こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦です。
今日の一冊はコチラ。
『不変のマーケティング』神田昌典(フォレスト出版)
カリスマ経営コンサルタントの神田先生の著書ですね。
タイトルにあるように、どんな時代にも変わらない「マーケティング原則」のみ
ならず、マネジメント理論にも言及されています。
それでは本日の赤ペンチェックを見てみましょう。
▼現金を増やすために頭を使おう!
社長が、半日、部屋にこもる。ホテルを使ってもいい。連絡先は社員に伝えない。
部屋に入ったら鍵を閉める。携帯電話の電源を切る。いっさいの邪魔を拒否する。
A3の白紙とペンを用意する。そして事業計画を練り直すのである。
頭脳労働は、肉体労働の5倍疲れる。
だから、安易な道を選んで、どうでもいいくだらないことに時間をかける。
会社にとって一番大事な、お客を集める仕事に時間をかけない。
一生懸命仕事をしているように見えて、実は、頭を使っていないからラクなのである。
▼「今、買わないと損をする」を、どのように演出すると効果的なのか。
▼特定品が欲しいから買い物に行ったわけではなく、「何か買わなければ」損を
するから、セールに殺到したのだ。
▼セールスの順番を考えれば、まずチラシで行うべきことは、来店させることであって、
商品を買わせることでないことが頻繁にある。
とすれば、訴えるべきメリットというのは「来店するメリット」。
▼「次の行動をしてもらうためのメリット」を述べることが宣伝広告では重要だ。
「次の行動」がカタログを請求することであれば、「カタログを請求するメリット」を
述べる。「商品を買うメリット」ではない。
「次の行動」が営業マンに電話することであれば、「営業マンに電話するメリット」を
述べることが重要。
▼「次の行動」と「その行動を起こすことのメリット」を一致させるべきなのだ。
▼「来店しないデメリット」を述べることだ。
一般的に言って、人間は「新たなメリットを得る」ために行動するよりも、
「現在あるデメリットを回避する」ために行動する動機の方が強い。
▼「もっと成績が良くて当たり前なのに、この学習法を知らないために、本来の
半分の成績しか得られない」という話の方が、より感情を揺り動かすのだ。
「本来であればこれだけの税金で済んだにもかかわらず、ほとんどの方は財務計画を
していないために大変な損をしている。その損から抜け出す第一歩は、この財務
診断を受けることである」という話の方がアポ取りをしやすくなる。
つまり、多くの人は、本来あるべき姿を回復するために、行動を起こす。
▼そんな都合のいい物語はない。だから単に「今回限りだよ」とやっても、
説得力がなく、誰も信じない。
▼物語で説得力を出す
つまり、真実味を出すために物語を使う。
「社長の〇〇が間違えて二重発注してしまった。だから、そのままの価格で
取っておいても倉庫費用がかかるだけだから、思いっ切り値段を下げて売って
しまいたい」
「社長を説得して、今回限りは、好きにやってみろ!と許可をもらった。
だから、この価格は今回限りのテストであり、売れなかった場合には、残念ながら、
もう一度、価格を戻さなければならない」
「実は計算を間違えてしまって、安い価格をチラシに付けすぎた。でも今から
訂正するわけにはいかないから、今回限り間違いの価格で販売します」
▼安売りをする理由を正直に、ウソをつかずに述べること。
それを述べる際には、物語で語ること。
▼記憶喪失になっても思い出したいマーケティングの原則
①緊急性
「緊急案内、〇〇で〇〇の方!」という表現で書き始める。
顧客対象の特長を2つ以上述べる。
たとえば、「60代の方に緊急案内」だけでは、弱い。
絞り込むときは「遠近両用メガネをお使いの」、「60代の方に緊急案内」
としなければならない。こうすると、一挙に具体的になる。
②限定
人の関心が21日周期で働くことを考えると、締め切りは1ヶ月では長すぎる。
「まだ1ヶ月あるから」と、行動が先延ばしになる。そこで、限定期間は長くても
3週間程度になる。
大切なのは、ウソをつかないこと。お客は簡単にウソを見破るから。
あくまで真実があった場合に、それを伝えることで効果が上がるのだ。
③思い切った保証
セールスの公式:GP1+GP2+RR=ライバルを圧倒する売上
GP1は、グッドプロダクト(Good Product)。すなわち、いい商品。
GP2は、グッドプロスペクト(Good Prospect)。すなわち、いい見込み客。
RRは、リスクリバーサル(Risk Reversal)。危機転化とということである。
売上を上げるためには、いい商品といい見込み客がいなければ話にならない。
それに加えて、リスクを回避させる必要がある。
④明確な指示
すぐに、自分の広告の電話番号の前に「アクション」を呼びかける言葉があるか
どうか確認してほしい。
「今すぐ・・・」という表現をしたとたん、それに続く具体的な行動を指示しな
ければならなくなる。
電話してもらいたいのか?顧客サポート担当から説明がほしいのか?来店して
欲しいのか?その辺を売る側が明確にしていく必要があるのだ。
来店してほしいのなら、地図を入れなければならない。
▼無条件保証 vs 条件付保証
無条件保証とは、「万が一、商品に満足されなかった場合には、いかなる理由でも、
ご返金いたします」という保証。
条件付保証とは、「故障が生じた場合、条件を満たした際、保証します」というのも。
▼事業が次の段階に入るときは、社員も変われば、顧客も変わる。
逆に言えば、ジャック・ウェルチが言うように、毎年ボトムの5~10%の社員は入れ替え
なければならない。私がさらにウェルチの言葉に付け加えるならば、社員同様に
ボトムの5~10%の顧客も入れ替えなければならない。
それを恐れていては、次の段階に進めないのである。
▼どんな商売でも、はじめの1台が売れるまでが難しい。
▼期待値のマネジメント
紹介獲得にとって、購買後に満足度を落とすことは致命的となる。
これを回避するためには、期待値マネジメントをしっかりやっておく必要がある。
つまり、起こりうるリスクを事前に説明しておくのだ。
「何でもかんでも、すべてうまくいきます」とやったら、お客の期待が高まりすぎて、
結局、不満タラタラになる。
どんな優秀な会社でも、問題は起こる。だから重要なことは、問題を起こさないこと
ではなく、問題が起きることを明確に説明して、その対応策を事前にお客様に
了承してもらうことである。
つまり医者のインフォームドコンセントを行うのである。
手術の前に、患者に説明する・・・。
「我々は、最善の努力をするけれども、問題が起こる可能性がゼロとは言えない。
万が一、問題が起こったときには、対応措置を取る準備をしている。繰り返すが、
最善の努力はするが、問題が起こる可能性があることはご了承いただけますね」
このようにインフォームドコンセントを行うと、患者は、「先生、よろしくお願い
します」と頭を下げる。
ところが、「いやぁ~、大船に乗った気分でいてください」と言っておきながら、
あとで「申し訳ない、緊急病棟へ運ばれることになりました」となったら、
患者の家族は医者に罵詈雑言を浴びせることだろう。
いいことばかり約束するのでは、お客の期待を超える満足を提供することができない。
それよりは、お客の期待をマネジメントする。悪いことは事前に伝えておいて、
そして、期待を超える満足を提供する。
インフォームドコンセントを行うことにより、顧客の満足度を高めることができる。
今日も社長業を楽しみましょう。