こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦です。
今日の一冊はこちら。
『運を支配する』桜井章一、藤田晋(幻冬舎新書)
それでは本日の赤ペンチェックを見てみましょう。
▼桜井会長から学んだことで、仕事や人生でとくに大きな影響を受けたものは何か
と問われれば、「己を律する」ということ、それから「正々堂々と戦う」の2つ
だと思います。
麻雀が弱い人は、己の欲望に負ける人です。本書で桜井会長が「洗面器から最後
まで顔を上げなかったものが勝つ」と述べているように、麻雀は我慢比べみたい
なところがあります。
ビジネスにおいても早く楽になりたいと勝ちを急ぐ人も、負けが込んで挽回しよ
うと熱くなる人も、「己を律する」ことができない人は結局、欲に呑み込まれて
自滅していきます。
またビジネスをしていると、ズルをしたり人を騙して稼ぐほうが得をして、誠実に
やっているほうが損をしているように見えることがあります。
しかし、卑怯な手を使う側に回りたくなる誘惑に負けてしまったら、そこでおし
まいです。人からの信用を失うばかりでなく、たとえ成功しても、幸せを感じる
ことはできないでしょう。
僕は「正々堂々と戦う」ことが、最後には一番強いと信じています。
▼チームワークがよくて、みんな気持ちよく仕事をしているときほど、見切りの
タイミングを先送りしがちです。雰囲気を悪くしたくないからです。
しかし、それを避けると、今度はずるずると取り返しのつかないところまで行って
しまいます。そうすると仲がよかったチームも最後はもめにもめます。
見切るのが辛くて先送りしたのに、後からそれが、何倍も悲惨な状態になって
返ってくるのです。僕はそれを何度も見てきているので、スパッと見切ることが
どれほど大切かを身をもって学びました。
決断の局面では勝負勘が問われるのですが、どれだけ勝負勘を働かせても、いくら
経験を積んでも、「見切り」の判断だけは本当に難しい。あまりにも難しいので、
僕は事業に失敗の兆しが見えてきたときに見切るための「撤退ルール」をつくり
ました。ある期間内にこれだけ赤字になったら撤退とか、何期連続減収・減益
になったら事業を見直すといったルールを社内に設けたのです。
▼たとえば、出発点で力が同じレベルにあるAさんとBさんがいるとします。
Aさんは正しい選択をし、努力もたくさん重ねているため、伸びている。
かたやBさんは間違った選択をしており、当然うまくいかず、同じレベルに
とどまったままになります。
最初に開い2人の差は、ほんのわずかです。しかし、成功とはわらしべ長者の
ようなもので、二乗作用が働くものです。はじめの頃は小さい勝負のステージ
しか与えられませんが、勝者にはより大きな勝負のステージが次々と用意
されます。そこで毎回「正しい選択」と「努力」を続けているAさんは
倍々ゲームのように伸びていき、気がつくと途方もないところにいっている。
そして、まだ出発点でくすぶっているBさんから見ると、どうやってそこに
行き着いたのか見当がつかず、「ものすごく運がいい人」としかとらえようが
ないのです。
途方もない差をつけられたBさんのような人は、今度は大勝を狙ってきます。
一発逆転狙いです。しかし負けているときの一発逆転狙いは、だいたい
自爆しておしまいになるものです。
▼有名な経営者たちに会うと、共通して感じるものがあります。
それはほとんどの方が「腰が低い」ということ。つまり謙虚なのです。
こちらが何か褒めると、判で押したように「いやいや、とんでもない」という
リアクションが返ってきます。
それはたぶん、本当の意味での謙虚なのではなく、自分を客観視できている
のだと思います。立場上、お世辞をいわれたり、褒められたりする機会が多い
ので、それにつられて自分や会社を過大評価してしまわないよう気をつけて
いるのでしょう。
▼煙草をすっているとき、人はネガティブなモードになりやすいといわれています。
職場の喫煙室で煙をため息のようにふーっと吐き出すのと一緒に、「この会社やばい
よね」などと不満も吐きだしたくなる。ネガティブな空気もまた伝染しやすく、
ちょっと油断していると、あっという間に会社全体の空気がネガティブ一色に
染められてしまうこともあるのです。
ネガティブな空気の発信源になる人は強い悪影響を与えうるので、会社にとっては
要注意です。
うちの会社では目標達成を祝うポスターが壁にたくさん貼ってあったり、新入社員
を歓迎するバルーンが上がっていたり、一般的なオフィスの空間とは少し雰囲気が
違います。これも空気をよくして、社内を活気づけるためにやっていることです。
同じ人間でも、ポジティブに気分よく仕事をしていればツイているように感じられ
るし、反対にネガティブな気分で仕事をしていれば、ツキからは見放されます。
▼ホンダの創業者本田宗一郎は、徹底した現場主義で工場をよく視察したという。
本田が油まみれの手をした工員と握手をしようと近づいたとき、工員が「いやあ、
この手ですから・・・」と恐縮したら、「いや、いいんだよ。この油の匂いがする
手がいいんだ」といってかまわず握手をし、工員が感激したという話を聞いたことが
ある。優れた経営者というのは現場が一番大事なことを知っているものだ。
オフィスで頭ばかり使っている人間は、現場の仕事を雑用的な感覚でとらえがちだが、
それは大きな間違いだ。
▼大きな流れを感じ取ろうとすれば、小さな流れにも気づかなければいけないと
いうことだ。
その瞬間は小さな流れでも、別の小さな流れと合わさって、やがては全体の流れを
変えてしまうほどの大きな流れになる。小さな流れを敏感にとらえていくことで、
次に出てくる変化の予測も可能になるのだ。
流れを読むのがうまい人は、大きな流れを的確につかむと同時に、その中に
芽生えている小さな流れも察知する。人が気づかないようなちょっとしたサインから
変化の予兆を読み取るのだ。「大きくとらえながら、同時に小さなことに気づく」。
これが流れを感じ取る上での重要なポイントだ。
今日も社長業を楽しみましょう。