こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
あの大手コンビニチェーンが
窮地に立たされています。
セブン&アイHDが
「カナダのACT社からの買収阻止」
に向けて非上場化を模索。
しかし現在難航しています。
同社は昨年ACT社から、
買収提案を受けていました。
2005年9月に東証プライム上場。
上場企業の株式は株式市場で、
自由に取引できるため、
譲渡制限がありません。
そこで同社は、
買収提案への対抗として、
創業家である伊藤家が、
▼資産管理会社(伊藤興業)
による同社買収
⇒ 非上場化(株式の譲渡制限)
⇒ そのための資金調達を
伊藤忠商事等に協力依頼
を検討していました。
しかし伊藤忠商事が参画断念へ。
セブン&アイHDの足元の業績は、
国内外のコンビニ事業が減速。
2024年3~11月期の連結営業利益は、
前年同月対比23%減の3,154億円。
特に国内のコンビニ市場は
出店余地が無く飽和状態。
そんなセブン&アイHDに対し、
伊藤忠商事が参画検討を表明後、
同社の株価も大きく下落へ。
伊藤忠の参画断念には、
このような背景もあるのでしょう。
近年は上場廃止を目指す企業が
急増しています。
その理由は様々です。
近年増えているのは、
「経営の自由度を高める」
という前向きな狙いです。
ただセブン&アイHDの場合、
「海外企業からの買収提案阻止」
という防衛的な狙いでした。
ただいったん上場を選択した後、
非上場に戻るのは簡単でない。
そんな構図が読み取れます。
いったん選択した後、元に戻れない。
この構図は税制にも存在します。
例えば、
【相続時精算課税制度】
がそれに該当します。
いったん税務署に届出をし、
選択すれば、後戻りは不可です。
これは別名、
【選択型贈与】
とも言われます。
ご存知の通り、
「1年間110万円以下⇒贈与税非課税」
の【暦年贈与】があります。
年間110万円を超える部分は、
「10~55%」
の累進税率になっています。
他方、相続時精算課税制度を
選択すれば、
「複数年2,500万円以下
⇒ 贈与税非課税」
となります。
2,500万円を超える部分は、
「一律20%」
の比例税率です。
相続時精算課税制度(選択型贈与)
の方が断然有利に見えるでしょう。
ただ注意点としては、
「相続時の生前加算」
の取扱いが以下のように違います。
▼暦年贈与の生前加算
⇒ 7年以内
《注》
7年超の贈与財産は加算なし
▼選択型贈与の生前加算
⇒ すべて
《注》
相続税の計算は、
相続時の時価ではなく、
生前贈与時の時価でOK
このメカニズムから言えるのは、
「現在の価値よりも
将来的に価値が上がる
見込みの財産があるならば、
選択型贈与の方が有利」
という真理です。
毎期堅実な黒字経営を実践する
老舗企業における、
【自社株】
は選択型贈与の方が有利です。
自社株対策の実務で
よく用いられています。
なお、
選択型贈与が適用できるのは、
以下の組み合わせです。
▼贈与者(あげる人)
60歳以上の父母または祖父母
▼受贈者(もらう人)
18歳以上の子または孫
このお話は次回に続きます。
今日も社長業を楽しみましょう。