こんにちは、JR大阪駅前のTFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト代表
岩佐孝彦@税理士です。
今日は税理士として満を持して、
このテーマを取り上げます。
『自民党議員の裏金問題』
先日実施された毎日新聞の世論調査。
「国税当局が自民党議員を
調査すべきか?」
という質問に対し、
▼調査すべきだ … 93%
▼調査の必要なし … 3%
▼わからない … 4%
の結果になりました。
自民党支持層に限っても、
調査すべきは7割強。
SNSでは10万件以上の
「#確定申告ボイコット」
というハッシュタグ付きの投稿。
確定申告シーズンの今、
全国各地の税務署は人混みで
ごった返し。
税務署職員に対し、
「納税は個人の自由だろ!?」
「議員センセイは裏金の税金を
納めていないんですよね?」
と苦情の嵐だとか。
鈴木財務相が22日の
衆院予算委員会で、
「納税するかどうかは
議員自ら判断」
と発言したことに批判が
殺到しています。
このブログのタイトルは、
デーブ・スペクター氏の
Xでの言葉を
使用させて頂きました。
ユーモアのセンスが
素晴らしいですね。
税理士の立場から申し上げれば、
【税法上の包括所得概念】
の見地から明らかに
裏金問題はおかしい。
包括所得概念とは以下の通り。
………………………………………………
人の税金を負担する力(担税力)
を増加させる経済的利得は、
全て所得を構成する。
反復継続的な利得のみならず、
一時的・偶発的・恩恵的利得も
所得に含まれる。
………………………………………………
簡単に言えば以下の通りです。
「お金が入ってきたら、
基本税金がかかる」
という絶対的な税法ルールです。
他方、
出ていくお金に経費性があるか否か?
これは確かに総合的に勘案すべき
論点でありますが、、、
日本の税法の基本概念上、
「お金をもらっているのに、
税金がかからない」
というのはあり得ません。
個人の懐に入るものは、
売上だろうが雑収入であろうが、
食事をご馳走になった等の
経済的利益を含め、
基本は課税対象になるのです。
以上が【原則論】です。
ただ何事も原則があれば、
例外も存在します。
【所得税法第9条】
では非課税所得が列挙されている。
主な例は以下の通り。
▼通勤手当
▼出張日当
▼遺族年金
▼失業等給付
▼損害賠償金
▼NISA等の非課税口座の
利子配当
▼家具や衣類等の
生活必需品の譲渡所得
etc.
上記はあくまで例外的に
課税されないと規定されています。
その他、宝くじやロトの当選金も
非課税とされています。
実務上は中小企業経営者に対する
出張日当が非課税所得の取扱いへ。
コロナによる経済活動の
制限がなくなり、
出張や移動が増えているでしょう。
国内出張手当の課税関係は
大変有利です。
▼もらう側(個人)
*所得税 … 非課税
(上述の通り)
*社会保険料 … 対象外
▼払う側(法人)
*法人税 … 損金算入
*消費税 … 課税仕入
あらゆる課税関係が有利な設計へ。
海外出張であれば国内出張と比較し、
更に有利な設計が可能です。
但し、海外出張日当に係る
消費税は課税仕入ではありません。
ご注意ください。
中小企業経営者の節税ニーズは
税理士として十分理解できます。
しかし、
日本の税法の基本概念に対する
正しい知識を持ってほしいと思います。
孫子の兵法にこんなくだりがあります。
………………………………………………
凡そ戦いは、
正を以て合い、奇を以て勝つ
………………………………………………
戦略の基本は【正】。
そこに【奇】を加えると勝てる。
こんな意味の言葉ですね。
正とは、正統的で定石通りの戦略。
奇とは、意外性をもった戦略。
奇正の組み合わせが重要なのです。
そして、この組み合わせには、
色んなバリエーションがあります。
そこを考え抜くことが肝要なのです。
孫子の兵法では上記言葉に続けて、
色についても以下の言及をしています。
………………………………………………
色は五に過ぎざるも、
五色の変は勝(あ)げて
観るべからざるなり
………………………………………………
色の基本は青・黄・赤・白・黒の
5つだけ。
ただその5色の混じり合った変化は
無数にあって、
全てを観ることはできない。
それと同様、
奇と正の2つの基本形の組み合わせも
多様であり、
その多様さの中からの選択こそが
戦略の選択の肝である。
孫子はこう説いているのです。
私(岩佐)も孫子の兵法を肝に銘じ、
▼経営者としての将来ビジョン
▼オーナーファミリーの家族事情
等の個別状況をしっかり踏まえ、
【健全なる公私並行経営】
を顧問先様に実践して頂けるように
税理士として日々精進してまいります。
今日も社長業を楽しみましょう。