比較しても、同じ業界にいるならば、もともとの
レベルに大差はありません。
では、いったいどこで差がつくのか。
答えははっきりしています。
マスタープランをつくって方針を明確にして、社員を教育し、戦略化した
会社が勝つというだけのことです。
頭のいい人、優秀な人が集まっている会社が勝つわけではありません。
そもそも、中小企業に、そんな優秀な人がゴロゴロいるはずがないです。
本当に優秀な人なら、さっさと独立して、ものすごい業績をあげているでしょう。
その原理原則を理解したうえで、事業計画のつくり方を学び、社員教育の仕方、
戦略の立て方を知れば、業界のなかでスッと上に抜け出せます。
▼嫌な話は社長の耳に入ってこない。
社員からの報告を聞くだけで、現場(お客様の実態)を理解した気になるのは、
とんでもない間違いです。
どんな会社でも、「嫌な話は社長の耳に入れないでおこう」と思うのがまとも
な社員です。「こんな話をしたら、社長は怒るかもしれない」という出来事を、
誰が進んで報告するでしょうか。隠そうとするのが当たり前です。
▼だからこそ、社長自身がお客様のところへ出向き、積極的に嫌な話を聞いて
くるしかないのです。
現場へ行けば、嫌な話がどんどん入ってきます。相手はお客様ですから、
社長だろうが、誰だろうが気を遣う必要はありません。気になっていること、
不満に感じていることを遠慮なくぶつけてくるでしょう。
そんな話を聞いていれば、「ここは改善しなければならない」「あそこは
変えるべきだ」というポイントが次々に浮かんできます。
言ってみれば、変えざるを得ない状況に追い込まれるのです。
▼「賞」しかない会社は暗い!
たいていの会社には賞罰があります。
言葉通り「賞」と「罰」があるわけですが、実際には「賞」の方ばかりが
機能している会社が多いのではないでしょうか。
大きな問題を起こさない限り「罰」が下されることがないです。
失敗をして上司に怒られたという話はよく聞きます。しかし、それで何か
しらの罰を受けたとか、業績が悪くて降格させられたという話はあまり耳にしません。
本当にそれでいいのでしょうか。
▼武蔵野では私が主宰する会議等に遅刻すると罰金です。
最高5000円までの罰金がルールとして決まっています。
あるとき、私がパチンコをしていて、会社の飲み会に少しだけ遅れてしまった
ことがあります。飲み会といえども、遅刻をすれば罰金です。
遅れて会場に到着してみると、社員が拍手で私を迎えてくれて
「はい社長、罰金5000円です」と嬉しそうに言うわけです。
当然、私はその場で罰金を払い、飲み会に参加します。
そんな明るいやりとりができるのは、罰がはっきりしているからです。
▼優秀な人などいらない!
「辞めたい」という社員は引き留めない。
社長はとかく優秀な人を採りたがります。
優秀な人を集めれば、それだけで会社がうまくいくと思い込んでいる。
ところが、ここに大きな勘違いがあります。少なくとも中小企業は、
優秀な人より価値観が同じ人です。
中小企業にとってもっとも必要な人材は「社長の決定を忠実に実施して
くれる人」です。もっと言えば、それに向かって汗をかいてくれる人です。
▼いくら能力があっても、社長の決定を実施しない人は会社の足を引っ張る
だけだからです。なまじ能力がある分、会社は多大な迷惑を被ることになります。
▼「社長が決定し、社員はそれを実施する」という基本において、特別なのは
社長一人だけです。それが会社(少なくとも中小企業)をうまく機能させる
構造です。
ところが、私が彼を引き留めた瞬間から、彼は「社長に引き留められた男」と
して特別なポジションに立つようになります。
▼「社長が決定し、社員がそれを実施する」という基本構造が崩れてしまったら、
いずれ会社は傾いていく。
▼たいていの社長は優秀な人材を失うのを恐れます。しかし、そこを恐れるあまり、
判断を誤ってしまうと、もっと大きな問題が降りかかってきます。
会社がうまくいかないのは「社長の決定に問題がある」か、「社員が実施していない」
かのどちらかです。「優秀な社員がいるか、いないか」ではありません。
城をつくるとき、大きな石ばかりを集めても完成させることはできません。
むしろ必要なのは、普通の石や小さな石です。たとえ大きな石がなくても、普通の石
と小さな石を上手に組み合わせれば、大きな城を築くことができます。
中小企業の経営とは、まさにこれに通じるものです。
大切なのは優秀な人を採ることや、会社に引き留めることではありません。
▼そこそこの人材でいいから、しっかりと汗をかいてくれる人を集めて、みんなを
同じ方向に引っ張っていくことが重要です。
すると、土台の固い、盤石な城を築くことができるのです。
▼性格の悪い人は教育できない。
採用のとき、私が一番重視するのは「性格の良さ」です。
簡単に言えば「一緒に遊びたい」と思える人を採る。
▼すべての社員が時と場所を共有する。
思想は社長が教え、技術は幹部が教える。これが社員教育の基本です。
「社長が何を考えているのか」「何を大事にしているのか」「どんな
思いを持っているのか」など精神的な部分においては、社長自身が直接
教えるべきです。
武蔵野の小山社長の著書は本当に面白いですね。
今日も社長業を楽しみましょう。