こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
新年度がスタートしましたが、
昨年度不祥事で問題になった
企業の報道が相次いでいます。
例えば、下請法違反の日産です。
【賃上げ促進税制の優遇資格の喪失】
日産のような大企業の場合、
「給与増加分の最大35%の税額控除」
の税効果あり。
《注》中小企業の場合
給与支給増加額の最大30%の税額控除
2022年度では約21万5千件に適用され、
減税額は5,150億円。
税額控除は税理士目線で見ても、
最も理想的な節税メニューです。
節税のために政策的に
経費を増やさなくても税効果OK。
いったん計算された法人税額から、
ダイレクトに人件費増加分の一定割合を
法人税額そのものからダイレクトに
差し引くことができるからです。
黒字申告で法人税を納めている
企業のみの特典です。
《注》令和6年度税制改正について
赤字の中小企業でも繰越が認められ、
将来の税額控除のチャンスあり
しかし、日産は今年度アウト!
大企業の適用要件の中には、
自社ホームページ上に
取引先への不合理な価格交渉を
行わないことを約束する
『パートナーシップ構築宣言』
を公表する必要がありますが、、、
日産は下請法違反のため、
経産省を通じサイトから削除されました。
日産は、
▼2023年度3.4%
▼2024年度5%
の賃上げを実施しているにもかかわらず、
賃上げ促進税制の適用が
受けられないとなれば痛いでしょう。
日産を事例に大企業のお話をしましたが、
中小企業の場合はどうでしょうか?
令和6年度税制改正にて中小企業の場合、
【教育訓練費】
の人的投資があれば、
賃上げ促進税制でプレミアが付くことが
決定されました。
具体的には教育訓練費について、
▼増加割合:5%以上
▼給与支給額に占める割合:0.05%以上
になれば、
【税額控除:10%加算】
されることになりました。
《注》R6年4月1日以後開始事業年度より
その他、
▼仕事と家事の両立支援
▼女性活躍の推進の取組み
の証として、
▼プラチナくるみん認定
▼プラチナえるぼし認定
▼くるみん認定
▼えるぼし認定(2段階目以上)
の認定を厚労省から受けていれば、
【税額控除:5%加算】
されることになりました。
《注》R6年4月1日以後開始事業年度より
新年度の投資計画の中で、
是非参考にして下さい。
ビッグモーター社に関する
報道も先日ありました。
街路樹伐採の疑いで宇部店の
元店長ら4人が書類送検へ。
その他、兼重家の運営する
資産管理会社名義で保有する、
▼東京都目黒区の豪邸(500坪)
⇒ ソニー創業者の盛田昭夫氏の
土地を買い取り建築
⇒ 噴水・滝・茶室あり
▼軽井沢の別荘(2,900坪)
⇒ 隣接する豊田章男氏(トヨタ自動車)
の土地より広い
▼熱海の別荘
⇒オーシャンビューの別邸
▼京都の南禅寺の別荘
⇒日本家屋風の別邸
といった不動産を担保に入れ、
昨年末に25億円もの銀行借入へ。
金利は何と、6.08%。
(東京スター銀行より)
金融機関から見れば、
現状のビッグモーター社に
融資するのは大変リスクが高い。
ただ東京スター銀行は担保価値を
認めたうえで高金利を提示へ。
今後の損賠賠償に備え資金調達?
不動産売却を視野に資金調達?
真相は藪の中ですが、、、
日銀によるマイナス金利解除決定の
前段階の昨年末に
すでに高金利の借入をしていたのです。
高利貸しの資金調達は基本NG!
自殺行為に等しいです。
支払期限の猶予交渉など、
自助努力は色々あります。
ビッグモーター社を是非とも、
反面教師にして下さい。
日産にせよビッグモーター社にせよ、
2社の報道を見ると、
【経営者の品格】
がいかに重要かを再認識させられます。
星野リゾート社長の星野佳路氏の
祖父で2代目社長だった嘉助氏。
内村鑑三氏は当時、軽井沢を愛し、
星野温泉旅館(星野リゾートの前進)が
建てた別荘によく滞在していたそうです。
そんな内村鑑三氏は嘉助氏に対し、
『成功の秘訣10ヶ条』
を授け、教えを残したそうです。
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人もし全世界を得るとも
其霊魂を失はば何の益あらんや。
人生の目的は金銭を得るに非ず。
品性を完成するにあり。
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星野佳路氏はこの言葉を
以下のように解釈しておられます。
経営者にとって事業を伸ばし、
収益力を高めるのは、
もちろん大切な役割である。
しかし、
経営者が一番大切にしなければ
ならないのはお金ではない。
それは、品性である。
私たち中小企業の場合、
良くも悪くも、
経営者の一挙手一投足で
社風が作られます。
社風はまさに経営者の生き写し。
取引先に対しても、
従業員に対しても、
経営者が日頃よりどう接しているのか?
これが社風を作るのです。
ドラッガーは利益の定義として、
▼企業が事業を継続・発展
させるための条件
▼明日さらに優れた事業を
行うためのコスト
と喝破しましたが、
利益第一主義に走るがあまり、
品性を損なっては、
永続的発展は到底できないことを
前述の2社から学ぶことができます。
このことを大正時代から
提唱されていたとは、、、
星野リゾートのDNA、恐るべし。
私(岩佐)も傍若無人のごとく
振舞わないように、
明日から気を付けたいと思います。
社風は何と言っても、
経営者の一挙手一投足で作られますから。
今日も社長業を楽しみましょう。