経営者に必要なのは【博才】?
こんにちは。神戸の税理士の岩佐です。
先日、日経新聞にこんな記事が出ていました。
「経営者 全財産没収せず
個人保証制度に新指針 企業リスク軽減」
中小企業庁と金融庁は、企業が倒産しても個人財産が全額没収されない
ように指針を作るとのこと。
そして住居や、当面の生活費などを残し、経営者が会社の再建に
取り組みやすくする環境を整備するのが狙いだそうだ。
私は常日頃から、
「社長業 = 究極のハイリスク請負業」
と言っていますが、会社をつぶし仕事がなくなっても、サラリーマン
や公務員と違い、経営者は国から失業手当はもらえない。
そればかりか、会社が倒産し銀行借入を返済できなくなると、社長は
自宅不動産はおろか、身ぐるみ剥がされる。
なぜ、こうなるのか?
本来、法人と社長個人は法的に別人格だ。
会社では「法人税」を納め、個人では「所得税」を納める。
納めるべき税金は両者で異なる。
また、経営学の教科書には「所有(株主)と経営(役員)の分離」
と謳われている。
しかし、日本の99.7%を占める中小企業においては、
これらは机上の空論だ。
会社と社長個人は別格に動いておらず、表裏一体である。
この大きな背景に、金融機関の中小企業融資に対する商慣行がある。
銀行は法人に融資した場合、多くは代表取締役社長に連帯保証人の
ハンコを押させる。
会社で融資を受けるのに、融資申込書類には会社の代表者印のみならず、
個人の実印まで押す必要があるわけだ。
こうなると、会社が倒産し返済不能になったときに経営者の個人財産も
自動的に全額没収になる。
これが「社長業 = 究極のハイリスク請負業」のメカニズムである。
ただ今回、中小企業庁と金融庁の話し合いにより、個人保証制度の見直し
に新たな指針を打ち出すというのは朗報です。
しかしながら、金融機関の間には信用力や担保に乏しい中小企業に
融資するためには経営者保証は絶対に必要との意見が根強く、実務上
は今後も継続される見通しとのこと。
やはり、この問題は私たち中小企業の経営者に未来永劫、永遠に
付きまとう問題ですね。
経営には常に博打の要素があります。
どんなに理屈で考えても、決断できない選択を迫られることもある。
ここで尻尾を巻いて逃げているようでは結果は出せない。
必要なのは【博才】です。
経営というものはソロバンだけではできない。
片手にソロバン、片手に心意気。
この2つがなければ、経営者は務まらない。
今日も【社長業】を楽しみましょう。