こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
松下幸之助氏が晩年、
講演で語っていた言葉について、
「社長のフリンジベネフィット」
の考察において先日紹介しました。
改めて幸之助氏の講演のポイントを
整理すると以下の通りです。
▼経営者自身の私欲私心が会社を潰す。
▼成功する人には「私心」がない。
▼晩年の今になっても、
私は私心を消すことと葛藤している。
▼私はカタチ上、
隠居しているようになっているが、
実際は隠居していない。
色々考えることがたくさんあるから。
▼賢い人の方が平凡な人より
会社を潰す危険がある。
▼自分で独断専行でやるから、
賢い人はうまくいかない。
幸之助氏の死後、
明らかになった事実を知れば、
上記の言葉の背景に、
「私心 = 相続問題」
の存在があったことを
知ることができます。
松下幸之助氏は平成元年に
享年で94歳でご逝去。
▼遺産総額 2,449億円
▼7人の法定相続人のうち 4人は婚外子
▼相続税額 854億円
そんな同氏を内助の功で
支え続けた妻のむめの氏。
幸之助氏の相続税額は上記の通り、
854億円でしたが、
7人の法定相続人のうち、
むめの氏だけ税額ゼロでした。
この要因は、
【配偶者の税額軽減】
が適用されたからです。
1次相続の場合、
財産形成に寄与した貢献に対し、
社会的配慮が必要として、
▼1億6千万円
or
▼法定相続分
のいずれか大きい額まで、
配偶者は非課税になる。
そんな優遇税制があります。
1次相続はこの制度を活用し、
むめの氏は税額ゼロとなった。
その4年後、享年97歳でご逝去。
ただ幸之助氏からの相続財産は
20分の1まで圧縮。
相続税額は39億円にとどまりました。
2次相続の際には、
配偶者の税額軽減はありません。
1次相続と2次相続のタイムラグで
何があったのか?
それは「孫4人への生前贈与」でした。
現行の税法では、
【生前贈与加算7年】
の改正が近年入りましたが、
▼孫や子の妻など、
法定相続人以外への生前贈与
⇒ 加算対象外
となっています。
むめの氏の場合、
▼1次相続
⇒ 配偶者の税額軽減
▼2次相続
⇒ 孫への生前贈与
をフル活用し、
相続税対策を賢く実行したのです。
大企業の社長夫人で、
相続税額が高かったのは
武田繁子氏。
武田薬品工業の元社長夫人。
夫の武田國男氏の遺産の大半を相続。
そのままそれが遺産となり、
相続税額は約160億円。
むめの氏の約4倍に上っています。
このように見ても、
むめの氏が賢く節税対策を
いかに実行したのか、
理解できるでしょう。
さすが“神様の女房”ですね。
オーナー社長がお金を残しても、
結局は相続税で持っていかれるだけ?
だから、
▼老齢厚生年金ゼロ問題
▼高額医療費の自己負担問題
がなおざりになっているのか?
本質論から言えば、
「課税の繰り延べ」
に過ぎないのかもしれません。
人間は絶対いつか死ぬからです。
課税当局から見れば、
単に泳がせているだけで、
「三代経ったら全部召し上げる」
というだけの制度かもしれません。
しかし2次相続までのタイムラグで、
お金を賢く残すこともできる。
松下むめの氏の事例から、
そんな学びを得ることができます。
オーナー社長が老後資金を
蓄財する本当の意味は何なのか?
それは以下の3つです。
▼その1:社員のため
⇒社会保険対策の模範となる
⇒企業型DCなど老後資金形成支援
の制度導入の動機に寄与
⇒みんなで人生百年時代を
豊かにするという経営理念に昇華
▼その2:家族のため
⇒配偶者への感謝を示す
⇒次世代にバトンを賢く渡す
▼その3:自分のため
⇒ 経営者人生の有終の美を飾る
日々お客様の資産防衛に
税理士として知恵を絞っていると、
資産とかビジネスという
言葉ばかりを使っていると、
人生や幸福から離れていくことに
警鐘を鳴らしたいと感じる時あり。
部分最適は必ずしも
全体最適ではない。
税金を安くする相続対策は、
ベストではない。
ベターに過ぎないのです。
ベストの相続対策は、
“争族予防”
でしょう。
お金よりももっと大事なことが
人生にはあります。
人生や幸せという言葉を
たくさん使っていると、
その観点から物事を
考えられるようになります。
今日も社長業を楽しみましょう。