こんにちは、大阪駅前の税理士法人トップ財務プロジェクトの岩佐孝彦です。
今日の一冊はこちら。
『将来が不安なら、貯金より「のんびり投資」』澤上篤人(PHP研究所)
それでは本日の赤ペンチェックを見てみましょう。
▼みんな「投資もどき」を投資と勘違いしている
多くの人が投資と思ってやっているのは、市場でのお金の分捕り合いにすぎません。
麻雀と同じゼロサムのマネーゲームなのです。だから、目先の勝敗に一喜一憂するばかり。
たまに勝っても手にしたお金は次の瞬間、別の人のところに移ってしまうから、いつまで
経っても豊かになったという実感がもてない。
それで「投資は難しい」というのです。マネーゲームに常に勝とうと思ったら、それは
難しいに決まっています。麻雀で卓を囲むたびに一人勝ちなんていうのは、劇画の世界
だけの話です。
▼「応援したい企業」を守るために、暴落時にこそ株を買う
相場が暴落して株が二束三文で売られている時こそ、「真打ちの応援団の出番」という
居心地で、その企業の経営をなんとか守ってあげることが大切なのです。
▼「のんびり投資」は儲けようとしなくても儲かってしまう
まずは、この先何があってもずっと応援し続けたいと思える企業を一つか二つ
見つけることです。
▼長期投資はリズムが大切
こうした「のんびり投資」を成功させるための最大のポイントは、「暴落相場の
ときに、あれこれ考えずにさっと買えるか」にあります。
のんびり投資にまだ慣れていない人は、「もっと下がるんじゃないか」「底値は
もっと先なのではないか」「このまま株価は戻らないのでは?」「最悪つぶれて
しまたっら株が紙クズになってしまう」などとあれこれ考えて、買いを入れるのを
躊躇してしまうもの。それで結局買わないまま終わるのです。
ですから、あれこれ考えず、「今こそ真打ちの応援団の出番だ」と買いを入れる。
なにしろ応援しているのは、私たちの生活や未来になくてはならない企業ですから、
めったなことではつぶれません。
また、暴落相場で買っておけば、株価が少し戻っただけでも利益になります。
「なくては困る企業」であれば業績も長い目でみれば伸びていきますから、
株価もいつかは大きく戻るはず、とのんびりかまえていればいいのです。
▼「相場追いかけ型投資」と「のんびり投資」の比較
「相場追いかけ型投資」
・投資というよりもマネーゲーム
・プロの投資家がみんな必死になってやっている
・暴落相場はピンチ。一目散に売り抜ける。
・上場相場は買い時
・企業ではなく数字をみる
・投資の専門知識が重要
・生活者の目線がいきない
・疲れる(相場の動きを常にチェックしておかないといけない)
・設けたくて仕方がないがほとんど儲からない
「のんびり投資」
・個人も社会も豊かにする本物の投資
・プロの投資家はやりたくてもできない(顧客がやらせてくれない)
・暴落相場はチャンス。思いっきり買いを入れる
・上場相場は売り時
・数字ではなく企業をみる
・投資の専門知識は不要
・生活者の目線をいかせる
・疲れない(企業の成長と上昇相場の到来をのんびり待つだけ)
・儲けようとしなくても儲かってしまう
▼資産形成のカギは「複利効果」をいかすこと
▼預貯金を絶対におすすめしない理由
・超低金利
年0.02%の金利では、老後の資産形成はできない。
・インフレ
日銀が大量にお金を刷っており、今後インフレになる可能性は大いにある。
仮に物価が2倍になれば、預貯金の価値は半減。
・国債暴落
国債バブルが崩壊する可能性も大いにある。
そうなれば、国債を大量保有する金融機関は巨額の評価損を抱えこむことに。
金融不安が発生し、預金の引き出し制限が発動される恐れも。
・銀行破綻
預金保険機構は2.3兆円しかもっていない。「ペイオフがあるからといって銀行がつぶれても安心」
と思っていたら大間違い。
・景気低迷
預貯金にお金が眠ったままになっていると、経済の現場にお金がまわらず、景気も良くならない。
▼分散投資や債券投資なら安全?
今、分散投資を唱えている人たちが勉強している教科書も83年以降に書かれたものばかりなので、
債権は安心だとずっと信じ込んでしまっているのです。
債権の問題は二つあります。
一つは価格の動きが近年は株式と正の相関関係になってしまっているという点です。
もう一つの問題は、債権は近い将値崩れが避けられないという点です。
いま、債権は先進国の国債を中心に、完全にバブル状態にあります。08年9月に、リーマン・ブラザーズ
の経営破たんをきっかけに信用不安が広がり、世界同時株安が起こりました。このとき、このままでは
金融恐慌が起きかねないと、アメリカ、EU、イギリス、日本など主だった先進諸国の中央銀行がとった
政策が金融の量的緩和でした。無条件・無制限に国債や住宅債権などを買い取る資金のばらまきです。
それでは、そこでばらまかれた資金はどうなったかとうと、この先も何が起こるかわからないから、
とりあえずリスクの小さいところに避難させておこうと、アメリカ、ドイツ、日本などの国債市場に
流れ込んだのです。
債権の最大の買い手である年金が、ここ五年の間に積立額より給付金のほうが多くなり、先進国どこの
年金も軒並みキャッシュアウト状態になってきているからです。
▼「どんな会社が伸びるか」の前に「どんな社会にしたいか」
「あなたは10年後あるいは20年後、どんな社会で暮らしていたいですか」
「子供や孫にどんな社会に住んでいてほしいですか」
▼どの業界かは関係ない
ときどき経済紙などで、「これから伸びる業界、衰退する業界」といった特集が組まれているのを
目にしますが、一つの業界がいっせいに伸びたり衰退したりするというのは、経済が成長期にある
ときの現象です。日本でも高度経済成長期には、人々がいっせいに車や家電などを買い求めたので、
それらの業界の企業がこぞって好業績を上げるというようなことがよくありました。
しかし、日本経済はすでに成熟段階に入っていて、必要なものは人々の間に行き渡っています。
みんなが車を欲しがっている時代なら、業界下位の企業であっても需要はあったので、業界の
伸びと一緒に企業も成長することができたのでしょうが、いまはそんなことはありません。
成長できるのはイマジネーションとロジックで将来の消費動向を読み、需要を掘り起こした企業だけ。
この業界だから安泰、この業界だからダメ、ということはもはやあり得ないのです。
今日も社長業を楽しみましょう。